4. エジプト
運輸省交通計画局
Mr. Ahmed Ibrahim Mohamed ABDALLA
カントリー・レポート
都市公共交通コロキウムII
JFY 2003
エジプト・アラブ共和国
Ahmed Ibrahim Mohamed Abdalla
運輸省交通計画局
コース番号:J-03-00783
I. エジプトの概要
1. 地理
エジプトは北アフリカに位置する。アジア、アフリカ、欧州という3つの大陸の中心にあり、戦略的な、地理的な位置付けにおいて恵まれている。国土の総面積は997.739km2で、その僅か4%が居住地である。1999年の中央統計庁(Central Agency for Public Mobilization and Statistics、CAPMAS)の推計によれば、人口は6200万である(表1参照)。主な都市は、人口1560万の大カイロ(カイロ、ギザ、カルオビアの行政地区)、人口380万のアレキサンドリア、人口92万のポートサイドおよびスエズである。一方、砂漠地域(レッドスィー、ニューバレー、マトラウ、サイニの行政地区)の人口は、全人口の約1.2%であるが、全国土の約85%を占めている。公用語はアラビア語で、気候は暑く乾燥しているが冬はしのぎやすい。
Table(1)Development of population according to CAPMAS statistics(in thousand)
2. 経済
2.1 ナセル時代(1952〜1970年)
経済は高度に中央集権化され(国営化による国家管理経済)、国内総生産(GDP)の成長率は約5%、国内貯蓄は限定的で国外からの借入れに依存していた。1967年の戦争により軍などの非生産部門へ資源が割り当てられた。
2.2 サダト時代(1970〜1981年)
サダトは開放政策を採用し、民間投資の促進と国家管理の緩和を試みた。GDPは、石油輸出、出稼ぎ労働者の送金、観光、スエズ運河からの収入で平均9%増加した。
2.3 ムバラク時代(1981年から現在まで)
主な特徴
・4%のGDP成長率
・3.4%の雇用増加率をもたらした民間部門投資の増加
・教育と保健の重視
・最新技術でエジプト製品の品質を改善
・社会資本の再構築
・経済改革計画の実施
・債務の削減
2.4 1999年の経済指標
〔単位〕 |
人口 |
百万 |
62 |
雇用 |
百万 |
16.9 |
失業率 |
% |
7.9 |
GDP |
百万米国ドル |
78.941 |
貯蓄 |
10億米国ドル |
14.5 |
インフレ率 |
% |
3.7 |
卸売物価指数 |
米国ドル |
109.2 |
消費者物価指数 |
米国ドル |
33.8 |
輸入 |
百万米国ドル |
3,142.9 |
輸出 |
百万米国ドル |
16,478.2 |
自動車保有 |
1人当たり |
0.05 |
II. 交通関連の政府機関
1. 運輸省の所管分野
・交通事業の許認可
・料率に関する指導
・交通事業の育成(助成金、資金調達、研究開発の支援と租税の軽減による)
・情報サービスの提供(交通情報の開放、資料の出版、法令の更新による)
2. 交通計画局(TPA)の所管分野
・内陸輸送に関する総合的交通計画の作成(技術面および経済面)
・執行計画の作成と交通部門のプロジェクト立案の調整
・調査および調査の支援、ならびにプロジェクトおよび(または)計画の見直し
・立案過程の監督と輸送部門に関する技術的、経済的な調査の提供
3. 各行政地区交通工学計画局(TEPB)
TEPBは知事の直属機関である。TEPBは短期の計画や交通管理計画の設計と実施などの全分野を所管し、交通警察は交通規則の効果的執行を担当する。TEPBの使命は次のような役割を果たすことである。
・道路網の管理(標識、車線の分離、歩行者/車両インターフェースの管理、短期の計画など)、交通システムの実績の監視・分析(データの収集、交通量の測定、交通流の分析、信号のタイミングなど)
・道路の駐車管理計画の監督(地区によっては、その地区内の道路網のための駐車管理計画を立てるので、その監督を行なう)
・隣接する行政地区および他の国家機関との調整を行ない、地方の交通計画のために機構(MTPO)を設立する。
・交通管理と道路スペースの活用
4. 中央交通局(CTD)の所管分野
・車の免許証発行
・車両仕様の規制
・交通管理
・交通法規の執行
(表2は自家用車の免許証増加状況を示している。)
表2 1986〜1998年までの民間の車両保有状況
Table2 Private car ownership development during 1986-1998
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