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2.貝のくらし
貝の住む場所
 貝は深い海から山地までいろいろな場所に住んでおり、それぞれの場所に適応しています。
 
海に住む貝
 海に住む貝は、サンゴ礁や潮間帯の岩礁(がんしょう)、干潟(ひがた)、砂浜そして海底などさまざまな環境(かんきょう)で生活しやすいような工夫をして住んでいます。
 サンゴ礁や岩礁は、波が荒いため、ここに住む貝は、波に流されないような工夫をしています。
 
波にながされない工夫
(1)岩にすいつく吸盤(きゅうばん)のような強い足で岩にへばりつく
 これらの貝は食事の時や繁殖期(はんしょくき)、寒さ暑さを避ける時には、はって移動しますが、普段はその吸着力(きゅうちゃくりょく)によって荒波にさらされることはありません。
(2)足糸(そくし)という糸を分泌して岩や石に体をしばりつける
 ヘリトリアオガイの仲間などがこの方法をとります。
(3)セメント質で岩や石に体をくっつける
 カキ類やウミギク類などの二枚貝類と巻き貝ではヘビガイ類の仲間がこのようにして体をくっつけます。
(4)かたい岩に穴をあけて住む
 ニオガイのようにヤスリ状になっている殻を回転させて穴を開ける貝と、イシマテガイのように酸性の物質をだして岩をとかす貝がいます。
 
河口や干潟に住む貝
 海と川の水がまざりあう河口や干潟、マングローブ林には、川からの養分のため、貝のえさとなる有機分やプランクトンが多いところです。これらをえさにする二枚貝や巻貝の仲間が多くすんでいます。
 
陸に住む貝
 陸に住む貝はすべて巻き貝の仲間です。平地に住む貝と山地に住む貝に分けられ、それらは地上にすむものと樹上に住むものに分けられます。
 地上に住む貝は、落ち葉の下やくさった木の間など暗くしめった所を好みます。樹上に住む貝は、ほとんど木の上で生活していて地上に降りるのは、冬眠や夏眠をする時だけです。
 
海に住む貝
 
陸に住む貝
 
貝の食べ物
 貝類は主に海草をたべる貝、海水にとけている栄養分や小動物を食べる貝、肉食の貝、雑食の貝、腐肉食(ふにくしょく)の貝がいます。
 サザエの仲間やニシギウジガイの仲間が海草を主に食べます。これらの貝は肉がおいしいので、食用になります。
 タマガイの仲間は二枚貝の殻に穴を開けて中の肉を食べてしまいます。また、イモガイの仲間にはモリや矢のようになった歯舌歯(しぜつし)の毒が含まれていて、それを口から発射して魚などをつかまえます。
 ハマグリなどの二枚貝の仲間は、海水に住んでいるちいさな動物(プランクトン)や海水にとけている養分をこしとって食べます。
 タカラガイの仲間は、海の底にあるものは何でも食べてしまう雑食性の貝です。
 カラマツガイの仲間は岩の表面に生えている海草類を歯舌(やすりのような歯)でかぎ取って食べます。
 ムシロガイの仲間は肉食性の貝におそわれた貝やそのほかの動物の死体をバクテリアが分解するまえに食べます。
 
ソウ食性のサラサバティラ
 
肉食性のホラガイ
 
雑食性のホシダカラガイ
 
腐肉食性のアツムシロガイ







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