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 (3)事業の概要
 本事業は1994年、アモイ市政府が主管理機関、海洋管理課が執行機関となり開始された。また、事業管理のため、実行委員会が設置されてアモイ副市長が議長を担うことになった。この実行委員会は、計画、財政、海事、土地利用、環境、水産、港湾、観光などを網羅した20以上の政府機関が参加し、主な沿岸開発事業に関する分野間の協議、調整、検討を行う体制が構築され、以下の活動を含む23件の付属事業が実施された。
○環境調査
○環境管理戦略計画の策定
○行政体制改善および強化
○経済開発の生態的、社会経済的な影響調査
○沿岸養殖による汚染管理
○海洋投棄をはじめとした固形・危害廃棄物管理の評価
○Yuan Dangラグーンの評価
○計画および管理のためのGIS開発
○管理地図の作成
○環境基金と財団の設立
○海洋環境問題の広告
○沿岸管理に必要な規制の強化
○水質基準の設定およびモニタリングの実施
○Xinlin湾の統合廃棄物処理実施計画の策定
○統合的な法律執行
 (4)事業実施の成果
 本事業による成果として法制度面での改善が行われた。1994〜1998年の間にPEMSEAとの協力により実現した主な成果は以下のとおりである。
○環境保護に関する規則(1994)
○土地管理規則の策定(同上)
○都市計画規則の策定(1995)
○砂、土壌および岩の管理に関する規則(同上)
○運河交通管理に関する規則(同上)
○新停泊地からの養殖世帯撤去に関する公告(同上)
○Dayu島の白鳥のための自然保護区の管理対策(同上)
○アモイ付近でのアナゴ漁業の管理規制に関する公告(同上)
○浅海における養殖管理に関する規則(1996)
○沿岸環境プロファイル(同上)
○アモイ海洋汚染予防および管理のための戦略管理計画、市政府採択(同上)
○部署間海洋管理および調整委員会、市条例を基に設置(同上)
○海洋管理および調整委員会事務所、市の企画室の傘下に常時組織として設置(同上)
○統合法律執行団の運営(同上)
○市政府による海洋機能区域体系の認可および実施(同上)
○第3海洋研究所の指導下に統合海洋汚染モニタリングプログラム運用(同上)
○Jimei大学にGIS設備設置(同上)
○海域利用負担金管理対策(1997)
○市人民大会での海洋管理法規承認(同上)
○アモイ市政府による海域利用ゾーニングの採択(同上)
○多分野海洋環境モニタリングプログラム設置(同上)
○中国白イルカのための自然保護区管理の関する規則(同上)
○中国海洋開発白書にアモイ事業の掲載(1998)
○環境保護財団の設立(同上)
○研究調整体系の構築(同上)
○海岸線計画および管理に関する規則(同上)
○その他、技術分野での多数の報告書作成
 
 (5)アモイにおける海域利用ゾーニング計画
 1997年、アモイ市政府は、沿岸域の陸域と海域において生態系への配慮と社会経済機能とを統合するための機能的なゾーニング計画を採択した。このゾーニングの主目的は、アモイの海域の複合利用による競合を減少させ、当該沿岸域における社会的純益を最大限にし、生物多様性を守り、そして長期的な持続的成長を確かなものとすることにある。
 海域は、主要利用分野やそれと両立可能な分野、制限される活動分野を考慮に入れて、利用区分ごとに仕分けされている。アモイの海域ゾーニングは、主に「船舶航行/港湾ゾーン」「観光ゾーン」「養殖ゾーン」「沿岸産業ゾーン」「海洋工学ゾーン」「鉱業ゾーン」「自然保護ゾーン」「特別機能ゾーン」「環境修復ゾーン」に分類された。
 
図3-1 アモイ市のゾーニング計画
 
3-9 PEMSEAサイトを有する自治体間の協力
 2001年5月、韓国ソウルでは、PEMSEAサイトを有する自治体間の協力体として自治体地域内ネットワーク(Regional Network of Local Governments, RNLG)が結成され、第1回会議が開催された。本協力体は、自治体および地域社会の管理能力強化、国際スタンダードによる実施促進、自治体同士の協力および情報・経験の共有、環境投資の機会およびドナーとの協力促進を目的としている。第2回は2002年9月の中国・アモイ、第3回は2003年12月にマレーシア・プトラジャヤで開催された。また、第4回は2004年にインドネシア・バリで開催される予定である。
 PEMSEAのサイトがある自治体は、カンボジアのSihanoukville、中国のアモイ、北朝鮮の南浦、インドネシアのBali、マレーシアのKlang、タイのChonburi、ベトナムのDanang、フィリピンのBatangasとBataan、韓国の安山・始興・華城であるが、全体としては、県レベル11、市レベル36、区レベル21の計68の自治体が参加している。PEMSEA加入国12カ国のうち、日本、ブルネイ、シンガポールの 3カ国にはサイトが存在せず、したがってRNLGには参加していない。また、中国のアモイ、フィリピンのBatangasは第1期のサイトであるが、RNLGの活動にも参加している。
 







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