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□第六回 1/17(土) まとめの会(講評:嶋野氏)
 最後の会となる第六回ワークショップは、参加者によるレポート発表の場として位置づけた。そして、14年度事業中より事業の内容や方向性、また手法などに関し多くの助言を頂いてきた嶋野氏をオブザーバーとして迎え、参加者の発表を含め、本事業についての講評を頂いた。
 嶋野氏は、文部科学省初等中等教育局視学官として全国各地の教育現場を視てこられ、また実際に外部機関との恊働に加わってこられた。ご自身も教員を経ており、学校側と外部側、双方の立場について詳しいことから、オブザーバーとしての参加を依頼した。
 回の流れとしては、はじめに参加者によるレポートの発表を行い、次に主催者側から一年の振り返りを発表し、最後に嶋野氏から講評を頂いた。
 
第6回ワークショップ
 
▼レポート内容の発表
 
高橋先生 子どもたちを「海」という学習材に向かわせるために〜「はじめに子どもありき」の考えをもとに〜
斎藤先生 ワークショップ「海に学ぼう」をふり返って
中川先生 地元の博物館とのコラボレーション事例〜若い世代の教員や、ITに関心の高い教員向けに〜
川原先生 外部機関との協働授業への取り組み〜大久保小学校での取り組みから〜
武澤先生 干潟フィールドワークについて
今井先生 地域学習における地元の協力の重要性とその課題
磯貝先生 干潟学習(小櫃河口干潟)から考えること
右田先生 未来の海浜学習プロジェクト
田中先生 今回の巡検を実際に授業に生かした例
杉本先生 海を題材とした学習(案)
五島先生 「海の総合」カリキュラム開発
久保田先生
田村先生
SOF 海の学習の普及のために必要なことを考える
 
▼嶋野氏の講評
 以下は、まとめの会における嶋野氏の講評をまとめたものである。
 
 各レポートからは以下のように5つの成果を抽出することができる。
 
1. 海を丸ごと扱った教育の重要性の確認
 日本は海洋国でありながら、教育で海を丸ごと取り上げた事例はいまだかつてなく、全く新しい試み。各教科の教材の中に取り上げていることもほとんどないと言って良いと思う。
 →総合的な学習の時間ができたことや、教育が非常に柔軟で弾力的になってきたということからも、非常に良い取り組みであり、タイミングも良い。
 
2. テーマ学習の4つの視点の再確認
a. 海「を」学ぶ
b. 海「で」「に」学ぶ
c. 海を「育む」
d. 海に「役立てる」
 これらの4つの視点は相互に関係しあいながら、かつ教科や学校によって重点化が起きる(重点化するべきである)。
→教科による重点化の例
・社会科(郷土学習など):a、b
・総合的な学習の時間:b、c、d
→学校による重点化の例
・海が身近:a、b、c、d
・海が身近ではない:a(きっかけ作り)
 
3. 海を学習の対象と場として認識することと、それを加味した全体計画の重要性
 海は単なる教材、つまり学習の対象ではなく、学習の場でもある。
→教材としての賞味期限はない。教材の限界性が問題なのではなく、活動や着眼点の問題。
常に新鮮に学習させるにはどうしたらよいかという観点からカリキュラム開発を行うべきである。
 
 学校の全体計画を作成することは、決して総合的な学習の時間の活動を規制化したり狭めたりするものではない。
→各教員の個人的財産から学校の知的財産として共有していくべき。
 
4. 外部機関と学校の連携にとっての注意点
a. 学校を活性化させる視点が必要
 その刺激で学校が活性化するような、専門的な情報、指導のマニュアル、海の学習のカリキュラムを提供することが重要。
 
b. Do It Yourself
 画一化やマニュアル化を防ぎ、自身が作成したという実感を持ってもらうために、学校が手を加えて作り出していく面白さの余地を残すことが大切。
 
b. Give and Take(互恵性)
 一方通行ではなく、お互いに望むものを明確に打ち出し、それに応えあうことが大切。
 外部機関と学校にはそれぞれ以下のような特徴がある。
外部機関:その分野領域の専門性 but 端的に教えたがる
学校:教育的視点 but 専門性が広いけど薄い
→それぞれの長所をかみ合わせることで、効果的な成果物を制作することができる。
 
5. 情報提供の重要性。
 学習指導要領の一部改正では、指導要領の基準性を明確にして、それが十全に行われた上においては、指導要領に示されてない内容も取り扱うことができるようになる。
→どういう教材があるのか、どういうところからそれを学べるのかといった情報がますます求められるだろう。







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