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フィンランド
一般状況
 経済の進展は過去と比べて2002年は変更なし。GNPは2002年に0.6%増加した。2003年には1.8%の増加が予測されている。2002年の産業生産は1.3%増加した。2003年には1.8%の成長が期待されている。フィンランド経済の長期にわたる厳しい問題である失業は現在明確な変化の兆しはなく、次年では減少していくと予想される。
 
造船
 2002年の実際の造船動向に大きな変化はない。年末の造船所の手持工事量は7隻の大型船を含んでおり、トータルで54万CGTである。しかし2002年では、造船所が新規発注を勝ち取るのは徐々に難しくなった、年間で確保できたのはたった3隻の新造船でトータル15.6万CGT、一方引渡しは7隻、35.8万CGTとなった。
 
 2002年末現在、造船所は、優秀な6000名を直接雇用している。それに加え、造船所内で従事する様々な下請け事業者によって3000名が雇用されている。
 
 造船所、下請企業、設計事務所の間の協力関係を向上させる目的でまた部門の利益をうまく確保するために、2001年末に向けて新組織としてフィンランド海事産業協会が設立された。2002年末には参加者は40社となり、新造ヤード、舶用サプライヤー、ターンキーサプライヤー(完成品引渡し社)、またオフショアー産業と設計事務所で構成される。
 
 2001年と2002年には新造受注がほとんど得られなかったため、新協会は2002年の初めにフィンランド政府に対し、フィンランドにおける新造船危機の虞を緩和するあらゆる可能性の検討を要求した。
 
フランス
一般状況
 高い経済進展があった3年間の後、2002年に米ドルが対ユーロ価値を20%失った。これは輸出産業、特に造船産業が厳しいことを意味する。
 
 2002年と2003年初のフランスの一般経済状況は、およそ1.5%から2%の成長レートで、極めて緩慢と言える。失業率は、9%からほぼ10%まで上昇を始めた。
 
造船
 2001年の初めから世界的にクルーズ船のオーダーがほぼ完全に止まったため、フランス造船所の手持ち工事量は激しく落ち続けている。
 
  1997 1998 1999 2000 2001 2002
年末手持ち工事量 484 716 1230 1275 925 686
引渡し 212 233 248 343 460 353
単位1000CGT
 
 LNG船分野ではアトランティック造船所(Chantiers de l'Atlantique)が、技術的革新で中型サイズの発注を顕著に受注できた。しかし大型サイズについては韓国ヤードのダンピングに対抗することはできなかった。
 
 規模で第2位のフランス造船所、CMNはスーパーヨットの市場の上昇を確認した。
 
 Alstom Leroux NavalはそのLorient造船所で海洋調査船の建造に忙しかった。しかしSaint-Malo造船所は2003年初に閉鎖された。
 
 他のCSCNメンバー(Piriou, Socarenam, Ocea)は漁船とヨット並びに様々な特殊船を建造した。
 
 国有のDCN(艦船建造修繕)はそのリストラを進め、また2003年6月には民間会社になる予定である。
 
修繕
 活動は続いておりBrestとDunkerqueとSaint-Nazaireでフランス修繕業の最後のコアを支えている。Le HavreのSoreniとMarseillesのCMRは2002年に市場が持ち直したため、活動を開始した。
 
ドイツ
一般状況
 期待に反して、2002年に世界経済は回復しなかった。ドイツ経済の弱含みはまた続いた。悪かった2001年後半に比較して若干改善したものの、経済成長は緩慢で2001年の0.6%の後、2002年は0.2%であった。しかしEURO高にもかかわらず第2四半期が始まって主に海外需要から弾みがついた。輸入は2.2%下がったが、輸出は2.1%上昇した。成長はまた消費者支出の緩やかな加速によっても支えられた。対照的に投資は再び6.5%下がった。低金利と低インフレ率は大きな景気刺激とはならず、むしろ雇用にマイナスの衝撃を与えた。失業率は既に高い率であるが、再び9.8%へ上昇し、社会保障システムの追加配分が必要となり、国の赤字予算が増加した。これにより、再選された政府にとって、市場刺激策としては、特に社会保障システムと労働市場において、構造改革を行う以外に手がなくなった。
 
造船
 2002年は、造船所の雇用は、手持工事量がまだあるため、確保された。ドイツ造船所は68隻、合計1.2百万CGT、価格で3.4百万ユーロをこの年引き渡した。これは昨年の結果をかなり越えている。しかし2002年引渡しの何隻かは、そのほとんどが2001年に完成されていたものである。このような状況から、2000年から2002年の間では、年間平均生産レベルとして約1.1百万CGT、3億ユーロ、約60隻というのが適当のようである。このような状況は1年前から見られている。
 
  隻数 1000GT 1000CGT 百万ユーロ
建造量 2000 63 1006 976 2329
2001 53 1107 1065 3011
2002 68 1283 1229 3416
受注量 2000 158 2436 2186 5562
2001 17 135 138 496
2002 50 813 742 1681
手持ち工事量 2000 199 3761 3670 10646
2001 147 2703 2649 7832
2002 119 1935 1912 5511
 
 2002年は全引渡し船の中で、コンテナ船がほぼ50%、旅客船とフェリーが40%であった。他の引渡し船の中にはダブルハルの油兼LPGタンカーやRORO船、2隻の専用化された高付加価値船が含まれる。
 
 世界の造船業の厳しい価格競争によって、ドイツの造船所は、2002年にはある程度の新規受注で手持工事量を増やしたが、前年の受注不足を取り戻すところまで行かなかった。EUが2000年末に全ての輸出契約補助金を廃止した後、ドイツ造船所としては、韓国造船所の不公正競争によるコストもカバーしない新造船価格による影響を被った。2001年1月から2002年9月までの21ヶ月間で、ドイツの造船所は3十万CGT、10億ユーロの発注量のみしか獲得できなかった。これは通常の年間建造量の3分の1である。EUが2002年の10月に暫定保護メカニズムの開始許可を出した後、ドイツ造船所は第4四半期の間に約10億ユーロの受注を確保できた。それでも手持工事量は106億ユーロから55億ユーロヘ減少した。また2つの造船所にとってEUの決定は遅すぎた。彼らは破産を宣言せねばならなくなった。
 
 大量の雇用者を留めておくことは不可能であるが、破綻後も4年間は保障がなされる。2001年と2002年の新造船発注が低いレベルなため、雇用は2002年の間は23300名でこのうち商船建造に従事するのは16800名という数字に戻り始めた。
 
 艦船建造や修繕、改造、またはボートやヨット、内陸河川船舶の建造といった全ての他の活動を含めて、ドイツ造船所の売り上げは47億ユーロから53億ユーロヘ増加した。輸出割合は58%に達する。(2001年:64%)
 
修繕
 2002年にドイツ造船所で実施された修繕と改造は昨年に比べほぼ安定を保った。2002年の修繕と改造事業の総売上は59.1千万ユーロに達する(2001合計:67.4千万ユーロ)。減少は主に新造船部門で仕事があったのと2つの造船所の破綻が原因している。破産した会社は修繕と改造事業をやっていた。このレポートを書いている今も両造船所の将来は決まっていない。
 
 為替レートの変化でポーランド造船所の競争力が前半期弱くなった。しかし後半期この傾向は再び変わり、ポーランドはまた東欧の低コスト競争者と同様に、鉄工と塗装工事契約に関して特に強くなった。スペイン造船所は改造について、またオランダ造船所はヨット市場において強い競争相手である。
 
 安全規制と検査の強化がドイツ修繕事業に大きな衝撃を与えないのに対して、2003年1月1日から適用されるTBTを含む防汚システムのEU統一禁止措置は、まだ発効していないIMO規則の前倒しであり、EU域外の修繕造船所に対し、ドイツ修繕造船所の競争力を明らかに低下させることとなる。
 
ギリシャ
造船
 2002年については2001年の手持工事量と変化なし。
 
修繕
 2001年に比べて売り上げが減少。低賃金国の参入が産業に影響している。引き合いの数も落ちている。売り上げ数値は2002年で回復した。
総売上 6.3千万米ドル
230隻の修繕船
9箇所の乾ドックを運営
修繕労働力は平均2200名
 
イタリア
一般状況
 政府は、ECがリスボンとバルセロナで採択した決定に沿って、財政問題の解決、柔軟な労働システムの導入、社会福祉のリストラをベースとした政策を再確認し強化している。
 
 世界のマクロ経済は、残念ながらも期待されたような経済回復はなかった。そのような状況で、国内需要が収縮し、GNP期待値より低い成長率となった。しかしインフラや公共交通、南イタリアヘの公共投資の再出で失業を削減せねばならない。
(失業率 2002年9%、2003年8.5%)
 
造船
2002年の造船データは以下のとおり。
  隻数 GT CGT 価格 百万ユーロ(概値)
生産 18 635749 650765 1815
(内 輸出) 8 473350 537790 1307
受注 12 232640 292570 930
(内 輸出) 2 191000 238750 860
手持ち工事量 40 1456074 1687390 5311
(内 輸出) 12 886584 1118785 3538
 
修繕
 2002年は、引き合いと受注量についてかなりの減少が報告されている。これは中東や黒海のヤード(トルコ)による益々激しい競争による。
 
 2002年に成立した唯一の契約は、Palermo造船所の4隻の改造工事である。







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