図II-8.17 波浪中における抗力の変動量
図II-8.18 オイルフェンスの長さに対する波浪中の抗力変動
(3)潮流中におけるオイルフェンスの抵抗
実際海面(海水)にオイルフェンスを設置した場合、潮流によってオイルフェンスが受ける潮流力を概算してみよう。
まず、図II-8.14からオイルフェンスの長さに関係なく開口比に対する抗力係数(CT)を読みとる。
次に、次の値を掛けるとオイルフェンスの長さ、開口比及び流速に対して潮流力(R)を求めることができる。
ここで、
ρ:海水の密度、水の1,025倍(kg・S2/m4)
LP: オイルフェンスの投影長さ(m)
(オイルフェンスの長×開口比)
D: オイルフェンスの喫水(m)
U: 潮流の流速(m/s)
である。そのようにして求めた結果を
オイルフェンスの長さ 40〜60m
開口比 0.4〜0.8
流速 0.2〜0.5m/s
の範囲で潮流力を示すと図II-8.19となる。
そして、オイルフェンスを係留する錨の重さ、把駐係数、水深及び係留ラインの長さから係留ラインの限界力を求め、図II-8.19の縦軸にその限界力の2倍、3倍及び数倍を引くと、オイルフェンスの長さ、開口比、係留ラインの本数及び限界流速(係止し得る最大流速)が求められる。
例:25kgダンホース型錨(チェーンなし)を水深の4倍の索長では、係留ラインの限界力(食い込み時)40kgとするとオイルフェンスの両端で係留した場合、80kgとなり、図II-8.19から開口比が0.8とすれば、オイルフェンスの長さは60mで流速が0.4m/s以下まで係留できる。
例:オイルフェンスの両端で係留してその限界力が30kgであると仮定すると、開口比が0.8ではオイルフェンスの長さが20mで限界流速が0.44m/s、開口比が0.4ではオイルフェンスの長さが60mで限界流速が0.3m/sとなる。
図II-8.19 実際海面におけるオイルフェンスの潮流力
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