V. AWES作業グループと委員会の報告
市場と予測に関するAWES作業グループ
2001年に同グループは2000年から2015年の期間に建造されるべき新造船の所要量の新予測を完了した。AWES年次報告のプレゼンテーションを参照されたい。予測は、100GT以上の新造外洋商船の長期の理論的所要量を取り扱っている。これを新規発注量によって示される新造船舶の実際の需要と混同してはならない。発注される新造船腹量には、例えば、所要量の前倒し発注である投機的発注も含まれているかもしれない。
2002年に同グループは世界の造船能力量の検討に入った。作業は継続中である。
2001年予測の準備は、SAJ並びにKSAとの合意の後、2001年から開始された。このタイミングは、事前に決めておくべき定義が増加したことと基本的手法の調整が必要だったためである。この合意に沿ってAWESとSAJの予測チームは2001年夏に暫定予測結果を交換した。KSAはその時点で彼らの暫定予測結果を用意していないとの連絡があった。
2002年9月にAWES、KSA、SAJ、CSERCの予測専門家の会合が北京で開催された。会議の主要目的は、各参加者によって準備された新造船所要量の予測手法とその結果を比較し議論することであった。会議はさらに将来行う予測の更なる調整やその他の案件の議論を行った。これは中国の代表がこのような会議に参加した最初のものであった。また会議は造船市場と市場の拡大の共通理解の増進に貢献しうる前向きかつ建設的なものと思われた。
AWES作業グループ代表は招請により、2002年4月にパリで開催された造船のOECD/WP6の2つの会議へ出席した。2002年12月のOECD/WP6は、需給サブグループを再開することを決定した。AWES作業グループは、2003年4月にパリで開催されるこのサブグループの会議に招請により出席した。
各協会の予測者間とOECDを通して、直接会話が継続されることによって、造船市場の拡大と特性に関するより良い理解に到達できること、それにより世界の造船業の健全で安定的な発展に貢献できることが希望される。さらに予測手法と定義の調整は、より良い共通理解に貢献できる一つのステップと思われる。
2002年中の市場と予測に関する作業グループは以下の会議に出席した。
2002年4月4,5日 OECD パリ
2002年4月25日 OECD パリ
2002年7月3,4日 AWES ブラッセル
2002年9月9,10日 AWES、CSERC、KSA、SAJ 北京
2002年11月12,13日 AWES ブラッセル
AWES造船所間修繕協力グループ
はじめに
FincantieriのPalermo造船所のVito Busalacchi氏はこのグループの議長として第2年目を勤めた。またKeppel Verolme造船所のMannfred van der Wal氏が第2年目としてこれを支援した。造船修繕協会のNick Granger氏がこのグループの事務局長を引き続き勤めた。
グループ運営
グループは年間3回開催された。
2001年春にPalermoにおける合同作業とソーシャル会合の成功の後、同様の会議が、USB造船所の招待で2002年春にBarcelonaで開かれた。Palermo同様にBarcelona会議は多くの参加者を得て、ソーシャルプログラムが大きな感謝を集めた。
2002年の第2回会議はデンマークのHasseletでAWES総会の一部として開催された。この会議は、既設の委員会会合の後、本グループの年次総会議として開かれた。
第3回会議は、昨年同様、2002年11月末にロンドンで、Shiprepaire and Conversion conference and exhibitionの前に開かれた。同展示会のオーガナイザーは2002年のAWESグループの参加に感謝を表明するとともに2003年における同様の参加を依頼した。
グループ議長は同カンファレンスの世界市場の総合レビューと修繕改造標準契約書のセッションに参加することができた。
市場動向
修繕と改造の国内市場報告は各国協会からの報告に記載されている。
総括的な印象としては、2002年では市場はうまく持ちこたえたというところ。昨年より幾分か改善した。このトレンドは2003年も続くと見られるが、量的にはそうでも、価格は、ひどい国際競争のために依然厳しい。
産業統計
本グループは、信頼ある包括的な統計の作成を強く主張している。本グループが試作した最近数年の売り上げ額リストを再掲する。
修繕と改造売り上げ(百万ユーロ)
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2002 |
2001 |
2000 |
1999 |
1998 |
クロアチア |
|
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30.24 |
デンマーク |
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275 |
|
117.6 |
フランス |
|
|
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|
98.56 |
ドイツ |
591 |
674 |
637 |
537 |
654 |
ギリシャ |
59.2 |
|
|
85.12 |
101.92 |
オランダ |
275 |
|
|
268.8 |
268.8 |
イタリア |
220 |
|
218.4 |
250.88 |
250.88 |
ノルウエー |
|
|
|
|
89.6 |
ポーランド |
137 |
116 |
129 |
105 |
141.12 |
ポルトガル |
110 |
120 |
83 |
51 |
184 |
ルーマニア |
|
|
|
47.04 |
|
スペイン |
285 |
|
277.76 |
143.36 |
271.04 |
スウエーデン |
|
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33.6 |
英国 |
407 |
367 |
336 |
414.4 |
448 |
合計 |
1,902 |
1,956 |
1,277 |
2,084 |
2,689 |
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特記事項
グループ議長は2002年9月のハンブルグで開催されたSMM展示会の夕食会で基調講演を行うよう要請された。雇用と戦略的位置付けの両面において欧州の修繕と改造分野の重要性を訴えるためにその機会を捉えた。議長は修繕と改造分野は少なくとも政策的には自らが隠れた産業であることを許してきた。そしてこの分野はそのまま長く続くことでよしとしてきた。しかし400社、40,000人、毎年30億米ドルの売り上げのある産業をこれ以上無視することは許されない。
さらにこの分野の状況を説明する補足材料として、本グループは、フレームワーク6として知られるEC研究開発基金規定のもとで走らせるべきテーマとして修繕と改造の統合プロジェクト提案を欧州委員会に提案することを決定し、2002年6月に提出した。しかし採用されなかった。ただしFP6の最初の募集で、修繕と改造分野に直接関係する2つの既存プロジェクトがすでに入っていたため、本グループは2003年4月の提案に向けて2つのプロジェクトを進めることを決定した。一つは修繕改造ヤードでの塗装とコーティングの改善に主に関係するもので、他方はより環境にやさしく事業を行うためのヤードでの作業工程を改善するものである。
プロジェクトの作業は2002年に開始され、EC FP5の下で承認され、SIRIOSプロジェクトの中に位置付けられ、INTERMARと呼ばれている。これは修繕ヤード内のITシステムの統合からそこに関連するサプライヤーや下請けのITシステムと統合する方向で動いている。
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