6. まとめ
1)日本製、欧州製、韓国製の船舶窓用ガラス、各4枚(317φ、10mm強化)をISO614のパンチテスト試験で評価した。
日本製と欧州製はほぼ同等で全て合格、韓国製はやや低位で1枚不合格となった。
2)ガラスの破損時発生応力から考え、この評価基準は通常ガラスメーカーが提案している許容強度レベルより若干高くやや厳しいものであるといえる。
3)パンチテストの代替試験候補として、表面応力測定と落球衝撃試験を調査した。
(1)表面応力を測定した結果は、日本、欧州、韓国ともほぼ同じ様な値であった。(あえて言うと、韓国>日本>欧州) この結果は強度結果と異なっており、これはガラス表面状況の差が影響していると思われる。
従って表面応力測定をもって代替評価とすることは出来ないと考えられる。
(2)落球衝撃試験が代替試験となる可能性があるかを検討した。
結果、ガラス厚み10mmの場合、2260g鋼球、約1.5mの落球衝撃で代替評価出来そうであるが、実際に提案するには、板厚、寸法の異なりを考慮した条件設定や、サンプル数を増しての評価精度の確認が必要となる。
さらに、この評価法をISOの規格改訂に繋げていくことはかなり難しそう。
以上より、パンチテストの評価基準はやや厳しいものであるが、受け入れ可能な試験方法と考えられます。
試験の具体化に対しては、今後、実施のための詳細検討、整理が必要です。
特に以下の項目について、検討が必要と考えられます。
7.1 ISO規格対応
・パンチテスト試験方法に関する規格見直し提案は当面行わない。
但し、以下の内容について今後検討を加えて、必要な場合は規格改正を提案し進める。
大板試験方法は治具等整備の上、パンチテスト試験を具体化・適用する中で、規格改正の必要性を確認していく。
また、パンチテストの荷重速度方式(1000N/S)は、板厚毎の条件設定が必要となり適用しにくい。そこで、加圧条件は荷重速度(1000N/S)から単なる速度(mm/s)に変更して、全ての板厚に同一速度(mm/s)を適用する方法を検討していく。
例:同一速度=0.1mm/s
7.2 JIS化対応
・ISO614(パンチテスト)の基本内容は受け入れてJIS化を考える。
船体部会/居住区ぎ装専門分科会(順不同、敬称略)
専門分科会長 宮本 博夫 株式会社川崎造船
委員 飯野 弘太郎 三菱重工業株式会社
伊飼 通明 独立行政法人 海上技術安全研究所
池亀 渡 株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド
石神 俊雄
占部 幸一 株式会社大晃産業
遠藤 雅人 セントラル硝子株式会社
片野 英治 財団法人日本海事協会
河面 徹 旭硝子株式会社
寺部 尚孝 板硝子協会
長谷川 純 日本板硝子株式会社
黛 敏 常石造船株式会社
水口 茂喜 株式会社高工社
宮田 賢治 株式会社共立機械製作所
山中 和夫 株式会社ダイリツ
勇木 健 中島硝子工業株式会社
事務局 冨永 恵仁 財団法人日本船舶標準協会
|