1.4 地区別
(1)大連地区
2月17・18日に開かれた2003年生産経営工作会議で大連地区の2003年の生産経営目標が決まった。即ち、工業総生産額96.53億元(約1,400億円、前年比18.7%増)、起工量166.6万DWT(前年比47%増)、竣工量134.69万DWT(前年比19.6%増)、受注量197万DWT、110億元(約1,650億円)。会議では、昨年引き渡されていない船舶を今年上半期に全て引き渡すよう意見が述べられた。また、3月中旬に設備企業の工作会議、品質管理会議を開催することも決められた。
(2)重慶地区
2月21・22日に開かれた2003年生産経営工作会議で重慶地区の2003年及び今後5年間の生産経営目標が決まった。
重慶地区の2002年は工業生産額が13億元(約195億円、対前年比23%増)、売上高が13億元(約195億円、対前年比23%増)、工業増加値が4.4億元(約66億円、対前年比15%増)となり、8年連続の赤字から2002年は黒字となった。
船舶工業企業16社は、1998年は11社が赤字であったが、2002年は4社に減少し、16社合計でも1998年の1.7億元(約25億円)の赤字が2002年は234万元(約3,500万円)の黒字となった。黒字化の原因は、破産、合併が各1社あったこと、1997年から2002年の間に全従業員の約1/3にあたる約1万人をレイオフ(シャーガン)したこと、売上高の35%にあたる新製品の開発等である。
今後5年間の計画としては、中国海軍艦船設備の最大の供給基地として、中国最強の機関設備の開発生産基地として、また、集団公司の特色ある非船舶製品の生産基地として、CSICの「5年で2倍、10年で4倍、20年で8倍」という目標に沿って、2020年に工業生産額、売上高で80億元(約1,200億円)を超え、5億元(約75億円)の利益を達成する。
(3)上海地区
上海地区の発展目標確定十六大党大会の精神で、CSSCの「五三一戦略」を実施。
2003年3月2日から4日まで、上海船舶工業公司(上海地区のCSSC傘下の企業集団)の2003年工作会議が行われた。
会議では、CSSCの「五三一の目標(2005年に世界第5位、2010年に世界第3位、2021年に世界第1位)」を達成するための2005年、2010年、2021年の上海地区CSSC企業の目標が示された。(表1.4)
2002年、CSSC上海地区の船舶工業企業の総生産額は100億元(約1,500億円)を超え、軍艦建造、造修繕量、建造能力、造船管理モデル、企業ブランド、企業改革、科学研究開発、従業員資質等で上海船舶工業発展のための基礎を作った。
東重機も、2003年の生産目標を6K80MC-C、7S80MC等8台、中速機関8台等50台/73万馬力と決めた。2002年の実績は、47台/70.6万馬力。
表1.4 上海地区CSSCの発展目標
目標 |
2005年 |
2010年 |
2021年 |
造船能力 |
350万トン |
800万トン |
建造施設・ソフト(建造技術・設計・開発・品質・建造周期・効率・利益)で世界先進レベルに。 クリーン造船、高効率造船等中国独自の先進造船管理モデルを創造。 |
船舶建造量 |
250万トン |
500〜600万トン |
世界の18%(シェア) |
エンジン生産能力 |
150万馬力 |
300万馬力 |
エンジン、補機、甲板機械、計器等の舶用製品は自国の需要を満足すると同時に、輸出体制に。 |
エンジン生産量 |
120万馬力
(5万kW高効率低速機関とクランクシャフトの生産実現) |
250万馬力 |
工業総生産額 |
150億元〜180億元 |
380〜400億元 |
|
外貨獲得額 |
|
30億ドル |
|
造船全体技術レベル |
4級 |
|
|
国産舶用設備率 |
50% |
70%〜80% |
|
ハイテク船生産額シェア |
40% |
50%〜60% |
|
従業員収入 |
上海市平均給与の上のレベル |
|
上海市平均給料の上のレベル |
|
(4)江蘇省
中国船舶工業行業協会江蘇省連絡所によると、中遠川崎船舶工程有限公司等江蘇省の主要8造船企業の竣工量は137.79万DWT(50隻)と前年比96.6%の大幅な増加となった。
速報値ではあるが、竣工した輸出船は44隻、55,929.39万米ドルで前年比70.6%増。受注量は61隻、247万DWTで、その結果2002年末の手持工事量は103隻、439.8万DWTと前年比15.1%の増加となった。
8造船所はいずれも順調に伸びたが、南通中遠川崎船舶工程公司が前年比212%、江蘇新世紀造船股 有限公司が前年比86.4%と大幅に竣工量を増やした。
業界関係者は、ここ数年の設備投資と技術導入の結果、江蘇省の造船所は発展の軌道にのったとしている。
江蘇省主要8造船廠の2002年の設備投資額は合計で2億2,148万元(約33億円)。11.5万平米の敷地・建屋、5万トン級の船台1基、300t、200t、100tのクレーン等が整備された。
表1.5 江蘇省の造船所の概況(2002年)
|
2002年 |
対前年増加率 |
受注量(万DWT)/隻数 |
247/61 |
− |
竣工量(万DWT)/隻数 |
137.79/50 (内輸出船44) |
96.6%(70.6%) |
手持工事量(万DWT)/隻数 |
439.8/103 |
15.1% |
|
表1.6 江蘇省主要造船所竣工量(2002年)
No. |
会社名 |
竣工量 (隻/万DWT) |
輸出船 (隻) |
外貨獲得額 (万ドル) |
手持工事量 (隻/万DWT) |
1 |
南通中遠川崎船舶工程有限公司 |
5/51.14 |
5 |
18,214 |
14/148.7 |
2 |
江蘇新世紀造船股有限公司 |
11/41 |
11 |
12,650 |
24/123.3 |
3 |
江蘇揚子江船廠有限公司 |
8/10.1 |
4 |
4,372 |
11/18.6 |
4 |
靖江蘇美達船舶工程有限公司 |
7/4.22 |
6 |
803.39 |
4/2.6 |
5 |
中商集団口岸船舶工業有限公司 |
3/4.48 |
3 |
3,170 |
10/12.6 |
6 |
江都亜海造船公司 |
3/7.2 |
3 |
3,350 |
18/82.2 |
7 |
江蘇江揚船舶集団有限公司 |
3/9 |
3 |
2,410 |
6/13.5 |
8 |
長江航運集団金陵船廠 |
10/10.65 |
9 |
10,960 |
16/38.3 |
|
合計 |
50/137.79 |
44 |
55,929.39 |
103/439.8 |
|
出所:中国船舶工業行業協会江蘇省連絡所
表1.7 江蘇省主要造船所の投資(2002年)
No. |
会社名 |
投資額(万元) |
整備面積(m2) |
備考 |
1 |
南通中遠川崎船舶工程有限公司 |
4,120 |
14,175 |
|
2 |
江蘇新世紀造船股有限公司 |
8,000 |
20,000 |
内作工場、ブロック場拡大で建造能力を6万トン向上 |
3 |
江蘇揚子江船廠有限公司 |
1,126 |
18,000 |
1,850TEUコンテナ船建造 |
4 |
靖江蘇美達船舶工程有限公司 |
|
|
|
5 |
中商集団口岸船舶工業有限公司 |
4,200 |
26,000 |
5万トン級船台完成 |
6 |
江都亜海造船公司 |
3,000 |
20,000 |
|
7 |
江蘇江揚船舶集団有限公司 |
|
|
|
8 |
長江航運集団金陵船廠 |
1,552 |
16,852 |
|
|
出所:中国船舶工業行業協会江蘇省連絡所
(5)九江
2003年2月21日、九江船舶工業公司は幹部会議を開催、3年かけて九江地区の企業改革・組織再編を行い、2003年は赤字を大幅に削減、2004年で収支を均衡させ、2005年に黒字化する。江州造船廠は、4隻の輸出船を竣工し、総生産額を2.6億元〜2.8億元(39億円〜42億円)に、江新造船廠は、12隻を竣工し、総生産額を1.2億元〜1.4億元(18億円〜21億円)とする。
(6)広州
広州地区船舶企業の2003年の経営目標が決まった。総受注額(新造船、修繕、非船舶の受注の合計)は52億元(約780億円)を突破、新船受注量は67万総合トン、39.7億元(約600億円)が目標。
広州広船国際有限公司の2003年の受注は、4万トン級タンカーを重点に33億元(約500億円、うち船舶受注27億元、51万トン)をめざす。
黄埔造船廠は、官庁船、特に1,000トン以上の巡視船を重点とする他、"黄埔型"漁船を普及することで、4億元(約60億円)の受注を目指している。
広州文沖造船廠有限責任公司は、年間13億元(約200億円)の受注を予定。造船はコンテナ船と浚渫船を中心に、修繕は高付加価値船と大型タンカーを中心に東南アジアとヨーロッパ市場を主とする。
桂江造船廠は武装警察船舶の受注を持続するとともに、良い船価の輸出船の受注をめざす。
西江造船廠は鉄鋼構造物の受注に努力する。
華南船舶機械廠は海洋工程市場の拡大と、新製品、高技術製品の開発で、年間契約額8,800万元(約13億円)を目標と決めた。
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