序章 調査の背景と概要
序.1 調査の背景と目的
・平成14年度の「離島における廃棄物等の処理・輸送に関する調査」において長崎県の離島(五島、壱岐、対馬等)をモデルケースとして循環資源の輸送の可能性、条件等を検討したところであるが、この実現のためには、受け入れ側の問題点、対応策等を検討する必要がある。
・また、地球温暖化に対応した環境問題への対応として、CO2発生量の少ない海上輸送の促進(モーダルシフト)が重要であり、循環資源の海上輸送を可能とする輸送ルートの構築が求められている。
・一方、トラック輸送への偏重が続く中、海運、港運等の海事産業の振興策として循環資源やリサイクル製品の海上輸送の促進が求められている。
・リサイクル施設団地として全国的な先進事例である北九州エコタウンにおいても循環資源の収集やリサイクル製品の搬出は、トラック輸送が中心であり、海上輸送は、ゼロに等しい状況にある。
・北九州エコタウンでは、現施設及び計画施設の順調な稼働のためには、現在の北九州圏とともに、九州の離島や関西、関東等の広域圏での循環資源の収集やリサイクル製品の搬出が求められている。
こうしたことから、本調査は、北九州港をモデルケースとして、九州の離島、関西、関東等の広域圏と北九州エコタウンのリサイクル施設群における循環資源、リサイクル製品の輸送の現状、海上輸送へのシフトの可能性を把握し、循環資源、リサイクル製品の海上輸送の推進のためのハード・ソフト両面の対応策を検討、提案し、海事産業の振興を通じた循環型社会の形成に資することを目的とする。
序.2 調査項目
(1)循環資源・リサイクル製品の収集・搬出圏の検討
関係者へのヒアリング調査により、北九州エコタウンの循環資源の収集、リサイクル製品の搬出の該当品目、エリアを予備的に検討する。
(1)循環資源の収集圏
(2)リサイクル製品の搬出圏
※品目別
※エリア
離島(長崎、鹿児島、沖縄)
関西
関東
日本海側 等
海外(リサイクル資源の搬出)
(2)循環資源の輸送ニーズ等の把握
(1)で検討、把握された広域圏を対象に、循環資源の収集における輸送ニーズ、輸送機関別の利用条件、海上輸送へのシフトの条件等を把握、整理する。
(1)品目別の発生量、北九州への輸送ニーズ(品目別・輸送機関別の量)
(2)品目別・輸送機関別の条件(荷姿、頻度、所要時間、コスト等)
(3)海上輸送シフトの条件(所要時間、コスト等)
(3)北九州エコタウンにおける静脈物流の現状
北九州におけるリサイクル等の環境関連産業、静脈物流の現状、計画を把握・整理する。
(1)リサイクル等の関連産業の現状、計画
(2)静脈物流の現状(収集・搬出圏、輸送手段、荷姿、コスト等)
・循環資源の収集
・リサイクル製品の搬出
(3)静脈物流の問題点の整理(関係者ヒアリング)
(4)静脈物流の事例の検討
北九州港及びそれ以外での静脈物流の事例(船舶、JR貨物等)を検討する。
(1)北部九州
(2)離島(長崎県等)
(3)西日本(瀬戸内海)
(5)海上輸送の利用条件の検討
循環資源を海上輸送するためのコスト、施設等の条件を検討、整理する。
(1)輸送コスト比較(見積書の比較検討等)
(2)適切な輸送事業者の確保(収集運搬業許可等)
(3)港湾施設の確保(岸壁、ストックヤード等)
(4)その他の要件
(6)海上輸送により期待される効果の検討
循環資源、リサイクル製品のトラック輸送から海上輸送へのシフトにより期待される効果を検討する。
(1)環境改善効果(CO2等の削減)
(2)港湾施設の利用促進(岸壁等の利用増大)
(3)海事産業の振興効果(海上輸送、荷役等の売上増大、輸送コスト)
(7)海上輸送の促進方策の検討
(1)〜(6)までの循環資源、リサイクル製品の海上輸送のニーズ、利用条件、事例等に基づき、海上輸送・モーダルシフト促進方策を検討する。
(1)基本的な考え方
(2)海上輸送ニーズ及び利用条件の整理
(3)モデル輸送の検討(発着港、船型、取扱品目、荷姿、荷役方法等)
(4)ソフト面(運賃等)の方策の検討
(5)ハード面(港湾施設等)の方策検討
(6)その他の方策の検討
(7)官民の役割分担
(8)実現に向けた課題の整理
(7)で整理した循環資源等の海上輸送への促進方策の実現に向けた課題を整理する。
序.3 調査フロー
序.4 アンケート調査
(1)調査目的
北九州市への循環資源輸送状況、ニーズおよび北九州市からのリサイクル製品の搬出状況、ニーズを把握するため、アンケート調査を行った。
(2)調査対象
アンケート送付先は、以下のとおりである。
表−序.1 アンケート送付先
業種 |
送付数 |
選定基準 |
(1)北九州市の許可を取得した産業廃棄物中間処理業者 |
136 |
全てを選定 |
(2)北九州市の許可を取得した産業廃棄物収集運搬業者 |
378 |
(1)福岡県外に事務所を所有し、取扱品目が5種以上の業者を選定 (2)福岡県内で取扱品目が15種以上の業者を選定 |
(3)港湾運送事業者 |
114 |
全国(北海道、東北太平洋岸を除く)の主要港湾で営業している大手業者を選定 |
(4)関東(1都6県)、九州離島(対馬島、壱岐島、五島列島、奄美大島)の排出業者(産業廃棄物中間処理業者) |
東京都 |
71 |
取扱品目が5種以上の業者を選定 |
神奈川県 |
92 |
取扱品目が5種以上の業者を選定 |
千葉県 |
118 |
株式会社を選定 |
埼玉県 |
94 |
取扱品目が4種以上の業者を選定 |
栃木県 |
14 |
大手業者を選定 |
茨城県 |
14 |
大手業者を選定 |
群馬県 |
15 |
大手業者を選定 |
長崎離島 |
29 |
離島内での大手業者を選定 |
鹿児島離島 |
9 |
離島内での大手業者を選定 |
計 |
456 |
|
合計 |
1,084 |
|
|
(3)アンケート実施期間
このアンケートは、以下のスケジュールで実施した。
発送 平成15年9月5日(金)
締切 平成15年9月19日(金)
(4)実施方法
(2)の調査対象箇所に郵便によりアンケート票を配布し、郵便またはFAXにて回収した。
(5)調査項目
調査項目は、参考1. に掲げるアンケート票(P97〜P117)のとおりである。なお、アンケート票は調査対象の業種ごとに4種類作成した。
北九州市の許可を取得した産業廃棄物中間処理業者用・・・p. 98 〜 p.102 参照
北九州市の許可を取得した産業廃棄物収集運搬業者用・・・p.103 〜 p.107 参照
港湾運送事業者用・・・p.108 〜 p.112 参照
関東、九州離島の排出業者(産業廃棄物中間処理業者)用・・・p.113 〜 p.117 参照
(6)回収状況
アンケート回収率は、全体で21.0%であった。
業種別にみると、北九州市の許可を取得した産業廃棄物中間処理業者の回収率が24.6%とやや高くなっている。
表−序.2 アンケート回収状況
業種 |
発送数 |
無効発送数 |
回収数 |
回収率 |
北九州市の許可を取得した 産業廃棄物中間処理業者 |
136 |
6 |
32 |
24.6% |
北九州市の許可を取得した 産業廃棄物収集運搬業者 |
378 |
11 |
80 |
21.8% |
港湾運送事業者 |
114 |
0 |
22 |
19.3% |
関東、九州離島の排出業者(産業廃棄物中間処理業者) |
456 |
17 |
87 |
19.8% |
合計 |
1,084 |
34 |
221 |
21.0% |
|
注:無効発送数とは、住所変更等によりアンケート票を届けることができなかった企業数。
(7)調査結果
調査の結果については、第1章から第4章に記載したほか、各調査項目ごとの集計結果を 参考1. の2. アンケート回答(循環資源の輸送機関を選択する上での問題点)にまとめた。
序. 5 ヒアリング調査
(1)調査目的
北九州市への循環資源輸送状況、ニーズ、輸送のための条件、問題点等を把握することを目的に、北九州市の許可を取得した産業廃棄物中間処理業者、産業廃棄物収集運搬業者、港湾運送事業者、関東、九州離島の排出業者(産業廃棄物中間処理業者)、関連団体へのヒアリング調査を行った。
(2)調査対象
ヒアリング先は、以下のとおりである。
表−序.3 ヒアリング先
対象 |
ヒアリング数 |
行政 |
6 |
北九州市の許可を取得した産業廃棄物中間処理業者 |
5 |
北九州市の許可を取得した産業廃棄物収集運搬業者 |
10 |
港湾運送事業者(関東 等) |
2 |
関東、九州離島の排出業者(産業廃棄物中間処理業者) |
8 |
関連団体(関東) |
1 |
合計 |
32 |
|
(3)ヒアリング項目
(1)行政
・広域的な循環資源輸送状況(量、品目、輸送機関、業者名 等)
・循環資源の輸送に関する問題点
・検討、計画されている対応策 等
(2)民間業者(北九州市)
・循環資源取扱状況(量、品目、処理内容、排出業者名 等)
・循環資源取り扱いに関する問題点
・今後取り扱いを考えている循環資源 等
(3)民間業者・関連団体(関東等)
・北九州市への循環資源輸送の実績(量、品目、処理内容 等)
・北九州市への循環資源輸送の可能性(量、品目、処理内容 等)
・循環資源取り扱いに関する問題点
・今後取り扱いを考えている循環資源 等
|