III. 内陸交通サービス
1. 鉄道交通サービス
1.1 鉄道網
鉄道網は現在建設中の路線とは別に43の路線で構成されている。
総路線距離は4400kmで、これとは別に2900kmの操車場と支線がある。停車場の数は約800である。この鉄道網はエジプトのあらゆる地域と港を連結するものである。鉄道網は各種の鉱山、工場、倉庫の内部にまで接続されている。
1.2 鉄道旅客サービス
エジプト国有鉄道(ENR)は、幹線・支線の長中距離都市間交通、カイロおよびアレキサンドリアの郊外交通など、各種の旅客交通サービスを提供している。鉄道は旅客輸送の最も重要な手段と考えられている。鉄道の交通機関別シェアは、全国レベルの旅客交通量の約50%を占めている。旅客の平均年間増加率は1990年代には約5%に達した。
1.3 鉄道貨物サービス
ENRは、梱包貨物、乾燥ばら積み貨物、液体、冷凍商品、コンテナなどのあらゆる種類の貨物を運んでいる。鉄道が輸送する貨物量は1990年代に増加して1200万に達し、全国レベルの総貨物輸送量の約5%を占めている。鉄道の貨物輸送の容量は大きい。貨車の数も、57,400トンの積載能力を持つ貨車が13,900両に達している。
1.4 ENRの新方針
民間部門がENRの部門と共同で参加できる分野がある。民間部門は、軌道や車両の保守、寝台車や飲料のサービスなどの分野で、鉄道サービスの導入に参加することができる。
2. 道路交通サービス
2.1 道路網
増大する旅客や貨物の輸送に対応するため、舗装道路網の距離が拡大され、新たに開発された地域や産業都市はもちろんのこと、国内のあらゆる都市を連結している。各行政地区の首都や主要な都市を連結する舗装道路は1999年末に約44,000kmに達した。次の表はエジプトの幹線道路を示している。
The road |
Length (Km) |
Cario - Aswan (Nile East) |
852 |
Cario - Aswan (Nile West) |
905 |
Suez - Safaga - Halaib |
1080 |
Cario - Alexandria - (Agricultural) |
220 |
Cairo - Alexandria - (Desert) |
205 |
Cario - Asyut (New Desert road) |
587 |
Marsa Matrouh - Siwa |
300 |
Pyramids - Oasis - Farafra - Asyut |
1280 |
Alexandria - Matrouh - Salom |
550 |
Qena - Safaga |
160 |
Edfo - Mersa Alam |
225 |
Toshka - Arbain - Owinate |
370 |
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2.2 バスターミナルと地方の相乗りタクシーターミナル
エジプトには、224のバスターミナルと237の相乗りタクシーのターミナルがある。大部分のターミナルは、人口移動の増加に対応するために開発および改善の必要性があり、大都市のターミナル建設や既存のターミナルのサービス改善が必要とされている。
2.3 旅客交通サービス
この分野には5つの事業者が参入している。
2.3.1 旅客輸送会社(公共事業部門)
4つの企業が都市間旅客交通サービスを提供しており、公共事業部門に参入している。これらの企業は、サービスを地域別に担当している。各企業は様々な路線でサービスを提供し、企業間の協定と協力によって、複数の路線サービスの提供に参加することができる。1996年から1997年にかけて、これらの企業が所有するバスは2630台に達した。バスの耐用年数は平均9.3〜11.3年である。
2.3.2 アラブ・ユニオン社(The Arab Union Company)
この会社は、カイロからアレキサンドリア、マルサ・マトラウ、ポートサイド、シャルム・エル・シェイク、Ghardagaまでの主要路線と、国際路線の運行を専門に行なっている。
2.3.3 地方の相乗りタクシー
最近では、都市間の相乗りタクシーを運営する会社がない。相乗りタクシーは車の所有者が運営している。時には、特定の協定を結んで、車の所有者が運転手に車を貸与して仕事をさせている。
路線と料率は、当該行政地区と内陸交通のシンジケートと間で結ぶ協定により決定される。このサービスを導入するための具体的なタイム・スケジュールと料率の仕組みは存在しない。
2.3.4 旅客輸送のための協同組合
協同組合は26あり、各行政地区に1つある。3つの協同組合が都市間定期サービスを提供している。残りの協同組合がターミナルの監督を行なっている。
2.4 道路貨物サービス
トラック輸送は、貨物の輸送に非常に重要な役割を果たしている。そのシェアは、全輸送トン数の約92%を占める。道路による貨物輸送の分野には以下の4事業者が参入している。
2.4.1 公共事業部門に参入している会社
5つの企業が公共部門に参入しており、現在、企業形態を株式会社に変更するための対策がとられている。これらの企業は、大型プロジェクトに必要な貨物の輸送に加え、特に、輸入食料品や砂糖などの重要な地場製品の輸送に参加しており、さらにアラブ諸国への外国貿易品の輸送を分担している。ゼネラル・ナイル会社(General Nile Company)が所有する貨物自動車の総数は、1998年には1754台に上った。貨物自動車の平均耐用年数は25〜30年である。
2.4.2 投資法に基づく民間企業
・3つの貨物輸送会社が投資法に基づき設立され、商業ベースで運営されている。3社の車両積載能力は、道路輸送を行なう全車両の積載能力の1%を占める。これらの企業は、エジプト国内の貨物輸送サービスを行なっているが、アラブ諸国へ輸出品の輸送を行なっている企業もある。
・1998年、民間部門企業に関する会社法の規定に従い、2つの運送会社が設立された。この2社は、主に港から倉庫への穀類輸送を行なっている。
2.4.3 道路による貨物輸送のための協同組合
各行政地区に貨物輸送のための協同組合がある。全国の協同組合の車両積載能力は、都市間貨物輸送を行なっている貨物自動車の全積載能力の30%を占めている。これらの協同組合は、各行政地区内の短距離輸送に加え、輸入品や工業製品の輸送を行なっている。
2.4.4 個人ベースの貨物自動車事業者
どの協同組合にも参加していないワンマンの貨物自動車事業者がいる。
ワンマンの貨物自動車事業者の積載能力は、都市間輸送の貨物自動車の全積載能力の30%を占めている。この貨物自動車事業者は、梱包した商品、電気製品、衣類、紙類の輸送を行なっている。
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