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添付資料−20
提案予定国際規格の調査・分析結果
項目タイトル IMO規則又は議題
 移動制約者のニーズに応じた旅客船の設計と対処
RECOMMENDATION ON THE DESIGN AND OPERATION OF PASSENGER SHIPS TO RESPOND TO ELDERLY AND DISABLED PERSON'S NEEDS
IMO-LINK-No.又は審議報告
ISO/TC8提案規格名:
旅客船における移動制約者の緊急時移動に関するガイドライン(案)
規格の種類:ガイドライン
審議番号又は担当部会 TC8/SC9
IMO規則内容又は審議事項 IMOの提案している基準の思想は、移動制約者の緊急時の移動や公共スペースの移動に配慮することを目指したものである。この思想に基づき、設計・設備小委員会(DE)が作成したガイドライン案、"RECOMMENDATION ON THE DESIGN AND OPERATION OF PASSENGER SHIPS TO RESPOND TO ELDERLY AND DISABLED PERSON'S NEEDS"が1996年6月に海上安全委員会(MSC)で承認された。
 国内においても、内閣府における平成15年度に実施すべき交通安全施策に関する計画で、交通バリアフリー法に基づく旅客船のバリアフリー化の義務化に対して、「旅客船事業者等が混乱無く円滑に対応できるよう普及啓発を図るとともに、バリアフリー化のための機器の研究開発、非常時における安全性の向上などさらに進んだバリアフリー化を促進させるための環境整備を行う。」としている。
 現在のところIMOにおけるバリアフリーに関する議題は、主に大型旅客船(Large Passenger Ship)の避難に関する審議において一部討論されはじめており、国内においても日本船舶品質管理協会がH16年度事業として移動制約者の救命設備に関する調査研究が計画されている。
ISO規格内容又は提案事項 1. 国際規格の必要性、市場適合性
 バリアフリーに関する一般規格は既に制定されているが、殆ど使用されることのない緊急時におけるバリアフリー対処は規格としては未だ手付かずでありIMOにおいても検討の著についたばかりである。しかしながら、緊急時における移動制約者の考慮・対処の必要性は高く、大型客船のみならず、国内における離島航路などの小型旅客船においても、緊急避難時におけるガイドラインが必要である。
2. 国際規格の内容
 「旅客船における移動制約者の緊急時移動に関するガイドライン」としてエレベータ施設を持つ船舶と持たない船舶で分けて制定する必要がある。
関連資料 (1)ISO/IEC Guide71 : 2001 Guidelines for standards developers to address the needs of older persons and persons with disabilities(高齢者及び障害者のニーズに対応する規格作成者のための指針)2001-11-22
(2)JIS Z 8071:2003高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した規格作成配慮指針(規格の作成に携わる人を対象とし、高齢者及び障害のある人々のニーズに配慮するための指針を提供。制定年月日2003-06-20
(3)高齢者・障害者への配慮に係る標準化の進め方について(提言書)、日本工業標準調査会、消費者政策特別委員会(2003-06-16)
(4)船舶におけるバリアフリーの現状と今後の課題について、日本造船学会誌(テクノマリン)(2003.09)
関連国際規格として提案すべき項目と恩恵:
・音響誘導装置
・避難誘導システム(LLL等)
その他意見:移動制約者が対象であるバリアフリーは得てして移動制約者に対してのみの過剰な設備になる傾向があり、最近ではユニバーサルデザインヘの表現に移行しつつある。
備考:
 
添付資料−21
提案予定国際規格の調査・分析結果
項目タイトル IMO規則又は議題
リスク評価システム・安全基準策定手法
船舶の総合安全評価Formal Safety Assessment
IMO-LINK-No.又は審議報告
ISO/TC8提案規格名:
・船舶におけるリスク評価手法のガイドライン
・船舶におけるヒューマンファクター(人的要因)解析ガイドライン
規格の種類:ガイドライン
審議番号又は担当部会
TC8/SC9
IMO規則内容又は審議事項 FSA(Formal Safety Assessment)総合安全評価は、船舶の安全基準策定の手法としてIMOにおいて使用されているリスク評価システムでありリスク解析と費用対効果解析など行う。近年においては、バルクキャリアの安全をFSAを使って検討することがMSC70で合意され、国際船級協会連合(IACS)、Norway & ICFTU、日本、英国を調整者とする国際共同プロジェクトとして検討が行われた。これらのFSAの検討結果により将来のSOLAS条約の改正方針が決定されている。
 2004年1月開催されたFP48における議題内容でも、火災安全及びFSA(Fomal Safety Assessment)の考え方の観点に立った問題が協議されており、SOLAS条約第II-2章、FSSコード及び関連火災試験手順に関する統一解釈(議題3)、大型旅客船の安全(議題4)、火災安全システムに関する性能試験及び承認基準(議題5)など、火災安全技術(Fire Safety Technology)に準拠した、火災安全リスクの解析、及び火災シナリオを想定しての、規格検討および規格見直しと言える。
 今後も、これらの火災安全、安全な避難、及び安全解析等においては、FSA(Formal Safety Assessment)の考え方が応用され、条約改正に繋がるものと思われる。
ISO規格内容又は提案事項 1. 国際規格の必要性、市場適合性
 FSA(Formal Safety Assessment)はリスク解析と費用対効果解析を使うIMOの基準審議手続きであり、規則作成の為に開発されたツールである。リスク解析手法は、今までの規則改正にありがちであった重大事故が発生してから対処することについての反省から、事故を予測し重大事故を未然に防ぐことをひとつの目標とした手法である。リスク解析は、対象とする事柄に対し可能な限りの資料を収集し解析を行い、具体的な数値を提示することから有用であると認められつつあるが、確率論的評価手法であることから専門家の行う解析となりわかりにくいとの評価もある。
 その他、現在、IMOにおいてヒューマンファクター(人的要因)は人的要因解析のガイドラインも作成されており、重要な課題となりつつある。
 規格、規則の作成において、ひとつの手法としてリスク解析が今後どの分野においても使用されることは間違いない。また、リスク解析手法は現在でも多くの分野において使用されつつあるが、分野によって若干手法が違うことも事実であり、船舶など対象が確定している分野においてその手法の確立と規定を行うことは重要である。

2. 国際規格の内容
 「船舶におけるリスク評価手法のガイドライン」

3. 留意事項
 IMOにおいても使用され始めたばかりであり、多くの人が把握しきれていない状況も否定できないことからフィージビィティスタディとしての立ち上げも検討すべき。
関連資料 MSC77/INF.6(IACS):既存の船級システムの概要を、船舶の安全を確保する上での議会とIACSの役割に関連させ委員会に提供している。IMOは受入れ可能なリスクレベルのみを定め、IACSはFSAの手法に基づき、検査データを踏まえて、そのようなリスクレベルになるよう基準及び統一要件を変えていくというIMOとIACSの役割分担が必要と主張している。
 MSC77/5/2(キプロス・英):国際共同FSA Studyの一部として、キプロス海事局(CBS)及び英国BMTは、SOLAS XII章の150m未満のばら積み貨物船への適応性について独立した研究を行った。さらに、SOLAS XIIで対処されないリスクに対応するためのRCOについても特定した。
 MSC77/5/3(英):バルクキャリアの国際共同FSA StudyのWork Package 6aとして行われた150m未満のバルクキャリアに対するRCOのうち、現在のSOLAS XII章の要件以外のものの評価結果を示している。
 MSC77/18(Sec.):FSAに関するMSC75及びMSC76の結果報告。
 MSC77/18/1(英):英国は、IMOのFSA手法の原理はほぼ充分であるが、海難事故情報に関し必要なレビュー及びアクションを取るためにIMOが採択したアプローチを強化するには不十分であると提案。
 MSC77/18/2(リベリア):この文書は、FSAステップ5、意思決定過程に関するIMOの規則立案の使用に係るFSAガイドラインの改正提案である。この改正案は、意思決定過程において、より高い透明性を求めている。
 MSC77/INF.12(デンマーク):ECで実施されたSAFEDOREというリスクベースの船舶の設計、運航及び規則に関する研究結果を紹介。
 NAV49/INF.2(ノルウェー):巨大旅客船の航行安全に関するノルウェーのFSAスタディのステップ1の報告。
関連国際規格として提案すべき項目と恩恵:
 「船舶におけるヒューマンファクター(人的要因)解析ガイドライン」などが挙げられる。
その他意見:リスク評価手法は、原子力、環境、食料などのほか、多くの分野において使用され始めており、どの分野においても今までのように重大事故が発生してから対処する体制から事故発生前にリスクを評価して対処する体制になりつつある。しかしながら、確率論的取り扱いであることから専門家の解析・判断が必要であり、一般にわかりにくいことが障害となっている。
備考:
 
添付資料−22
提案予定国際規格の調査・分析結果
項目タイトル IMO規則又は議題
船舶の操縦性基準の解説
IMO-LINK-No.又は審議報告
ISO/TC8提案規格名:規格の種類:
船舶の操縦性基準の解説
審議番号又は担当部会TC8/SC9
IMO規則内容又は審議事項  船舶の操縦性基準(標準)については、Res.MSC137(76)において定められたが、その解説・ガイダンスが必要ということでExplanatory NotesがMSC76においてMSC/Circ.1053('02.12)として作成された。各締約国はこのガイダンスを利用するよう要請されている。
 船舶の操縦性基準では「船舶の停止性能」に関し、原則15L未満ということであるが、大型船については20Lを限度として官界官庁の判断に委ねられるとした部分について、Noteでの推定式の改正について議論されている。即ち、日韓提案のMSC76/WP.6やMSC/Circ.1053の推定式について、DE47において、米、日韓、AWESが意見を寄せている。このノートはガイダンスであるからそこそこでいいようなものであるが、船の性能改善などと言うことになったりすると結構大変であるから、推定式は現実に対応した適切な基準かどうか十分チェックされなければならない。
 DE47(3月)の結果、内容が十分でなく、上記改正は反対が大勢で、改正は見送られた。なお、日本は、実船データに基づく推定式につき必要あらば提出する旨の発言を行っている。
ISO規格内容又は提案事項 1. 操縦性の基準はMSCの基準として決議が定められたが、大型船の停止性能に関するガイダンスは、操縦性基準を議論するうえで、不可欠である。その中で、官海官庁の判断するノートとしてISOでもこのExplanatory Noteも含め取り上げる必要がある。
関連資料 1. MSC/Circ.1053; "Explanatory Notes to the Standards for Ship Maneuverability"
2. Res.MSC137(76); 船舶の操縦性基準(2003.3報告に添付)
関連国際規格として提案すべき項目と恩恵:
1. ISO提案項目にあり。操縦性基準とともにこのノートも取り上げるべきである。
その他意見:
備考:







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