2. ブラジル
パラー州住宅公社
Mr. Carlos Henrique Rodrigues ROCHA
付属書類II
都市公共交通コロキウムII
(JFY 2003)
カントリー・レポート
Rocha, Carlos Henrique Rodrigues
ブラジル
パラー州住宅公社
(State of Para Habitation Company, COHAB/PA)
COMPANHIA DE HABITAÇÃO DO ESTADO DO PARÁ
2003年
1988年、パラー州政府と連邦政府は、ブラジル協力事業団(ABC)を通じ、日本国際協力事業団(JICA)と、ベレーン首都圏都市交通計画マスタープラン(PDTU)の調査を行なうための技術協力に署名した。この調査は、1989年11月から1991年6月まで行なわれた。
PDTUの調査の第二段階としては、最優先に認められたプロジェクトの実施にむけて予備調査を実現することであった。したがって、この経済協力は、最優先プロジェクトの実施を目的として日本政府に依頼されたものである。この予備調査は次の事実に基づき実施された。
・連邦政府内の組織廃止と大幅な管理部門の再編成により、連邦政府の支援のもとで都市交通プラン担当のブラジル都市交通公社(Urban Transport Brazilian Enterprise)が廃止された。当時、PDTUの調査を引き継ぎ実施する機関は存在しなかった。
・州政府内においても同様の状況となり、最後には、この計画の実行を担当した首都圏都市交通公社(Urban Transport Metropolitan Enterprise)も廃止された。
PDTUが完成した後の9年間に、ベレーン市とアナニンデウア市を含むベレーン首都圏(BMA)が都市計画地域の拡張のために拡大された。1996年から、Marituba、ベネビデス、およびサンタ・バルバラ・ド・パラの各市はBMA(図A参照)に統合された。
FIGURE A - Location of Study Area
その間、ベレーン首都圏(BMA)では、急速な人口増加に伴い、交通機関の不備が原因で起こる深刻な都市交通問題が盛んに議論されていた。BMAにおける深刻な交通渋滞は、増加する車両保有と実施が遅れるPDTU 1991プロジェクト案のために一層深刻なものとなっていた。
最近、多数の緊急対策が提案され実行されたが、これらのプロジェクトの効果は、総合的な都市交通マスタープランがないため限られたものとなった。2000年にブラジル連邦共和国政府は、日本政府に対して、ベレーン首都圏における都市交通マスタープランの更新のための支援を要請し、その調査が、ブラジルと日本の調査チームの共同作業で2001年に完了した(PDTU 2001)。
PDTU 2001は、BMAにおける公共交通システムと都市道路網を強化することの重要性を指摘し、最優先プロジェクトとして、新たなバスシステムと多数の道路プロジェクトを提案するものであった。バスシステムと道路プロジェクトの提案に関する調査の継続は、このマスタープランの実行に欠くことのできないものである。
この調査では、調査対象地域の1990年以降の社会経済的特性を理解するため、既存の社会経済的データが収集、分析された。PDTU 2001のパーソントリップ調査で、大量交通圏(macro-traffic zone)の1990年と2000年における人口と車両保有が比較された。これらの分析により、調査対象地域の都市化と都市開発の傾向が明らかになった。
図Bは、大量交通圏の1990年と2000年における人口比較を棒グラフで示したものである。ベレーン首都圏の1990年と2000年の人口総数は、それぞれ140万と190万であった。1990年からの人口増加率は、約1.34で年率3.0%に相当する。人口増加率の高い地域は、ベングイ, プラチーナ, シダジ・ノバ, ジュリア・セェファーとアナニンデウアで、いずれも郊外にある。数字的には、10年間の人口増加率は1.9〜2.7の範囲である。一方、ビジネス・商業地帯であるベレーンの中心部の増加率は1.06〜1.10で低い。このことは、居住地域が郊外のアナニンデウア方面に拡大していることを示している。
図Cは、1996年に実施した人口調査による総人口密度を示している。これによると、高人口密度の地域は、中部(プリメイラ, レグア)で、シダジ・ノバ、イコアラシ、マランバイアなどの新たに開発された地域である。これらの地域の高人口密度と道路開発とは一致しない。この調査の対象となった道路、たとえば、プリメイロ・デ・デゼンブロ、インデペンデンシア通り、ペドロ・ミランダ通りなどは、ベングイ地区を除いて高人口密度地域を通過していない。したがって、道路建設のための移転問題や土地取得問題は幾分低減されるように思われる。
図Dは、大量交通圏の2000年の平均家計所得を示している。このデータは、2000年に行なわれたパーソントリップ調査から得たものである。家計所得が他より高い大量交通圏は中央部に集中している。BMAの平均所得より家計所得の高い大量交通圏は、セントロ、グアマ、サクラメンタ、Marco、マランバイアである。周辺地域では、シダジ・ノバのみが平均を超えている。高所得世帯は、例外なく乗用車を所有している。PDTU 1991およびPDTU 2001の車両保有に関する分析によると、平均所得が高くなればなるほど、車を所有する世帯の比率も高くなることを示している。
高人口増加地域は郊外に分散しているが、高所得世帯は中央部に集中している。このことは、公共交通を利用する旅客が郊外地域に住んでいて、バスを利用して通勤していることを示している。バスの旅客のトリップ距離は、人口分布と所得のため、乗用車の使用者のトリップ距離よりも長い。
FIGURE B - Comparison of Population Between 1990 and 2000
Source: COHAB/PA
FIGURE C - Gross Population Density in 1996
Source: COHAB/PA
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