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ポルトガル
一般状況
 2002年は期待された世界経済の回復は確認できなかった。ほとんどの海運マーケットはネガティブに反応した。油市場とバルクキャリヤーは2002年の第3四半期までは全く進展がなかった。最後の四半期の運賃レートの強い成長も十分とは言えなかった。EUROは全ての通貨に対し強くなり、特に米ドルに対しより顕薯であった(2002年中18%上昇)。新造と中古船価格は、一般的に減少した年となった。したがって国際的レベルで競争する新造と修繕造船所は、後ろ向きの海運環境にさらされた。
 
造船
 世界レベルで競争する造船所はVianayardのケースのように、2001年12月までは許されていた造船所への補助金の差し止めを受けた。この要因と特に継続するアジア域造船所(中国、韓国)との激しい(不公正な)競争は、大量の引き合いを受けているにもかかわらず、造船所への発注では船主の強い手控えが発生している。とはいえ、2002年末の手持工事は、年内に巡視船2隻の発注があって、約3.2億ユーロとなった。売り上げはほぼ5.08千万ユーロに増加し、雇用者はコンスタントに1150名を維持した。
 
 小型造船所は、漁業市場に大きく依存しており、2002年には活動が増加した。これは2004年末に公的支援が停止されるため、その前に船団のリプレースが加速したためである。
 
修繕
 ポルトガルの修繕事業は、Lisnave造船所の結果に大きく依存する。2002年にLisnave造船所は最後の四半期の需要減退にもかかわらず、その市場シェアを失わなかった。修繕隻数のうえでも目標に合致し、売り上げはおよそ1億ユーロに達した。しかしユーロに対し米ドルが急激に下落したため黒字を達成するには十分ではなかった。
 
 上記で言及した悪条件にかかわらず、Lisnave造船所は145隻を修繕し2001年に比べおよそ7%の成長と同等であった。この145隻の修繕以外に(国内で)134隻が乾ドックを使用し、2001年に比較して6%の成長と評価される。非常に競争的な国際市場ではあるがLisnave造船所による修繕した船舶は27カ国からの94船主から仕事を請けたこととなる。
 
 2002年にLisnave造船所の修繕事業は、タンカーや乾貨物船といった太宗船の市場分野に集中した。これらの市場分野で修繕のおよそ77%をなしている。旅客船や液化ガス船や冷凍運搬船、油掘削分野のプラットホームといった他の分野の活動の継続ももちろんノートすべきである。
 
 2002年全般にわたり、石油関連分野の船舶やプラットホームの改造や改修の市場分野には停滞が残った。同様に、他の太宗船に対する改造需要は世界経済の状況から発生しなかった。2002年にこれらの市場からの発注を獲得できなかったのは、Lisnave造船所の建造能力不足と思われる。
 
 Viana造船所は修繕売り上げが造船全体の14%に減少した。これは2001年に達成した売り上げに比べ40%の減少となる。
 
 ほとんどの小型造船所は、造船分野で説明した同じ理由で2002年の修理事業を増加した。
 
ルーマニア
一般事情
 ルーマニアの経済は2002年は前向き傾向が引き続き見られた。GDPは4.5%増加し、2001年のそれと似ており、産業生産はこの数字以上に増加した。
 
 インフレ率は継続して下がっており、2001年の約30%から2002年に18%となった。輸出は期待通り増加し、ここ十年で最大値となった。
 
 2002年10月に残された最後の大型造船所Constantzaが民営化した。現在民営化した造船所は造船産業の約90%となった。
 
造船
 2002年にルーマニア造船業は12隻、108,587GT、148,587CGTを完工し、2001年と比較して増加した。手持工事量は2002年末で14隻(全て外国向け)100,747GT、149,880CGTとなった。手持工事量は2001年末の量と比べ明らかに減少した。
 
 2002年末に新造船ヤードに従事する全労働力は約19,100名であった。
 
修繕
 この分野の全売り上げは劇的に下がった。2001年に4.5千万米ドルと比較して、2002年には3.35千万米ドルであった。
 
スペイン
一般状況
 経済成長は、弱い家庭支出と緩やかな外需を反映して、2002年前半はかなり緩慢であった。低調な活動にも拘わらず、インフレは加速し、EURO圏内の格差は依然として高い。GDPは2001年の2.7%から1.8%成長した。しかしEUの平均0.9%、OECD参加国の平均1.5%のそれを超える成長は維持できている。
 
 GDP成長を、EURO圏平均を越え、2003年には2.5%、2004年には3%に引き上げ、強い輸出需要で国内活動を生き返らせなくてはならない。
 
 インフレ指標は3.1%であった。また失業率は10%以上に上がった。
 
造船
 2002年にスペインの造船所は新規発注48隻を獲得し、2001年よりは少なかったが178,366GT、264,004CGTに上った。
 
 このうち25隻の140,8134GT、194,374CGTは外国船主で、23隻の37,553GT、69,630CGTが国内船主であった。
 
 2002年末の手持工事量は78隻で昨年末より5%少なく、770,452GT、782,038CGTであった。
 
 引渡しは2001年より6%増えて、52隻、206,264GT、301,229CGTであった。ケミカル船プロダクト船、自動車運搬船、Roro船、LNG、フェリー、漁船、その他の非貨物船はスペインの手持工事で支配的な船種である。
 
 また艦船建造の活動も高かった。スペインとノルウエー海軍の先進フリゲート艦の建造が主体を占めた。
 
修繕
 2002年は2001年よりも前向きであった。推測されるこの分野の売り上げは2.85億ユーロで97年、98年、99年のレベルを維持した。
 
 全ての造船所で大西洋域と地中海域両方の良好な市場占有率を収めた。
 
英国
一般的状況
 2002年の国家経済は、明暗それぞれの兆しが見られた。しかし金利は定常的に減少し、製造業に懸念が出た年でもあった。英国ポンドはEuroに対し弱くなりこれは産業競争力の改善に貢献した。
 
造船
 商船建造ヤードは、他の欧州ヤードと比較して合理的にうまく市場占有率を維持するように運営された。しかし勝ち取った受注は、全て小型船分野のものであった。Harland & Wolff造船所は、Flensburger造船所と共同で建造する2隻のRoro船に続く新造船工事の確保に失敗した。そして結果的に船舶とオフショア分野の修繕と改造の仕事を取るためのに専門化された小さなコアに労働力を縮小した。
 
修繕
 2002年は英国の修繕改造ヤードにとって一般的に良い年であった。大型も小型のヤードも高いレベルの仕事量が報告されている。しかしパターンは一律ではない。2003年初めにShetlandsのmalakoff and Moor造船所の管財人が指名された。理由は、適切なレベルの仕事の確保が困難なこととスコットランド環境保護庁から課せられた追加的経費と言われている。2002年中に、2001年のCammell Lairdの破綻による悪影響は乗り越えたように思われる。特に英国造船所は船舶改造工事で今一度勝利するためスタートした。







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