項目タイトル |
IMO規則又は議題 リスク評価システム・安全基準策定手法 船舶の総合安全評価Formal
Safety Assessment |
IMO-LINK-No.又は審議報告 |
ISO/TC8提案規格名: ・船舶におけるリスク評価手法のガイドライン ・船舶におけるヒューマンファクター(人的要因)解析ガイドライン 規格の種類:ガイドライン |
審議番号又は担当部会 TC8/SC9 |
IMO規則内容又は審議事項 |
FSA(Formal Safety Assessment)総合安全評価は、船舶の安全基準策定の手法としてIMOにおいて使用されているリスク評価システムでありリスク解析と費用対効果解析など行う。近年においては、バルクキャリアの安全をFSAを使って検討することがMSC70で合意され、国際船級協会連合(IACS)、Norway & ICFTU、日本、英国を調整者とする国際共同プロジェクトとして検討が行われた。これらのFSAの検討結果により将来のSOLAS条約の改正方針が決定されている。 2004年1月開催されたFP48における議題内容でも、火災安全及びFSA(Fomal Safety Assessment)の考え方の観点に立った問題が協議されており、SOLAS条約第II-2章、FSSコード及び関連火災試験手順に関する統一解釈(議題3)、大型旅客船の安全(議題4)、火災安全システムに関する性能試験及び承認基準(議題5)など、火災安全技術(Fire Safety Technology)に準拠した、火災安全リスクの解析、及び火災シナリオを想定しての、規格検討および規格見直しと言える。 今後も、これらの火災安全、安全な避難、及び安全解析等においては、FSA(Formal Safety Assessment)の考え方が応用され、条約改正に繋がるものと思われる。 |
ISO規格内容又は提案事項 |
1. 国際規格の必要性、市場適合性 FSA(Formal Safety Assessment)はリスク解析と費用対効果解析を使うIMOの基準審議手続きであり、規則作成の為に開発されたツールである。リスク解析手法は、今までの規則改正にありがちであった重大事故が発生してから対処することについての反省から、事故を予測し重大事故を未然に防ぐことをひとつの目標とした手法である。リスク解析は、対象とする事柄に対し可能な限りの資料を収集し解析を行い、具体的な数値を提示することから有用であると認められつつあるが、確率論的評価手法であることから専門家の行う解析となりわかりにくいとの評価もある。 その他、現在、IMOにおいてヒューマンファクター(人的要因)は人的要因解析のガイドラインも作成されており、重要な課題となりつつある。 規格、規則の作成において、ひとつの手法としてリスク解析が今後どの分野においても使用されることは間違いない。また、リスク解析手法は現在でも多くの分野において使用されつつあるが、分野によって若干手法が違うことも事実であり、船舶など対象が確定している分野においてその手法の確立と規定を行うことは重要である。
2. 国際規格の内容 「船舶におけるリスク評価手法のガイドライン」
3. 留意事項 IMOにおいても使用され始めたばかりであり、多くの人が把握しきれていない状況も否定できないことからフィージビィティスタディとしての立ち上げも検討すべき。 |
関連資料 |
MSC77/INF.6(IACS):既存の船級システムの概要を、船舶の安全を確保する上での議会とIACSの役割に関連させ委員会に提供している。IMOは受入れ可能なリスクレベルのみを定め、IACSはFSAの手法に基づき、検査データを踏まえて、そのようなリスクレベルになるよう基準及び統一要件を変えていくというIMOとIACSの役割分担が必要と主張している。 MSC77/5/2(キプロス・英):国際共同FSA Studyの一部として、キプロス海事局(CBS)及び英国BMTは、SOLAS XII章の150m未満のばら積み貨物船への適応性について独立した研究を行った。さらに、SOLAS XIIで対処されないリスクに対応するためのRCOについても特定した。 MSC77/5/3(英):バルクキャリアの国際共同FSA StudyのWork Package 6aとして行われた150m未満のバルクキャリアに対するRCOのうち、現在のSOLAS XII章の要件以外のものの評価結果を示している。 MSC77/18(Sec.):FSAに関するMSC75及びMSC76の結果報告。 MSC77/18/1(英):英国は、IMOのFSA手法の原理はほぼ充分であるが、海難事故情報に関し必要なレビュー及びアクションを取るためにIMOが採択したアプローチを強化するには不十分であると提案。 MSC77/18/2(リベリア):この文書は、FSAステップ5、意思決定過程に関するIMOの規則立案の使用に係るFSAガイドラインの改正提案である。この改正案は、意思決定過程において、より高い透明性を求めている。 MSC77/INF.12(デンマーク):ECで実施されたSAFEDOREというリスクベースの船舶の設計、運航及び規則に関する研究結果を紹介。 NAV49/INF.2(ノルウェー):巨大旅客船の航行安全に関するノルウェーのFSAスタディのステップ1の報告。 |
関連国際規格として提案すべき項目と恩恵: 「船舶におけるヒューマンファクター(人的要因)解析ガイドライン」などが挙げられる。 |
その他意見:リスク評価手法は、原子力、環境、食料などのほか、多くの分野において使用され始めており、どの分野においても今までのように重大事故が発生してから対処する体制から事故発生前にリスクを評価して対処する体制になりつつある。しかしながら、確率論的取り扱いであることから専門家の解析・判断が必要であり、一般にわかりにくいことが障害となっている。 |
備考: |