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28. フィリピン及びインドネシアにおける車検制度の導入に係る調査
 平成14年4月にタイ国バンコクにおいて第1回運輸政策推進会議が開催され、タイ、フィリピン及びインドネシアの交通大臣・次官級が参加し、わが国からも国土交通審議官が出席した。この会議において、バンコク、マニラ、ジャカルタ等で問題になっている交通に起因する大気汚染及び地球環境への影響を抑制し、環境にやさしい交通体系の整備を目指すための政策を議論し、その結果として、(1)交通に起因する環境汚染対策(2)環境にやさしい交通機関としての都市鉄道の整備・充実及び(3)自動車排気ガス等の抑制の3点について協調政策を取りまとめ、「バンコク・イニシアティブ」として合意された。
 以後、この合意事項についてのフォローアップを各国共同で進めていくことになるが、このためにこれらの政策について知見を有するわが国が支援していくことが必要であった。
 
 この事業は、上記政策の(3)に係るもので、各国の自動車に起因する環境問題の改善に向けたわが国からの支援プログラムにおけるプロジェクトの候補をリストアップし、及び具体化することを目的に調査を行ったものである。
 タイは比較的対策が進んでいるのに対して、フィリピン及びインドネシアはかなり遅れた状況にあるため、この2国を調査対象とした。
 調査は、マニラ及びジャカルタのそれぞれにおいて次の事項について可能な限り広く行った。(1)自動車保有と使用に関する情報(2)大気汚染測定データ(3)自動車からの排出汚染物質のデータ・ガソリン品質(4)新規登録時の安全及び環境要件に関する技術的チェック(5)使用過程車の安全・環境要件への適合性の維持(6)燃料
 この調査は、平成14年度現在データの収集・分析の段階で、今後収集されたデータに基づき自動車に起因する環境問題を改善するための対策の検討、それに対する規制制度及び法的枠組み、それらを運営するための行財政機構等の現状と問題点及びプロジェクトのプライオリティの提言を行うものであった。
 
 開発途上国の発展は、為政者の的確な政策と行政官の政策実施能力に大きく依存しており、その意味で個人としての行政官の果たす役割は官僚機構の発達した先進国と比較して非常に大きいものと考えられる。そこで途上国から将来有望な若手の行政官をわが国に招へいし、一定期間にわたって運輸関連行政手法の研修及び関連施設の見学、カウンターパートとの議論、関係機関当事者との意見交換などを行い、行政官としての多様な場面を実際に経験させることを目的として、開発途上国の運輸関係行政官を対象とした研修事業を創設することとした。
 
 平成14年度は、本研修事業の試行として、ASEAN諸国のうち、運輸関係行政分野における人材育成が緊急に必要とされているカンボジア、ミャンマー及びベトナムを対象に研修を行うこととした。ベトナムから招へいした海事分野にたずさわっている研修員1名に対しては平成15年3月1日から27日までの間実施した。研修科目として、日本の運輸と行政(政府と民間の役割)、海事行政(組織、施策、規制緩和)、内航海運(海運史等)、外航海運(法制、海運経営、港湾運送等)、海事分野人材育成/船員制度、港湾行政、海上保安行政組織等の理解と実務能力の育成等に関する講義を受けたほか、造船所、海技大学校、東京商船大学、東京湾海上交通センター等を見学した。
 
 カンボジアから招へいした研修員1名に対しては平成15年6月30日から7月19日までの間、またミャンマーから招へいした研修員1名に対しては、6月30日から7月26日までの間それぞれ研修を実施した。
 この研修は、新しい研修事業であり、平成14年度、15年度は、試行的に実施したものであるが、ほぼ計画どおりに実施され研修員もこの研修に満足しており、初期の目的を達成することができた。
 
左側 ベトナム運輸省組織人事労働局海運課長
Mr. TRANBAONGOC
右側  国土交通省大臣官房審議官中本光夫氏
 
 
左側 Mr. TRANBAONGOC
右側 山下哲郎理事長







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