2 中国海運(集団)総公司
China Shipping (Group) Company
所在地:上海市東大名路700号海運大楼
Address: NO.700 DAMING ROAD EAST, SHANGHAI, CHINA
郵便番号:200080
Tel: 021-6596-6666
Fax: 021-6596-6699
E-mail: csco@cnshipping.com.
創立:1997年7月1日
資本形態:国有特大型集団公司
業務内容:油、貨物、コンテナ、旅客、特種貨物輸送の5つの業務が柱
法人代表、董事長:李克麟
総経理:李克麟
従業員数:グループ全体で57,000人
陸上 35,956人
海上 21,044人
船舶保有量(2003年1月現在)
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保有船 |
借用船 |
共同経営 |
合計 |
隻数 |
400 |
- |
- |
400 |
積載トン数(万DWT) |
1,000 |
- |
- |
1000 |
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財務(2001年)
登録資本金:66.12億元(約1,013.6億円)
売上高:176億元(約2,698億円)
売上総利益:15.68億元(約240億円)
固定資産:181億元(約2,700億円)
営業利益:3.4億元(約52億円)
当期純利益:8,353万元(約12.8億円)
会社概要:
●中国第2位の海運グループ。中央政府が直接管理する国有中堅企業。グローバルな経営を行っている大手海運会社である。
●主に油、貨物、コンテナ、旅客、特種貨物輸送の5業種の専門船会社から構成され、各種船舶を400隻保有、総積載量は1,000万トンに達し、年間輸送量は2億トンを超す。
●海運業の他、総合物流、ターミナル業務、金融投資、人材派遣、貿易、技術情報の提供等。
●積極的に海外展開しており、欧州、北米、アジア、豪州、アフリカ等に約50の支社。
グループ組織図
2.1 企業概況
2.1.1 沿革
1997年1月 交通部傘下の上海海運、広州海運、大連海運、中国海員対外技術サービス公
司、
中交船業公司が合併、中国海運(集団)総公司が創立。
登録資本金は20億元。
1999年2月 資本金を20億元から36.25億元に増資。
2000年6月 滬東造船廠に8隻の5,618TEUコンテナ船を発注。
2000年8月 中海物流有限公司(China Shipping Logistics Co,Ltd)を上海に設立。
2001年6月 ロサンゼルス港100-102号ターミナルを借入れ、米国海運埠頭社と共同経営で
新世紀埠頭サービス有限公司を設立。
2001年6月 中海環球空運有限公司を上海に設立。対外経済貿易部及び中国民航総局が承
認した第一類国際貨物の輸送代理企業であり、資本金は8,000万元。国内・国際
の国際航空運送の代理業務を行う。
2001年7月 資本金を36.25億元から66.12億元に増資。
2001年8月 子会社である中海船務代理有限公司が、中国船級協会品質認証会社(CSQA)か
ら中国海運業界で初めてISO9001:2000の認証を取得。
2002年4月 中海集団の「神戸号」船が中国で始めて台湾・米国のコンテナ航路に就航。
2002年4月 中海集団物流有限公司を上海に設立。
2002年4月 オランダJUMBO SHIPPING. S.A.社と共同出資で中海重大件運輸有限公司
(CHINA SHIPPING-JUMBOHEAVY LIFT CO.,LTD.)を上海に設立。
2002年6月 大連新船重工有限責任公司に2+1隻の11万トンAframax型プロダクト・タンカーを
発注。2005年4月までに就航する予定。
2002年7月 江南造船廠建造の国内最大の7.4万DWTばら積船「光明峰」就航。
2002年11月 名村造船所で11万DWTのAframax型油送船「松林湾」を建造。
2002年11月 物流業で福建、海南地域に進出。中海福建物流有限公司、中海海南物流有限公 司を設立。
2002年12月 上海船廠、渤船船舶重工有限公司に5.73万DWTのばら積船4隻を発注。
2.1.2 経営者及びその経歴
表2-1 董事長の経歴
名前 |
李克麟 |
役職 |
董事長、総裁 |
性別 |
男 |
生年月日 |
1941年5月 |
学歴 |
大卒 |
職歴 |
期間 |
勤め先 |
役職 |
|
1959年−1992年 |
上海遠洋運輸公司 |
船長、処長、総経理 |
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1993年−1997年 |
中国遠洋運輸(集団)公司 |
副総経理 |
|
1997年−現在 |
中国海運(集団)総公司 |
董事長、総裁 |
|
表2-2 その他主要責任者の名前及び役職
名前 |
役職 |
李紹徳 |
副総経理、副総裁 |
呉中校 |
副総経理 |
林建清 |
副総経理 |
王大雄 |
副総裁 |
燕明義 |
運輸部マネージャー |
沈 傑 |
空運部マネージャー |
黄小文 |
コンテナ運輸公司総経理 |
徐祖遠 |
中海発展股有限公司総経理 |
茅士家 |
中海碼頭発展有限公司総経理 |
|
2.2 会社組織
2.2.1 会社組織
図2-1 会社組織図
2.2.2 調達、修繕部門
●調達
調達部門 |
運輸部の舶用設備調達部 |
責任者 |
林建清副総経理 |
電話番号 |
021-6541-5100 |
|
●修繕
中海集団傘下の中海工業有限公司が船舶の修繕業務を取扱う。
2.2.3 関連企業
表2-3 主要関連企業の名称及び概要
関連企業 |
会社概要 |
中海工業有限公司 |
船舶の修繕改造、機電設備の製造保守、船舶解体、技術支援等。 |
中海物流有限公司 |
コンテナ・貨物輸送サービス、倉庫業、総合物流サービスを提供。 |
中海コンテナ運輸有限公司 |
コンテナ運送、船舶リース、貨物営業、通関業務、倉庫業、コンテナの製造・修理・販売等の業務を行う。 |
中海発展股有限公司 |
香港証券取引市場上場企業。各種船舶を160隻、421万DWT所有。中海集団傘下のほとんどの油槽船、ばら積み船を取扱う。 |
中海発展股有限公司油輪公司 |
中海発展股有限公司傘下の専門船会社。AFRAMAX型の油送船等を85隻、227万DWT所有。資産総額は約50億元(約766億円)で、中国最大の油運送企業。中海油送船公司は本社を上海に、支社を広州に設立。 |
中海発展股有限公司貨輪公司 |
中国最大の貨物船会社。本社を広州に、支社を上海、大連に設立。ばら積船、貨物船、自動積卸船等103隻、300万DWTを所有。資産総額100億元。 |
中海(海南)海盛船務股有限公司 |
1989年創立。1993年に股有限公司に変更し、1996年に上海で上場。1997年7月中国海運集団のメンバーとなる。沿海・近海のばら積み貨物の運送を行い、特に化学薬品、液化ガス、アスファルト、セメント、木材、砂利、大型貨物等の運送及び関連する倉庫、貿易等業務を行う。 |
上海海運(集団)公司 |
船舶・船員の管理、医療、環境保全、教育、旅行等のサービスを行っている。 |
中海船務代理有限公司 |
船舶の代理業務を行っている。 |
中海国際貿易有限公司 |
中海集団の海外貿易の窓口。 |
上海仁川国際渡輪有限公司 |
韓国林海運株式会社、大韓通運株式会社と共同出資で設立した海運会社。 主に上海→仁川→済州島→上海航路のコンテナ、旅客の運送業務を行う。 |
中海環球空運有限公司 |
国内・国際航空運送の代理業務。 |
中海電信有限公司 |
国内で唯一海運業を対象に、海上通信及び航路標識の取付・保守、電子情報技術等のサービスを提供する専門電信会社。 |
中海重大件運輸有限公司 |
オランダJUMBO SHIPPING.S.A.社と共同出資で設立した子会社(中海集団がマジョリティー)。主に大型重量物の運送業務(市場開発、入札、荷受その他の関連業務を含む。)を実施。 |
中海碼頭発展有限公司 |
国内外のコンテナ、油、化学薬品、バラ積貨物等を取扱うターミナルへの投資・経営、物流配送業、倉庫業及び陸上運送、ターミナル施設のリース業、港機械設備の国際貿易その他の関連業務を行う。 |
|
出所:上海科学技術情報研究所市場調査研究部
2.2.4 政府との関係
国家経済貿易委員会の直轄企業であり、中国の512社の重要企業の一つであることから、幹部・主要部門の人事移動は国家経済貿易委員会の承認を経て行う。海外支社の設立や証券取引市場への上場等は政府の協力を得ている。
2.3 経営状況
2.3.1 事業内容と近況
海運業務:油、貨物、コンテナ、旅客、特殊貨物輸送の5の業務を実施。
その他業務:総合物流、埠頭業務、金融投資、労務提供、貿易、技術情報、船舶修繕等。
各種船舶を400隻、1,000万DWT所有、年間輸送量は2億トンを超え、中国海運業で総積載量ベースで2位、年間貨物・旅客運送量ではトップ。沿海の油輸送の70%、石炭輸送の30%のシェアを占めている。
船舶の大型化に対応して新造船への投資を加速している。近年、国内外の造船所に国内最大の5,668TEUコンテナ船を8隻、4,100TEUコンテナ船を4隻、7.4万DWTパナマ型ばら積船を12隻、4.2万DWT油槽船を6隻、11万DWTプロダクト・タンカーを4隻、5.73万DWT大型ばら積船を4隻、1.6万総トンのRO/RO船2隻等を発注、建造しており、2年内に就航予定。
2.3.2 売上高
図2-2 売上高の推移
2.4 財務状況
2.4.1 資本金、出資者
表2-4 主要出資者及び出資率(2001年12月31日現在)
2.5 企業戦略
2.5.1 海外展開
●中海集団は積極的に海外展開しており、米州、北西欧州、地中海、大洋州、アジア等40の国・地域で、基本的に自社の船舶代理ネットワークを形成しており、船舶代理、貨物代理、海運、投資、コンテナ製造、設備調達、労務提供等の業務を行っている。
●欧州、北米、アジア、豪州、アフリカ等の地域に独資会社、事務所、合弁会社等約50社の海外企業・支社を構え、1,000人以上の海外従業員を有する。
表2-5 海外企業一覧表
地域 |
国・都市 |
会社名称 |
会社概要 |
香港 |
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中海香港株式公司 |
1998年に設立した中海集団側マジョリティーの会社。船舶運送、コンテナ製造、貨物輸送代理、船舶代理、船員の海外派遣等の業務を行っている。 |
欧州 |
ドイツ・ハンブルク |
中海欧洲株式公司 |
1999年に設立した中海集団側マジョリティーの会社。ドイツでの船舶代理業務及び貨物輸送請負サービス。 |
イタリア・ゼノア |
中海地中海代表処 |
2001年設立。地中海の港の船舶に代理業務及び貨物輸送請負サービスを提供。 |
イギリス、オランダ、ベルギー、フランス、スペイン、イタリア、ギリシャ等で欧州系企業がマジョリティーの合弁会社、欧州企業全額資本の代表処が船舶の代理業務及び貨物輸送請負サービスを提供。 |
北米 |
アメリカ |
中海北米株式公司 |
2000年に設立した中海集団側マジョリティーの会社。米国、カナダ地域を統一管理するセンターで、バンクーバー、ニューヨーク、ロサンゼルスに代理店、支店を開設。 地中海航路、北米地域のコンテナ船、ばら積船の現場管理、コンテナ・リース及び曳船業務を行う。 中海集団はロサンゼルスを北米市場開発の架け橋としており、台湾明海運会社、米国海運サービス会社と協定を結び共同でロサンゼルスの港湾・海運業務を実施。 |
アジア |
シンガポール |
中海(シンガポール) 株式公司 |
中海集団側マジョリティーの会社。 主にインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ等東南アジア地域の業務を担当。 |
日本 |
株式会社 |
船舶代理店サービス、貨物輸送請負、コンテナ管理、客貨定期船等の業務を取扱う。 |
韓国 |
株式会社 |
船舶代理店サービス、貨物輸送請負、コンテナ管理、客貨定期船等の業務を取扱う。 |
豪洲 |
オーストラリア |
中海オーストラリア代理公司 |
1998年開設。主に海運業及びその他関連業務を行う。 |
豪洲株式会社 |
1999年に営業開始の中海集団側マジョリティーの会社。海運業及びその他関連業務を行う。豪洲株式会社の開設で中海集団は豪州遠洋航路で正式にコンテナ船サービスを開始することになる。 |
アフリカ |
ナイジェリア |
ラゴス中海集団代表処 |
2001年設立。アフリカ市場の開拓、貨物輸送請負サービス、船舶代理等の業務を行う。 |
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出所:上海科学技術情報研究所市場調査研究部
●中海集団は積極的にタイの海運事業に参入しており、2002年4月の中国政府とタイ政府の協議に基づきタイ−米国西岸のコンテナ航路を開設した。これはタイで初めての米国直通コンテナ定期航路である。
●中海集団は日本に船舶発注、設備調達を行っている。2001年6月には、香港巴拉歌社を通じた融資を利用して、名村造船所に11万DWT Aframax型オイル/プロダクト・タンカーを発注。
2.5.2 事業計画(第10次5ヶ年計画)
●世界一流の海運企業に
中海集団は発展を主題に、構造調整・企業改革を企業発展の原動力に、品質保証・生産効率を中心に、大きな発展を実現し、第10次5ヶ年計画では海運会社としての規模と総売上高で世界でもトップクラスの海運企業となる。具体的には、海上ではコンテナ船を、陸上では物流業を柱とする。戦略的構造調整を行い、船隊の大規模化、大型化、専門化し、その他業種でも大規模化をめざす。
●沿海市場を掴み遠洋市場を開拓
船隊を戦略的に大規模化、大型化、専門化し、「沿海市場を掴み、遠洋市場を開拓」という市場開拓計画を実施し、引続き沿海運送業をリードして市場シェアを高めるとともに、グローバルに事業展開して石油、ばら積貨物の遠洋輸送を開拓する。
●国内海上コンテナ運送を主とする物流チェーンの整備を図る
国内運送を切口に、既存の200以上ある物流サービス拠点及び各港にある倉庫を充分に活用して、国内コンテナ運送の貨物取扱いを加速し、海上−鉄道の連携運送、陸上輸送、航空輸送、倉庫、物流、配送等国内コンテナ運送と関連業務を統合してサービス領域を拡大し、国内海上コンテナ輸送を主とする物流チェーンの整備を図る。
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