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2. 重慶造船廠
(Chongqing Shipyard)
所在地:重慶市南岸区広陽鎮明月沱
Address: Mingyuetuo, Guangyan Town, Chongqing City, China
郵便番号:401339
Tel: 023-62490013
Fax: 023-62490888
URL:
E-mail:
 
資本形態:国有企業
創立:1976年1月
業務内容:主にデッキはしけ、採金船、発電所水門の開閉扉の大型スイッチ、汽船、曳船、ボイラー、変圧器等の生産を行う。
会社概要:重慶市にある中国船舶重工集団公司(CSIC)傘下の大型国営企業である。
法人代表:余礼明
董事長:
廠長:余礼明
従業員数:1,330人
敷地面積:87万m2
 
施設概要
スリップウエイ数:7
スリップウエイサイズ(最大船型、クレーン能力):
128m×15m(室内4基、室外3基、最大4,000DWT、80t×2、40t×1)
 
艤装岸壁数:1
艤装岸壁(クレーン能力): 150m(30t×1、15t×1)
 
実績(船舶部門)
  2001年 2002年 2003年
受注DWT/隻 1.4/4 1.0/2 0.6/4
竣工DWT/隻 2.1/6 2.9/8 0.8/2
手持DWT/隻 2.7/8 0.8/2 0.6/4
生産額(千万元) 1,564.8 1,859.9  
 
財務(2002年)
登録資本金:10,450万元(15.68億円)
固定資産:8,085.9万元(12.13億円)
売上高:5,798.2万元(8.70億円)
売上総利益:323.1万元(0.48億円)
税引後純利益:-4,236.2万元(-6.35億円)
 
備考
●企業の再構築を行っており、2004年上期内に完成する予定である。
 
2.1 企業概況
2.1.1 沿革
 
1976年1月 重慶造船廠として創立。大型国有企業である。
1990年 中央軍委副主席劉華清氏は重慶造船廠を視察。
1993年 国務院総理李鵬氏は重慶造船廠の建造した761ボードを視察。
1996年11月 法人代表兼廠長を杜伝から欣に変更。
2000年12月 法人代表を欣から余礼明に変更。
2001年 揚子江流域において積載車種、積載車輌が最も多くて、運行スピードの最も速い、設備性能の最先進の多機能型ローロー船を建造。
 
2.1.2 経営者及びその経歴
 
表2-1: 廠長の経歴
名前 余礼明
役職 法人代表、廠長
性別
生年月日 1955年10月
学歴 短大卒
職歴 期間 勤務会社 役職
  1976年2月〜1981年2月 工程兵建築1281団 軍人
  1981年2月〜1986年10月 沈陽景区34団 軍人
  1986年10月〜1987年4月 国営重慶造船廠人武部 職員
  1987年4月〜1989年7月 国営重慶造船廠組織部 副部長
  1989年7月〜1991年4月 国営重慶造船廠人武部 副部長
  1991年4月〜1992年4月 国営重慶造船廠機械分廠 書記
  1992年4月〜1996年11月 国営重慶造船廠廠長弁公室 主任
  1996年11月〜2000年12月 国営重慶造船廠 副廠長
  2000年12月〜現在 国営重慶造船廠 廠長
出典:MIRU調査
 
表2-2 その他の主要責任者の名前及び職務
名前 役職
朱代和 総工程師弁公室主任兼企画発展部部長
譚武 生産製造部部長
出典:MIRU調査
 
2.1.3 従業員構成
 
図2-1: 従業員構成図
出典:MIRU調査
 
 従業員総数は1,330人であり、うち技術者は411人で、従業員総数の29%を占め、管理職は374人であり、従業員総数の26%を占めている。
 
2.2 会社組織
2.2.1 会社組織
 
図2-2: 会社組織図
出典:MIRU調査
 
2.2.2 関連企業
 
表2-3: 主要関連企業の名称及び会社概要
関係 関連企業名称 会社概要
親会社 中国船舶重工集団公司(CSIC) 国務院の承認により設立された大型国有造船企業集団。
国家重点企業として中央政府が管理。(「北方集団」とも呼ばれる)
子会社 国営重慶造船廠自動車修繕廠 主に自動車の修繕を行っている。
自動車修繕廠の経営状況はよい。
提携会社 重沈変電器製造公司 重慶造船廠と沈陽変圧器廠との提携で設立した企業である。
国家エネルギー部及び中国船舶重工集団公司の承認より、大型電力変圧器の建造・修理の指定企業であり、220kV以下の各種大型電力変圧器の建造・修理の能力を持ち、中国唯一の大型変圧器の水上運輸のできる企業である。
開発された110kV大型変圧器は1993年に国家エネルギー部の認証を取得し、現在既に量産している。設備更新後、年間生産能力は130万kVAに達する見込み。
出典:MIRU調査
 
2.2.3 政府との関係
 
 国家の軍事工業の企業であったため、国家及び地方政府に重視され、多くの大型国有企業と同じように、ある程度の優遇政策を受けている。
 
 原材料及び生産設備の調達においては、中国船舶重工集団公司傘下の子会社であるため、中国船舶重工集団公司の指導の下で行われている。政府との関係がほとんどない。
 
2.3 業務
2.3.1 業務内容
 
 今までは、主に船舶の製造・修繕を行っていたが、現在は、主に変圧器、金属構造物及び部品、アルミニウム製品、木製家具等の製造・修繕、粘着剤の生産を行っている。
 4,000DWT以下の各種類船舶の設計・製造・修繕及び鉄鋼構造物の製造能力を持っている。
 中国船級社、日本NK社、フランスBV社、アメリカABS船級社の認証を取得した。
 重慶造船廠と沈陽変圧器廠が提携して設立された重沈変電器製造公司は、国家エネルギー部及び中国船舶重工集団公司の承認により、大型電力変圧器の修理・製造の指定企業となっている。
 
2.3.2 設備
 
表2-4: スリップウエイ数及びサイズ
スリップウエイ数:7
長さ(m) 幅(m) DWT クレーン 備考
128 15 最大4,000 80t×2、40t×1 室内4、室外3
出典:MIRU調査
 
表2-5 艤装岸壁
艤装岸壁数:1
長さ(m) クレーン
150 30t×1、15t×1
出典:MIRU調査
 
表2-6 その他設備の種類
設備名称 能力 数量 備考
水マット船舶移送回転盤   1 中国国内における先進的な水マット船舶移送回転盤であり、建造された船舶の進水、大型鉄鋼構造物及び大型変圧器の水上運輸を便利にした。
湿気取り器 DDH6000 1 1999年3月上海事必達特種塗装装備有限公司から購入。
砂吸取り機   2 1999年3月及び5月に購入。
油圧機 600t 1  
鋼板カッティング機   3  
パイプ・ベンダー   4  
出典:MIRU調査
 
2.3.3 受注・建造実績
 
表2-7 主要受注・建造実績一覧表
種類・用途 規格 船主 竣工日/
予定日
船名 その他
内河民用客貨船
(5隻)
  ミャンマー 1995年   受注量5隻。中国において今までで最も多い内河民用機動船の海外向け輸出であった。
超浅喫水客貨船   ミャンマー 1995年5月   内河浅水区域で使用できる新型の船舶である。
変喫水船   中国 2000年   初めて水面艦船において潜水艇の上浮き下潜水の原理を採用する。水面変喫水船の設計は中国国内において初めてであるが、世界においても先例を検索できなかった。当該船は多用途試験船として使用され、喫水の深さは中国国内の内河船舶の中で最大である。
自動車ローロー船 自動車400台搭載 重慶民生輪船公司 2001年11月 民蘇輪 ローロー船の全長は85.5メートルであり、自動車積載デッキは5階あり、乗用車、ワゴン車、軽型トラック、バス等、多種の車を約400台積載できる。
コンテナ船
(4隻)
140TEU 重慶民生輪船公司 2004年1隻目    
出典:MIRU調査
 
2.3.4 その他
 
設計レベル
 
 技術部には設計部門を構えてあり、主に内河船舶の設計・開発を行っている。
 
日系・外国企業との提携
 
 ロシアから輸入された高速船は揚子江中・下流流域において多く使用されているため、ロシア側と中国側とは重慶造船廠にて高速船保守サービス・センターを設立する意向で一致した。協議書により、ロシア側は高速船の技術及び部品の提供を担当し、中国側は具体的に保守業務を担当する。その他に、ロシア側と中国側とは水翼船、气泡船及び三体船においての技術提携について意向書を結んだ。
 
2.4 財務状況
2.4.1 資本金、出資者
 
表2-8: 主要出資者及び出資率(2002年12月31日現在)
出資者 出資率
中国船舶重工集団公司 100%
出典:国家工商行政管理局
 
2.4.2 売上げ
 
図2-3: 最近5ヶ年の売上額の推移
単位:万元
出典:国家工商行政管理局
 
2.5 今後
2.5.1 最近のトピック
 
1)鋼板の値上げは、新造船の採算がとれない。(2003年8月)
 重慶造船廠は武漢鋼鉄廠から鋼材を調達している。2002年には、CCS-A鋼板の価格は1トンにつき2,750元であったが、現在4,100元まで値上がりし、2002年より33%アップした。重慶民生輪船公司から受注した4隻の140TEUコンテナ船は現在の鋼板価格で計算すると、採算が取れなくなり、大幅な赤字が出るのは明らかである。
2)内河運送の需要に応じて高速水翼船の開発が進む。(2003年10月)
 中国西部の開発とともに、内河運送の需要が増加する見込みである。その需要増の見込みに応じて重慶造船廠は高速水翼船の開発を行っている。
 
2.5.2 事業計画
 
 元の軍工業企業であったが、最近、新造船の生産期間が長い、受注量が少ない、流動資金の不足で負債率が高い等の原因で、数年連続赤字が出ている。2002年度の赤字額は4,236.2万元(約6.5億円)であったため、2003年に入ってから企業の再構築を申請した。企業リストラ後の経営方針はまだ決まっていないが、方向性としては以下のように検討している。
1)主要業務を船舶の建造から自動車修繕等、他の業務へ転換。
 重慶造船廠は数年連続赤字が出ているが、諸業務のうち自動車の修繕業務が船舶関連業務と違って黒字が出ている。したがって、これから企業の経営方針は、船舶の建造から自動車の修繕等その他の業務に転換するとの見方が強い。
2)内河用の小型コンテナ船の建造を拡大。
 依然として新造船を企業の主要業務として行うが、揚子江流域の旅客船の供給がすでに飽和したことを考え、新造船の種類・用途は旅客船でなく、輸送船である内河用の小型コンテナ船の建造を拡大する経営方針とする。重慶市はこれから揚子江上流流域の水運センターを構築し、コンテナ輸送の拡大をはかり、年間取り扱い量70万TEUの寸港を建築し、2010年までに重慶港の年間取り扱い量は現在の20万TEUから120万TEUまでアップすることを計画している。一方、重慶長航集団等の運送企業も輸送業務の中にコンテナ運送率をアップすることを明らかにした。したがって、これから内河用の小型コンテナ船の需要が増える見込みである。重慶造船廠は、企業の再構築を2004年上期内に完成する予定である。







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