9. フィリピン
運輸通信省
Mr. DAVID Renato Romero
カントリーレポート
都市公共交通コロキウム
フィリピン
作成:Renato R. David
運輸通信省
1. はじめに
フィリピンは7100の島からなる島国で、地理的には、ルソン、ビザヤ、ミンダナオという3つの主な島群に分けられる。インドシナ半島の東1130kmに位置し、国土は、南北に1850km、東西に1100kmの地域に広がる。総面積は30万km2である(地図1参照)。
フィリピンの気候は熱帯性で年平均温度は27 ℃である。気温は、フィリピン全土にわたり年間を通じてほぼ同じである。一般的に、雨季は6月〜11月、乾季は12月〜5月である。
フィリピンは、16の行政地区、76の州、70の公認都市、1545の地方自治体からなり、首都マニラ(メトロマニラ)が、政治と商業・貿易の中心地である。その他の中心となる都市としては、セブ市、イロイロ市、ダバオ市がある。
2000年5月現在、フィリピンの人口は約7650万で、人口密度は1km2当たり約255人である。同年におけるフィリピンの道路総距離は約20万kmで、道路密度に換算すると国土面積の1km2当たり0.67である。
2. メトロマニラの概要
メトロマニラは成長し続けており、世界屈指の大規模な都市に発展するものと予想されている。現在のメトロマニラは、総面積が約636km2、2000年の総人口は約1000万で、急速な発展を続けている。この急速な都市化の影響で、約3670km2の隣接する自治体と一体となり大マニラ首都圏(Greater Manila Region: GMR)を形成している。
現在、人口密度の高い都市化地域は約800km2に達し、メトロマニラの行政地区をはるかに超えている。人口は1950年には200万人に満たなかったが、1980年には840万人に増加し、2000年には隣接する地域の630万人を加えて1650万人となった。GMRは国の全人口の20%以上を占め、そのシェアは拡大している(地図2参照)。
Philippine Map
(Figure 1)
1980年から2000年までに、GMRの都市区域の人口は年率3.4%という大きな割合で拡大し、その隣接地区においては4.9%というさらに早い速度で増加した(表1参照)。
Table 1
Population Growth Rate
1980-2000
Area |
Population: 000(%) |
Growth Rate: %/year |
1980 |
1990 |
2000 |
80-90 |
90-00 |
80-00 |
Metro Manila |
5,926 (70.9) |
7,929 (67.7) |
9,933 (61.1) |
2.9 |
2.3 |
2.6 |
Adjoining area |
2,434 (29.1) |
3,773 (32.3) |
6,327 (38.9) |
4.5 |
5.3 |
4.9 |
Greater Manila Region |
8,360 (100) |
11,703 (100) |
16,260 (100) |
3.4 |
3.3 |
3.4 |
Philippines |
48,098 |
60,703 |
76,504 |
2.4 |
2.3 |
2.3 |
|
メトロマニラの道路システム
メトロマニラの道路システムは、1827kmの私道を含む約4820kmの道路で構成されている。主な幹線道路は準環状道路と放射状道路であるが、そのうち5つの環状道路が完成している。その最も重要な道路はC-4、すなわちEDSAであり、10の放射道路と連結している(地図3参照)。道路の多くは交通量が限界に達しており、特にEDSAは際立っている。40%の幹線道路でピーク時の渋滞が激しく、渋滞時の平均交通速度は18km/hであると報告されている。ジープニーとバスの平均速度は、頻繁に停止するためにさらに遅いものとなっている。
モータリゼーション
モータリゼーションは急速に進んでいる。1980年から2000年の間に、メトロマニラの登録済み車両台数は、1980年の44万6142台から2000年の128万6176台に増加した。フィリピンの全登録車両の約35%がメトロマニラに集中する。表2は、車両タイプ別の2000年の登録車両の内訳を示す。
Greater Manila Region
(Figure 2)
METRO MANILA ROAD MAP
(Figure 3)
Table 2
Number of Registered Motor Vehicles in Metro Manila
Type |
2000 |
Private |
Motorcycles |
113,790 |
|
Cars |
437,074 |
|
Utility Vehicles |
477,778 |
|
Buses |
883 |
|
Trucks/Trailers |
72,970 |
|
Sub-total |
1,102,495 |
For Hire |
Motorcycles |
54,058 |
|
Taxis |
|
|
Cars |
54,054 |
|
Utility Vehicles |
56,484 |
|
Buses |
11,287 |
|
Trucks/Trailers |
7,798 |
|
Sub-total |
183,681 |
TOTAL |
1,286,176 |
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交通需要
一般に、交通需要は人口と経済成長に伴い増加する。1996年に行なわれた調査によると、大マニラ首都圏の1日当たりのトリップ数は3030万であることが明らかになった。そのうちの81%すなわち2460万トリップが自動車で、19%すなわち630万トリップが自動車以外のものであった。
交通の手段
メトロマニラの総交通需要の約98%が道路交通によるもので、公共交通の利用は依然として高く、全トリップ数の78%を占める。鉄道輸送の割合は依然として低い。鉄道輸送のシェアは、「通勤」と「通学」のわずか3%であるが、これは唯一の軽便鉄道輸送(Light Rail Transit: LRT)路線のシェアを示すもので、鉄道輸送の中では高い割合である。フィリピン国有鉄道(PNR)のシェアはわずかである。 図4は民間と公共の交通手段の分担率を示す。
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