独り善がりであった自分を発見
(50代 女性)
子どもが大好き、人と話すことが大好きという、こんな私を活かせるボランティアとして「チャイルドライン」の受け手を引き受けた。
しかし、研修を受けるたびに、私は人の話を聴いていたのではなく、自分の話したいことを、話したいときに喋っていただけ・・・。しかも、会話をしているという錯覚のもとに・・・ということに気づかされた。独り善がりだったと思い知らされる。相談を受ければ、必ず「答を出してあげなければ・・・」と思っていた私は、独善的だったなぁと、反省している。
自分がどう考えているかではなく、相手がどう考え、どう思っているかということに私の気持ちを沿わせていく。子どもから出てきた言葉の裏に隠されている、子どもの真の思いを探っていく、子どもがどんな思いでかけてきているのか? つまり、心の声を聴くことが大事だと学んだ。本当にその通りだと思う。しかし、私にとっては、それが一番苦手な部分である。話の途中で相手が無言になったとき、耐えられないのである。相手は、これからどう話そうかと考えているのかもしれない、それとも私が何を話すのか待っているのかもしれないと、思いを巡らせる。とにかく、顔が見えない相手との空白の時間がたまらないのである。ついつい私の方から喋ってしまうのである。相手の言葉を引き出すことで、真の思いが探れるというのに・・・。
電話のベルが鳴る。胸がドキドキ。話し終わって落ち込んでしまう。時々、私はこの仕事に向いていないのではないかなぁと、自信を失いそうになることもある。
電話を受けた後の「ふりかえり」を大切にし、自分に気づき、研修を通して受け手として向上したいと思う。子ども自身が、自分の置かれている状況や悩みが好転するようなイメージを、どこまでつくりあげていけるか、「こんな風にできたらいいなぁ」「こんな風になりたいなぁ」と考えられるように、力を貸していきたい。
「子どもの気持ちのつかみかた」・・・聴く大切さ・・・
(50代 女性)
研修で、主題・主訴をつかむこと、即ち子どもが訴える言葉をしっかり聴き取り、中心感情を受け止めその気持ちを大事にしてやる。その一つの方法として、子どもの言葉を繰り返し、共感していることを伝える、ことなどを学んだ。
私はややもすると親の立場にたって考えてしまうことがある。しかし、私たちはあくまでも電話をかけてきたその子に寄り添うことが大切。子どものしゃべりたい気持ちを大切にし、時には間を置きゆっくりと対応する。相手の質問に必ずしも答えなくとも良い。今の正直な気持ちや出来ないものは出来ないときっぱりした態度をとる等、子どもから逃げないで正面から向き合う気持ちをもって対応していくことが大切だ。
あるデータによると現代の子どもの70パーセントは自分に自信が持てないそうである。それはつらい思いを共有してもらってない、つまり共に生きる体験をしていない子が多いからであろう。そんな現実をふまえて私たち受け手はしっかり聴き、分かり合おうとするためにもその子の心情にぴったりする言葉かけをし、寄り添うことが大切だと学んだ。しかし、ぴったりする言葉かけは案外難しく、聴くだけしかできない自分に葛藤する毎回だが、それをしのいでいくしかない。共に考えていこうとする気持ちを大切に今後も勉強していきたい。
グループ研修では、相手がしゃべらなくてもあせる必要はない、感じたことを返していけばよい、相手が回答を求めてきたら一緒に考え、時にはいくつかの方法を提示し選択させるのも一つの方法だと学んだ。「子どもに寄り添っていれば必ず子どもが自分で言いたいことを言う」との講師の先生の言葉に元気づけられ、「受容」・「共感」・「自己一致」の三原則をしっかり頭に入れ、これからもがんばっていきたい。
受容・共感・自己一致
(60代 男性)
第1回の森口先生の研修で3つの事例の1つとして、自分の担当事例を取り上げていただいた。当然のことながら出席者から良かった点、拙かったところを具体的に指摘いただき、それぞれの意見を出し合った。
先生のお話では、大きな失敗はなく、いい研修になったとおうかがいし、ホッとした。
その後、山本先生、安原先生にそれぞれ1回ずつご指導いただいたが、正直言って、2回や3回の指導によってそんなに自分の対応が変わるものとは思えない。そういう意味では、事務局の言う「子どもたちの気持ちをつかむためのスキルの向上を目指して、継続した研修プログラムを立て実施してきました」と言われても、受ける方の手応えはなかなかおぼつかないものである。だからといって研修はしなくてよいものではないが、回数とスキル向上は、等差級数的に右肩上がりとはいかない。
山本先生の「ジョハリの窓」は、多くの人がすでに学んでおり、解説よりも事例を通して説明してほしかった。
「あなたは色にたとえると何色ですか」では、その色が何を意味するのか、何故それを聞くのかを先生の意図を明確にして説明する必要があると思う。
安原先生のご指導は、受け手がやる気をおこすには最高の「評価の仕方」であった。拙かったけれど継続してやろう、もっと勉強して向上しようという意欲を持たせるには、すごく効果的なご指導で、心地よい研修であった。しかし、本当に拙いところは、やはり拙いと指摘し、もっとよい対応はどんなものか、もう少し掘り下げるのも必要ではないかと思う。ドジャースの3条件=受容、共感、自己一致の説明は、過去何度も同種研修や、本で知識として持っていても、先生のソフトな語り口から説明されると頭ではなく、体を通して染みこんでくる実感がある。電話を取るたびに条件反射的に思い起こしてやっていこうと思う。
支え手研修(2002.10.5)
とにかく聴くこと
(70代 男性)
今年度、第2回目の研修で「チャイルドラインは何色だと思いますか?」という問いに、私は薄緑色を考えた。理由は若々しくてさわやかだから。複数選んでもよいのならばピンク。ほんのりと暖かい感じで子どもさんが悩んでいても暖かく包んであげたいから。この研修以降さわやかさと暖かさを意識しながら電話をとりたいと思っています。もちろんこうしたことは以前から当然のことではあったわけですが、改めて再認職させていただきました。
3回目の研修では、「いじめ」に関することについて。
普通、おとなの人で「死にたい」と言ったとすれば、一般論として冷静に「死にたい程、辛いことがあるのですね」などと返しますが、子どもの場合はどうでしょう。時と場合によって多様な対応の仕方があるのは当然ですが、いろいろ辛い話をした後、「もう死にたい」と言ったら、「死んじゃダメ!」と熱っぽく言う方がよい場合もあるのではないでしょうか。
受け手としては、「よくここに電話してきてくれたね」と、少しでも子どもの心を静めるようにし、辛抱強く徹底して聴いてあげる。寄り添ってあげる。できる限り子どもの気持ちをわかってあげようと努めることが大切です。そして、「あなたは独りぼっちではないですよ。私がついているよ」と言って安心感をもってもらう。人間誰でも分かってもらえる、認めてもらえれば気持ちは和らぎ安心でき、ひいては自分を信ずることができるようになるのではないでしょうか。
常識では考えられないような性的ないじめを受けたという女の子からの電話を受けた受け手の方の報告を聞かせてもらい、とにかく聴く、辛抱強く聴く、そしてあなたには私がついているよと、悩んでいる子どもと受け手が一体となった感じがひしひしと伝わってきました。また、「辛いことがあったら電話をしてくればよいのよ」と締めくくった対応で、とてもよい研修ができました。
清音村青少年育成会来訪研修(2002.11.16)
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