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オランダ
一般状況
 2002年にオランダ造船産業は、世界的な合併によってその欧州内での位置付けを強化した。これは各セクターの革新力の組み合わせによる包括的で高品質な海事インフラの出現を意味し、さらにこれは隙間市場の開拓と積極的市場アプローチによるものである。
 
 革新と輸出はオランダ海事製造産業の2本柱である。海事クラスターにおける有カプレイヤーとの密接な連携によってオランダは欧州レベルにおいてその多くの分野で優位に立っていることを示した。オランダ造船産業の革新要件の観点において、ライフサイクルアプローチ、新型船舶コンセプト、安全環境という3つの戦略的分野が認識され、それらは健全で将来を見据えた海事分野にとって適切なものである。いくつかのプロジェクトは実施に移されている。
・Open Mind: 電子通信(取引)の標準化
・SeaQuipment: インターネット上の舶用設備カタログ
・PELS: エネルギー節約型空気摩擦船舶プロジェクト
 
新造船
 手持工事量は、総額10億ユーロの受注が加わり、昨年レベル(2001)で維持された。また、輸出比率が47%から55%に増加し、世界的な市場占有率も2.1%を維持された。
 
 2002年に受注した106隻は、トータルで46.8万CGTであった。受注船舶の付加価値についてはオランダは世界をリードしている。CGT係数の比較で示すと、世界平均0.63、欧州1.05、オランダ1.67である。
 
修繕
 外洋船の修繕の売り上げは、2001年との比較して、2.75億ユーロというレベルとなった。2002年は全体で厳しい年であった。造船所毎に絶えず状況が変化した。しかし多くの船を修繕で受注できた。船毎の作業量は極めて小さい。雇用者数は2002年末で1625名で(若干)減少した。(2001年 1650名)
 
小型船建造
一般
 VNSIのメンバーは2002年に非外洋船95隻の建造契約を勝ち取った。総額で2.52億ユーロである。このうち61隻は輸出向けである(1.18億ユーロ)。比較として、2001年は98隻が受注され、総額2.77億ユーロで、このうち50隻が輸出向けであった(1.56億ユーロ)。
 以下に構成分野毎に細かく述べる。
 
非貨物船
 この分野は、押舟、引船、作業台船、警備艇、調査船、消防船のような非貨物船の広い範囲にまたがっている。様々な造船所が非外洋航行船34隻の契約を勝ち取り、総額は4.5千万ユーロである。内34隻は2002年に受注した。100トンを超す大きさの非外洋船の50契約は総額で4.51億ユーロで、内29隻は2002年に受注している。これらのデータは年毎の数字として集計されたものである。
 
内陸海運
 VNSIメンバーはリバークルーズボートや運河ボート、フェリーなどの様々なタイプの旅客船の建造契約を勝ち取った。総額約6.1千万ユーロである。内、16隻の旅客船が2002年に受注された。
 
 内陸海運の造船市場は、とりわけ乾貨物船、コンテナ船、タンク船、バージで構成されているが、複雑な取引構造のために、我々はこの分野で新たな契約を勝ち取る確かな見通しを提供できなかったことは残念である。VNSIメンバーと非メンバーで受注した貨物船の総数は58隻、総額1.47億円と推定され、それら全てがオランダ国内市場向けと思われる。
 
 内陸海運の修繕ヤードでは2002年は良好な発注を享受した。
 
漁船
 漁船ヤードは2002年には合計11の約3.2千万ユーロに上る新造船契約を勝ち取り、其のうち3隻は外国からの発注であった。合計15隻が2002年に受注された。全ての受発注船は100GTを超える外洋船であった。このベースは造船の年毎の数字から集計した適切なデータである。
 
浚渫船
 非外洋浚渫船(主に吸引浚渫)で合計21契約を勝ち取り、総額4.5千万ユーロであった。内、1隻は国内からの発注であった。他の浚渫船は、2002年に契約を取ったものである。
 
ノルウエー
造船
 2002年にノルウエー造船所は合計77隻278,934GT(558,599CGT)を引き渡した。これは前年から13隻の増加である。22隻79,260GT(157,368CGT)は輸出であった。
 
 ノルウエーの造船所は新規受注は28隻46,209GT(144,623CGT)で2001年の45%に減少した。
 
 2002年末の手持工事量は76隻、354,071GT(663,200CGT)であった。そのうち33隻139,337GT(280,445CGT)は外国向けである。
 
 欧州造船業の困難な受注状況に加え、ノルウエー造船産業はまた強いノルウエー通貨と、高いレベルの金利とコストに直面している。2001年に他の欧州国のようにノルウエーは9%の補助金を廃止した。補助金の喪失で2003年と2004年向けの新規受注数は、現在までこのような状況である。
 
 およそ5,500名が造船所に直接雇用されている。
 
修繕
 ノルウエーの修繕活動のレベルは昨年と同じである。約1,000名がこの事業に従事している。2002年の総売り上げは昨年とほぼ同じで約1.15億米ドルであった。
 
ポーランド
一般状況
 2002年のポーランド経済の基本トレンドは停滞であった。GDPは1.3%の小さな増加を記録し、雇用市場にひどく影響した昨年(1.1%)より少しだけ上だった。GDPの増加は、国内投資が非常に低いレベルで滞っているので、主に輸出の成長が寄与した。失業率は、2001年末の17.4%から2002年12月には18.1%、2003年1月には18.7%と悪化した。これは産業とサービス業分野の雇用減少と雇用市場に若年層が新たに参入した大きな流れの複合結果である。インフレは2000年の10%、2001年の5.5%から2002年1.9%と劇的に抑制された。国家銀行の貸し出しレートの本質的な減少にもかかわらず、市中はとても高く留まっており、貸し先を得るのは難しいと思われる。
 
 ポーランド国家通貨Zloty(PLN)は、2000年のそれと比較し、強い対米ドル、対ユーロの交換レートを保持している。
 
 2003年には国内経済の改善が期待される。特にGDPの3〜3.5%の増加と失業率増加の抑制である。しかし国際政治と軍事緊張の拡大、国内政治の不安定が大きな不確定要因となっている。
 
造船
 2002年はポーランド造船業にとって極度に困難な年であった。3月初めにSzczecin造船所が財政破綻し、銀行団が運転資金と資本投資から撤退した結果、生産活動を停止した。この造船所によって発生した評価損出は、国内外の市場環境と内部管理問題の両方によるものであるが、回収困難と思われる。4ヶ月間の救済措置が試みられたが、その後、その持ち株機関Porta Holdingが破産した。現在のところ、国の産業開発庁(ARP)が持ち株会社の子会社の一つを買収しNew Szczecin造船所(SNN)の基礎を立ち上げた。SNNが、破産管財人から造船設備を借り受け、造船事業を再スタートすることをARPが保証した。
 
 Szczecin造船所の破産は全造船分野の信頼性を悪化させた。最大の負債額を有するGdynia造船所は最も影響を受けている。Szczecin造船所のケースのようなリスクを避けるため、全ての債権者は払い戻しを行い、そのため資金不足は下請け企業やサプライヤーヘの支払いの遅延の増加を引き起こした。2002年末Gdyniaグループ(GdiniaとGdansk)は運転活動をスローダウンした。同グループは2002年に資金損失を計上した。
 Szczecinの破産とGdyniaとGdanskの借金はそのサプライヤーの大半に激しく打撃を与え、多数の企業に財政逼迫を拡大した。
 
 これにも係わらず、2002年のポーランドの造船の生産量は比較的前向きであった。30隻を完成した。全て外国向けで、合計497,562CGT、7.14億米ドルであった。2001年の結果と比較すると若干増加であった。完成した船の大半はコンテナ船とこれを追うように自動車運搬船、貨物船、RORO船、ケミカル船、フェリー、非貨物の特殊船であった。
 
 手持工事量は、破産したSzczecin造船所の契約のキャンセルによって、本質的な減少となり、2002年末で、51隻(全て外国向け)1,232,029CGT、18.44億米ドルであった。これは2001年と比較するとCGTで36%、価格で35%の減少であった。
 しかし、2002年末にNew Szczecin造船所(SNN)が6隻のケミカル船の契約にサインしたことはすばらしかった。それらの船のプロトタイプはすでに2001年に建造に入っており多くの技術的問題が発生していた。この契約へのサインは、同造船所に対する船主の永続した信用を示すものでありプロトタイプの問題を乗り越えたことを意味する。発注されたケミカル船は鋼製の2重貨物タンクを持ち、このクラスでは最大である。
 
 2002年の末に新造船分野に従事する全労働力は、15,500名を数えた昨年と比較して3,500名少なくなった。Szczecin造船所の破産で6,000名が職を離れたが彼らの大半はNew Szczecin造船所(SNN)に再雇用された。
 
修繕
 2002年の修繕ヤードの累積結果は前向きであった。修繕の売り上げは10.7千万米ドル(2001年は7.9千万米ドル)、改造が5.5千万米ドル(2001年は5.9千万米ドル)であった。最大の修繕ヤードGdanskのRemontowa造船所は追加的に特殊目的船の新造を増加させた。
 
 企業の利益率については、大型ヤードで修繕以外に改造が大きな比率を占めるものは、穏当な利益を稼ぎ出した。小型ヤードは厳しかった。Remontowa造船所は2001年に完全に民営化し、全てのクラスでリーダーとなっている。2002年には成功裏に何隻かのフェリーとケーブル敷設用の2隻のRORO船とシャトルタンカーの改造を成し遂げた。新造についても、トルコの海岸発電プラント向けのTransshipperという名前の石炭やその他バルク貨物用の浮上揚貨装置が注目を集めた。
 
 修繕ヤードの全雇用者は4,700名にのぼり、2001年に比べ若干増加した。







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