1.2 会社組織
1.2.1 会社組織
図1-1 会社組織図
1.2.2 調達・修繕部門
船舶・舶用設備の調達及び修繕業務は運輸部が担当部門。責任者は歴伝民氏。
COSCOグループ傘下の各海運子会社も船舶・舶用設備の調達権を持っている。
1.2.3 関連企業
表1-2 主な子会社の名称及び概要
主要子会社名称 |
会社概要 |
中遠集装箱運輸有限公司 |
◆1997年12月に上海で創立。
◆コンテナ運送を専門に行う大型企業。 |
中遠散貨運輸有限公司 |
◆天津遠洋運輸公司と中遠散貨公司が合併して設立。
◆ばら積み貨物の国際運送を行う専門的な大型企業。 |
広州遠洋運輸公司 |
◆1961年4月創立。
◆特殊船を主とする中国最大の雑貨船遠洋運送会社。
◆140の国・地域の1,270港に定期便・不定期船を運航。
◆不動産、ホテル業、船舶物資の供給、医療用品、塗料製造、潤滑油、船舶管理、通信設備の修理、教育・訓練等の業務も取扱う。 |
青島遠洋運輸公司 |
◆1976年創立。遠洋運送中心。
◆就航航路は100以上の国・地域の360港 1万DWTから17万DWTまでのばら積み貨物船を約40隻、コンテナ貨客船1隻を保有。合計保有トン数248万DWT。 |
厦門遠洋運輸公司 |
◆1993年10月に創立。
◆ばら積み貨物、雑貨の運送、船舶リース等を取扱う。貨物は食糧、鉱物・砂、石炭、化学肥料、鋼材、木材、袋入砂糖等。
◆コンテナ船、ばら積み船、多目的船、LPG船等17隻、約35万DWTを保有。 |
大連遠洋運輸公司 |
◆油を中心に液体ばら積み貨物を輸送。他に木材、雑貨を運送。
◆各種船舶30隻、50万DWTを保有。70の国・地域の300港に輸送。
◆傘下に全額出資、合弁企業、経営協力企業等、約20社。 不動産、人材の海外派遣、旅客・貨物運送、貨物運送代理、船舶修繕、倉庫、貿易、旅行、レストラン等。 |
深遠洋運輸股有限公司 |
◆1993年2月創立。COSCOマジョリティーの外資との合弁株式企業。
◆各種船舶を11隻、54万DWT保有。長期チャーター船は5隻、31万DWT。合計16隻、約85万DWTの中型規模の船隊で運送業務を行う。 |
中国遠洋網絡有限公司 |
◆2000年3月に創立。
◆グローバルにB2Bの物流ネットワークサービスを提供。 |
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出所:上海科学技術情報研究所市場調査研究部
表1-3 上場企業の名称及び概要
主要上場企業名称 |
会社概要 |
中遠航運股有限公司 |
◆1999年12月創立。2002年4月上海で上場。
◆COSCO全額資本の子会社、広州遠洋運輸公司が60.36%の株主。
◆主に遠洋・沿海輸送、モーダル輸送業務を行う。 |
中遠発展股有限公司 |
◆1991年10月創立。1993年4月上海で上場。
◆中遠置業有限公司が56.16%の株を所有。
◆主に不動産業務を取扱う。 |
中遠太平洋有限公司
Cosco Pacific Ltd |
◆1996年2年、中遠(香港)集団がFlorens集団の上場企業を買収。社名を中遠太平洋有限公司に変更。
◆中遠(香港)集団の持株は59.48%。
◆物流業から不動産業に転換。 |
中遠投資(新加坡)公司 |
◆COSCO集団がシンガポールで初めて買収した上場企業(1993年10月)。
◆主に船舶の修繕、不動産、船舶代理業務を行う。 |
中遠国際控股有限公司 |
◆1997年3月、中遠(香港)集団がShun Shing Holedings LTDを買収。1997年7月に社名を中遠国際控股有限公司に変更。
◆中遠(香港)集団の持株は55.07%。
◆主に港湾ターミナル、コンテナ・リース等の業務を行う。 |
中国国際海運集装箱(集団)
股有限公司 |
◆1980年1月創立。1994年4月深で上場。
◆COSCO集団の持株は20.2%。
◆主にコンテナの製造を行う。 |
上海彙麗建材股有限公司 |
◆1996年6月創立。1997年6月上海取引所で上場。
◆COSCO集団傘下の「中遠発展」社及び「中遠湾」社が「上海彙麗建材」社の親会社の株を43%持ち、間接的に支配。
◆主に建材業務を取扱う。 |
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出所:上海科学技術情報研究所市場調査研究部
1.2.4 政府との関係
COSCOグループは中国最大の大手海運会社であり、政府との関係は極めて緊密。
(主な公職の例)
年月 |
事例 |
関係機関 |
2001年6月 |
中国集団公司促進会第4回理事会会長会社に選ばれ、総裁魏家福氏が会長に就任。 |
中国集団公司促進会 |
2001年7月 |
董事長魏家福氏が正式に招商銀行副董事長に就任。 |
中国招商銀行 |
2001年9月 |
「中遠航運」社副総経理瀬光氏が「中国船級社船級委員会委員」に就任。 |
中国船級社船級委員会 |
2001年10月 |
董事長魏家福氏が上海APEC会議に参加。 |
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2001年12月 |
総裁魏家福氏が中国船主協会会長に就任。 |
中国船主協会 |
2002年5月 |
総裁魏家福氏が中国工業経済連合会主席団執行主席に就任。 |
中国工業経済連合会主席団 |
2002年11月 |
総裁魏家福氏が中国共産党「第16回党大会」で中国規律委委員に選ばれる。 |
中央規律検査委員会 |
2003年1月 |
総裁魏家福氏がアジア・シンポジューム会議に出席。 |
アジア・シンポジューム理事会 |
2003年1月 |
総裁魏家福氏が外経貿部龍永図副部長、弁公庁副主任姚申洪とCOSCO(日本)を訪問。 |
外経貿部副部長、弁公庁副主任 |
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1.3 経営状況
1.3.1 業務内容
国際海上運送を主業務とし、船舶代理、貨物運送代理、航空貨物代理、倉庫・ターミナル等の業務を行う。
他に内陸運送、貿易、工業、金融、保険、不動産開発、旅行、人材の海外派遣、学校教育等。
国内外メンバー企業は500社以上。うち中国最大の船舶代理企業である中国外輪代理総公司、中国最大のトラック運送企業である中国汽車運輸総公司、海上燃料供給業務を専門に行う中国船舶燃料供応総公司等の有名大型企業を含む。
中国全国各地に子会社・拠点を設置。広州、上海、青島、天津、大連の子会社は有力。また、150の国・地域の1,100以上の港に拠点があり、北京を中心に、香港、独、日本、豪州、シンガポールを各地域の中心とするグローバル企業。
海上以外の業種では、工業(新造船、船舶修繕、コンテナ・舶用設備・部品の製造・修理等)、貿易(船舶の売買、油製品等の貿易、船舶の調達、免税品の販売等)、不動産、金融保険、旅行、人材の海外派遣等6分野がある。
1.3.2 業務近況
●VLCC船を3隻発注し、油槽船の運送力をアップ(2002年4月)
油槽船の運送力をアップするため、中遠南通川崎船務工程有限公司にVLCC3隻を発注。船名は「遠明湖」、「遠大湖」、「遠栄湖」で、既に2隻が就航。
●ドイツE.R.Schiffahrt社とコンテナ船のチャーター協定を締結(2002年6月)
ドイツの船舶管理会社であるE.R.Schiffahrt社と新造コンテナ船のチャーター協定を締結。協定は7,455TEUのコンテナ船5隻を含み、ハンブルクNordcapital社が融資し、韓国現代重工で建造する。2004年下期に第1船を引渡予定で既存船の代替。
●ばら積船8隻の購入資金に企業債権を20億元発行(2002年8月)
●中国石油天然気股有限公司と協定を締結(2003年3月)
中国石油天然気股 有限公司と共同出資でCOSCO集団傘下の中国船舶燃料供応総公司を有限責任公司とする協定を結んだ。協定により、中国石油天然気股 有限公司はCOSCO集団の舶用燃料油の販売ネットワークを通して舶用燃料油市場に参入でき、COSCO集団は舶用燃料油を容易に調達できる。
1.3.3 亮上高
図1-2 近年の売上額の推移
出所:国家工商行政管理局
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注:
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1997、1998年の売上額はCOSCO集団公司の数字で、連結企業込みの数字ではない。1999年から2001年までのデータは連結企業込み。 |
1.4 財務状況
1.4.1 出資者
表1-4 主要出資者及び出資率(2001年12月31日現在)
1.5 企業戦略
1.5.1 海外展開
COSCOは、1963年6月にSaida港代表処を設立後、海外事業を積極的に展開。ヨーロッパ、米州、豪洲、アフリカ、西アジア、日本、シンガポール、香港等の国・地域に多くの拠点及び会社を設立。
表1-5 COSCOグループの海外拠点・会社一覧表
地域 |
会社名称 |
公司概要 |
アジア |
中遠(香港)集団有限公司 |
◆船舶運送、上場企業への投資、工業、貿易業、貨物運送業の5つが柱。 |
◆香港における中国資本企業トップ5の1つ。 |
◆傘下の上場企業に「中遠太平洋有限公司」、「中遠国際控股有限公司」がある。 |
中遠日本株式会社 |
◆1994年6月設立。 |
◆COSCOの日本総代理店で、COSCOの日本駐在企業を統一管理。 |
中遠韓国有限公司 |
◆COSCOの韓国地域担当会社。 |
◆コンテナ運送、COSCO船舶の代理、船舶のチャーター、貨物営業、燃料供給等。 |
中遠控股(シンガポール)有限公司 |
◆COSCOの東南アジア担当会社。インドネシア、マレーシア、タイ、ベンガル、パキスタン、インド、ベトナムを担当。 |
中遠西アジア公司 |
◆COSCOの西アジア地域担当会社。 |
◆傘下に連結企業であるCOSCOアラブ首長国連邦Cosraco L,C, 公司及びCOSCO-Bokhar国際有限公司がある。 |
中遠Kazakhstan代表処 |
◆Kazakhstan国内の貨物営業、コンテナ管理、PR。 |
アフリカ |
中遠アフリカ有限公司 |
◆南アフリカ及び西アフリカにおけるCOSCO船舶の代理業務、COSCO船舶の現場管理業務及び海上運送関連のその他の業務を行う。 |
中遠エジプトSaida港弁公室 |
◆スエズ運河の船舶通航業務。 |
中国−タンザニア連合海運公司 |
◆東アフリカ地域で唯一の遠洋海運会社。 |
◆15,000DWTの遠洋船舶を3隻保有。 |
◆北京代表処、子会社のMombasa SINOTACOを設立。 |
米州 |
中遠米州公司 |
◆米、加、中北米州、南米州等、米州全域のCOSCO業務を担当。 |
欧州 |
中遠欧洲有限公司 |
◆COSCOが最も早く海外で設立した会社。 |
◆イスラエル地域を含む欧州全地域のCOSCO業務を担当。 |
中波輪船股有限公司 |
◆中国政府とポーランド政府が1951年1月に締結した協定に基づき、1951年6月に設立。双方が各々50%の株を所有。 |
◆天津で設立し、1962年に上海に移転。 |
◆ポーランドGydniaに子会社。 |
豪州 |
中遠(澳洲)有限公司 |
◆大洋洲地域の投資、資産運用、COSCO傘下の会社の管理等。 |
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運輸技術の開発・提携
COSCOは運輸新技術の研究・開発を極めて重視しており、国内外の研究機関と多くの技術提携がある。
●ノルウェーSTRUCTURAL ENGINEERING社と半潜水船を共同研究。
●イギリスNOBLE DENTON社、大連海事大学等専門研究機関と協力して半潜水船のDPSを完成。
●大型重量物の海上運輸安全標準研究プロジェクトに参加。
日本との関係
●1994年6月に中遠日本会社を設立。COSCO船舶の日本総代理であり、COSCOの日本駐在企業を統一管理する会社でもある。
●川崎重工業株式会社(KHI)と共同出資で、「南通中遠川崎船舶工程有限公司」及び「上海中遠川崎鋼結構有限公司」を設立。
●COSCO集団傘下の中遠航運股 有限公司と日本郵船株式会社が共同出資で、自動車の輸送を行う中遠日郵汽車船運輸有限公司を広州に設立。今後、上海、天津、長春等に事業所を開設する予定。
●総投資額は650万USドルで、投資比率はCOSCO 51%、郵船49%で、主に国内外の自動車運送業務を行う。自動車1,000台の運送能力を持つRO/RO船を華北、華南航路に当面2隻、2003年まで4隻、遠洋航路に1隻配置する計画。中国及び周辺国家の自動車運送業務を担当。
●日本住友、日本造船2社とも緊密な協力関係。
1.5.2 事業計画
COSCOグループの21世紀発展計画
●コンテナ運送を拡大、ばら積貨物の運送を安定
重点的にコンテナ運送を発展させ、ばら積貨物の運送を安定させ、液体ばら積貨物及び特殊貨物を積極的に開拓する。船隊、航路、情報技術、港湾施設、セールス・貨物収集システム等をより合理的にし、特に船隊は徐々にチャーター船の比率を高める。航路ではネットワーク及び資源の有効利用を重視し、センター港湾戦略を実行する。
●物流業を開拓し、COSCO物流集団公司を設立
COSCO集団の強い海上運送力をベースに、豊かなグローバル物流資源を利用し、顧客が満足するよう、運送から倉庫、加工、配送までのサービスを行い、SCMにまで参入し、サービスの付加価値を高め、収益力及び市場競争力をアップし、徐々にグローバルな物流業者に転換する。
先ずCOSCO物流集団公司の設立を加速する計画。
●情報ネットワーク産業を開拓し、陸上業務を強化
陸上業務をCOSCO集団の重要な収益源にする。情報技術、環境保全、省エネルギー、新材料等成長性の高い産業に参入し、COSCO集団の多角化を進める。近い将来に、情報ネットワーク産業を開拓することを重点にするとともに、徐々にベンチャー投資・インキュベーター制度を立ち上げる。
●グローバルな海運、物流サービスを効率的に運営するためネットワークを強化
ネットワークの強化はCOSCOがグローバル物流業者になる要である。既存の運送ネットワークをベースに、インターネットによりCOSCOのネットワークを強化し、COSCOサービスの総合ネットワークシステムを建設し、COSCOグループのグローバルな海運、物流サービスを効率的に運営することを目標とする。
(参考)中遠航運股有限公司(中遠航運)の計画
中遠航運は、COSCOグループの中堅海運企業として、一流の技術・設備、企業管理、高い市場シェア、継続的発展により世界一流の海運業者になることを企業の発展目標としている。そのために、株式市場で調達した資金を全部船舶購入に投資し、半潜水船2隻、RO/RO船1隻、多目的船7隻を含む特殊船13隻を新規購入する計画であり、特種船の船隊規模を全面的に拡大する。
3年後には船隊規模を60万DWTにする計画で、その後も他社船を借入れることで、船隊規模を100万DWTとする。
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