1. 離島航路事業者へのアンケート調査結果
鹿児島県において離島の旅客定期航路事業を運営する旅客航路事業者を対象として、アンケート調査を実施し、各航路におけるバリアフリー化の現状やバリアフリー化を推進する上での問題点、今後の取り組みの方向性などを把握した。
(1)調査の概要
対象となる15事業者に対して、郵送法・自記式によるアンケート調査を行った。なお、鹿児島県内の港湾と、県外の港湾を結ぶ航路を運営する事業者も対象とした。
回収状況は、有効回答数15事業者、回収率100%となっている。
表4-1-1 アンケート対象事業者
地区 |
航路名 |
事業社名 |
距離 |
所要時間 |
便数 |
船種 |
指定 区間名 |
番号 |
北薩 |
串木野~甑島 |
甑島商船(株) |
85.2 |
フェリー1:10
高速船0:50 |
フェリー 2/日
高速船 2~3/日 |
フェリー
高速船 |
甑島 |
1 |
天草~長島 |
天長フェリー(株) |
10.0 |
0:50 |
7/日 |
フェリー |
片側長島 |
2 |
米ノ津~御所浦 |
(有)波戸汽船 |
36.0 |
1:30 |
1/日 |
旅客船 |
片側長島 |
3 |
宮ノ浦~伊唐~ 幣串 |
(有)山坂汽船 |
10.2 |
0:40 |
5/日 |
旅客船 |
幣串長島 |
4 |
牛深~水俣 |
江崎汽船(株) |
58.0 |
1:05 |
4/日 |
高速船 |
獅子島水俣 |
5 |
鹿児島 |
鹿児島~三島 |
三島村 |
153.0 |
6:45 |
3/週 |
フェリー |
三島 |
6 |
鹿児島~十島~ 名瀬 |
十島村 |
435.0 |
18:00 |
2/週 |
フェリー |
十島 |
7 |
熊毛 |
鹿児島~種子・ 屋久 |
いわさきコーポ レーション(株) |
種子島115.0
屋久島135.0 |
種子島1:35
屋久島2:35 |
5~6/日 |
ジェット フォイル |
種子島
屋久島 |
8 |
鹿児島~種子島 |
九州商船(株) |
115.0 |
3:50 |
1/日 |
フェリー |
種子島 |
9 |
鹿児島~屋久島 |
折田汽船(株) |
135.0 |
3:45 |
1/日 |
フェリー |
屋久島 |
10 |
宮ノ浦~口永良 部・島間 |
上屋久町 |
73.0 |
3:20 |
1/日 |
フェリー |
口永良部 |
11 |
奄美 |
鹿児島~那覇 |
マリックスライン (株) |
733.0 |
24:00 |
1/2日 |
フェリー |
奄美諸島
与論鹿児島
与論沖縄 |
12 |
鹿児島~那覇 |
大島運輸(株) |
733.0 |
24:00 |
1/2日 |
フェリー |
奄美諸島
与論鹿児島
与論沖縄 |
13 |
鹿児島~喜界~ 知名 |
奄美海運(株) |
661.0 |
21:50 |
5/週 |
フェリー |
喜界島
奄美諸島 |
14 |
瀬相~古仁屋~ 生間 |
瀬戸内町 |
瀬相7.7
生間5.2 |
瀬相0:25
生間0:20 |
7/日 |
フェリー |
加計呂麻島 |
15 |
与路~古仁屋 |
瀬戸内町 |
32.0 |
1:17 |
1~2/日 |
旅客船 |
請島与路島 |
16 |
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(2)アンケート回答事業者の属性
(1)経営形態
回答のあった航路事業者の経営形態は、「民営事業者」が9事業者で全体の6割を占め、「公営事業者」が4事業者、「第3セクター」が2事業者となっている。
図4-1-1 回答事業者の経営形態(n=15)
(2)資本金規模
民営事業者および第3セクターの資本金規模は、「1億円以上」が最も多く4事業者で、これらはいずれも民営となっている。このほか「1,000~3,000万円」が3事業者、「3,000万~1億円」と「1,000万円未満」が2事業者ずつとなっている。
図4-1-2 民間事業者および第3セクターにおける資本金規模(n=11)
(3)従業員規模
従業員規模は、「30人未満」が7事業者で全体の約半数を占める。公営の4事業者は、全てここに含まれる。一方、「50~99人」と「100人以上」をあわせた5事業者はいずれも民営事業者で、全体の1/3を占めている。
図4-1-3 従業員規模(n=15)
(4)輸送実績
各事業者の離島の旅客定期航路事業における2002年度の輸送人員は、「3万人未満」が最も多く、全体の4割を占める。これを含めて、輸送人員が10万人までの事業者は9事業者あり、全体では6割となっている。また、「100万人以上」と回答した事業者はなかった。
図4-1-4 2002年(平成14年)度の輸送人員(n=15)
過去3年間の輸送実績の推移をみると、「増加している」と回答した事業者は2事業者(十島村、いわさきコーポレーション)、「ほぼ横ばいである」とした事業者は、6事業者あった。全体では「減少している」と回答した事業者が7事業者で最も多く、約半数を占めた。「減少している」とした事業者の2002年度の輸送人員をみると、「3万人未満」が4事業者、「3万~5万人」が2事業者となっており、小規模な航路であるほど輸送実績が減少傾向にあるといえる。
図4-1-5 過去3年間の輸送実績の推移(n=15)
(5)収支状況
各事業者における、離島の旅客定期航路事業の2002年度の収支状況をみると、無回答を除いた12事業者のうち、黒字と回答したのは3事業者のみで、それ以外の9事業者は赤字であった。赤字の事業者のうち「1億円以上の赤字」が3事業者で1/3を占めることからも、離島航路の収支状況が厳しいことがわかる。
図4-1-6 2002年(平成14年)度の収支状況(n=15)
(6)国庫補助状況
航路別に国庫補助航路への指定状況をみると、18の対象航路のうち、「補助航路で補助を受けている」が全体の1/3にあたる6航路、「補助航路だが補助を受けていない」は1航路である。また「補助航路でない」は、約半数にあたる10航路となっている。
図4-1-7 国庫補助航路の指定状況(n=18)
(7)地方自治体からの補助状況
地方自治体からの補助状況では、補助を受けているのが9事業者、受けていないのが5事業者となっている。補助を受けている事業者のうち、「県・市町村から」が最も多く4事業者で、次いで「県から」が3事業者となっている。
図4-1-8 地方自治体からの補助状況(n=15)
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