標準化が予期される分野・項目の補足(9)
分野 |
環境・資源循環分野 |
項目 |
船舶からの大気汚染の防止(温室効果ガス(GHG)の削減) |
現況 |
(IMOの審議状況等)
船舶からの地球温暖化ガス(GHG)の排出については、GHG 排出規制の京都議定書の採択時に決議された国際航海船舶からのGHG排出削減努力はIMOが主導して対応するということがIMOで概ね合意に達している。 MEPC49で温室効果ガスの削減問題について、削減のための指標作成や自主的な取組の促進メカニズムの開発などを定めたIMOの温室効果ガス削減のための戦略を示す総会決議案が合意された。 また、削減のための指標作成、促進メカニズムの検討を推進していくことが合意された。 総会決議案は2003年11月開催の第23回総会で採択された。(総会決議
A. 963(23) IMO Policies and Practices Related to the Reduction of Greenhouse Gas
Emissions from Ships) |
規格化の可能性 |
IMOの審議状況を見守る。 |
規格の内容 |
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緊急度 |
急がない |
参考資料 |
Draft A. 963(23) IMO POLICIES AND PRACTICES RELATED TO THE
REDUCTION OF GREENHOUSE GAS EMISSIONS FROM SHIPS |
備考 |
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総会決議 A.963(23) 船舶からの温室効果ガス排出の削減に関するIMOの政策及び実行
総会は、
船舶からの海洋汚染の防止及び管理に係わる規則及び指針、並びに海洋環境に及ぼす海運の影響に係わるその他の事項に関連して、総会の機能に関する国際海事機関の条約第15(j)条を想起し
さらに、1982年海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)の212条と基を一にして、総会決議A.719(17)が海洋環境保護委員会(MEPC)に、1978年の議定書により改正された1973年の船舶からの汚染防止のための国際条約(MARPOL 73/78)に新しい附属書を用意することを通じて、船舶からの大気汚染を減少させるための法律的に拘束力のある措置を作成するよう要請したことを想起し、
また、1997年9月26日に、 MARPOL 73/78に関する締約国会議(大気汚染会議)が、大気汚染に対する海運による寄与を削減するために、新しい附属書VI−船舶からの大気汚染の防止に関する規則−を採択したことを想起し、
大気汚染会議が、船舶からのCO2排出に関する決議8により、機関に国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)と共同で、CO2排出の全地球的インベントリの部分として船舶からのCO2排出の総量及び相対的な割合を確定する目的のため、船舶からのCO2排出の研究に着手するように要請したことを確認し、
また、CO2と大気汚染物質、NOx排出がCO2削減への逆の関係を示すかもしれないことから、特にNOxとの関係から、どのようなCO2削減戦略が実行可能か検討するように大気汚染会議がMEPCに要請したことを確認し、
これらの問題へ国際海運がどの程度寄与しているかの最も包括的な評価が、2000年6月に出版され、大気汚染会議の決議8のフォローアップとして準備された温室ガス排出に関するIMOの研究に含まれていることを認識し、
さらに、船舶からの温室効果ガス排出に関するIMOの研究が、船舶は全世界のCO2排出の約1.8パーセント寄与していると推定されること、及び日本のシップ・アンド・オーシャン財団による温室効果ガス(GHG)に関する研究のように、排出の削減が技術上及び運用上の措置により実行可能であることを文書として示していることを認識し、
気候システムに危険な人類的な影響を避けるであろうレベルに大気中のGHGの濃度の安定化を達成するというUNFCCC の最終目的に留意し、
また、1997年12月にUNFCCCの締約国会議によって採択され、いまだ発効していないが、京都議定書が、UNFCCCの付属書1に記載されている国が、IMO(第2.2条)の作業を通して、海上バンカー燃料油からのGHG排出の制限又は削減を確かなものにすることを宣言していることに留意し、
また、1997年12月のUNFCCCの締約国会議が決議2を採択したことに留意し、一方、国際海運に従事する船舶に販売された燃料油に基づく排出は各国の合計に含ませるべきでなく、分離して報告されるべきであることを想起し、科学的及び技術的なアドバイスのために附属機関(SBSTA)に国際バンカー燃料油からの排出を締約国のGHG全体のインベントリに含めてさらに詳述するよう要請し、UNFCCCへの締約国会議が報告要件を採択して国際バンカー燃料油からの排出の計算に関する方法論に係わるガイドライン及び実行ガイダンスを合意したこと確認し、
また、SBSTAは2002年6月の16回会合において、国際運送に従事する船舶に販売された燃料油を基に排出物質の報告に関する方法論的な面の検討に関しての活動について、SBSTAの第18回会合において報告するようIMOに対して要請したことに留意し、
機関は、国際海運のためにGHGの制限及び削減の戦略及びメカニズムを開発することを主導しなければならないこと、また、そうすることにおいて、UNFCCC の締約国会議と協力しなければならないことを確信し、
気候変化の想定される逆効果が、人工的なGHG排出の発生源の一つとして国際海運からの排出制限又は削減の実施を必要とすることを認識し、
海洋環境保護委員会の第49回会合によって作成された勧告を検討した上で、
1. 海洋環境保護委員会に対して、国際海運からのGHG排出の制限又は削減を達成するための必要なメカニズム仕組みを見極め、開発すること、及び、実施に当たっては、次を優先することを要請する:
- GHG 排出ベースラインの確立;
- 船舶のGHG 排出インデックス(指標)として表現された船舶のGHG効率を記述するための方法論の開発。GHG 排出インデックス・スキームのための方法論の開発において、MEPCはCO2が船舶によって排出される主な温室効果ガスであることを認識しなければならない。;
- GHG排出インデックス・スキームが実際に適用されるガイドラインの開発。ガイドラインは証明のような問題を扱わなければならない。;及び
- 技術的な、操作上の、及び市場取引に基づく解決の評価;
2. 海運産業と共同で、国際海運からGHG排出を制限又は削減する自発的な措置を促進し、実施することを政府に、要請する。
3. 海洋環境保護委員会に要求する:
(a)インデックス・スキームの利用を含めて国際海運からのGHG排出の制限又削減のための自発的な措置の実施をモニターすること。;
(b)文章(a)に引用している自発的な措置の効果のモニターに基づいて、必要ならば、国際海運からのGHG排出の制限又は削減のために、IMOによる採択のためのものを含めて、追加的な一層効果的な措置を検討すること。;
(c)国際輸送に従事する船舶からのGHG排出の報告に関する方法論的な面を検討すること。;
(d)予定表を伴った作業計画を作成すること。;及び
(e) この問題の見直しを継続すること、及び国際海運からのGHG排出の制限又は削減に関するIMOの政策及び実行を継続することを整理した文書を用意すること。;
4. UNFCCC の報告要件に従って国際的なバンカー燃料油からの排出を報告することを政府に求める。
5. また、国際海運からの温室効果ガス排出の制限又は削減を提供する技術的及び運用上の手順の研究及び開発を促進すること、及び、得られた経験についての情報を交換することを、政府と海運産業に求める。
6. UNFCCC の事務局 及び国際民間航空機関の事務局との協力を継続することを機関の事務局に要求する。
標準化が予期される分野・項目の補足(10)
分野 |
環境・資源循環分野 |
項目 |
船内におけるアスベストの適切な管理に関するガイドライン |
現況 |
(IMOの審議状況等) アスベストは不燃性材料として長年にわたり使用され、船舶においても防火仕切りとしての壁、天井に多く使用されてきた。しかしながら、アスベストは発ガン性物質であること、人体の呼吸器等に障害をもたらすことなどの問題点が指摘され、新船及び現存船に新しくアスベストを取付けることを原則禁止された。(SOLAS条約II-1章/3-5)(パッキン等における使用など代替品の困難性もあるものはエッセンシャルユースとして適用除外)2002年7月1日より発効。 現存船に既に設置されているアスベストの取り扱いに関しガイドラインが必要との考えから、「船上のアスベストの保守及びモニタリングのためのガイドライン」が作成された。(MSC/Circ.
1045)(MSC75承認、2002.5.28) |
規格化の可能性 |
・TC8/SC9の新作業項目(番号[09. 27]、ただし、廃止又は他の分科会への移転が提案されている)として、提案されているが、動きが見られない。 ・IMOのガイドラインは詳細の手順書ではなく概要を記述するに留まっていることから、専門会社等が作業を行うため、国際労働機関(ILO)、世界保健機関(WHO)におけるアスベスト関連規定を考慮し、船内におけるアスベストの適切な管理が行えるガイドラインの国際規格が考えられる。 |
規格の内容 |
船内におけるアスベストの適切な管理を行うためのガイドラインの国際規格 |
緊急度 |
やや急ぐ |
参考資料 |
1. MSC/Circ. 1045 GUIDELINES FOR MAINTENANCE AND MONITORING
OF ON-BOARD MATERIALS CONTAINING ASBESTOS (28 May 2002) |
備考 |
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