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エバーグリーン コンテナハブをPSAからタンジュンペレパス港に移転予定
 Containerisation International'sの発信しているci-onlineからの情報によると、台湾海運大手エバーグリーンは、同社のコンテナハブをシンガポールからマレーシアのタンジュンペレパス港(PTP)に移転する予定である。
 今月初めにPSAに対し、エバーグリーンから使用終了届けが出されたとのこと。
 これによって、PTPのコンテナ取扱量は年間120万TEUの増加が見込まれ、東南アジアにおける積み替え事業の状況に変化をもたらすと予想される。PTPが低料金で効率の良いことが、今回の動きの要因と思われる。
 エバーグリーンは、すでにPTPとのMOUに署名したと思われるが、最終的な決断はまだ下されていない模様。
 シンガポールにとっては、マースク・シーランドに続く第二の打撃となる。昨年12月のマースクのPTPへの移転によって、マレーシアのコンテナ取扱量は200万TEU増加した。
 PTP側は、この件について肯定も否定もしなかったが、引き続き大手海運会社の引き寄せを強化したいと述べている。
 PSAのスポークスマンは、同社はこの件についてコメントできないとしている。
 声明では、「PSAが業務計画や顧客との取引についてコメントすることは、契約で禁止されている」と述べられた。
 エバーグリーンからのコメントは得られなかった。
(2001年10月23日ロイズリスト)
 
PSA エバーグリーン社を引き止め
 産業筋の情報によると、PSAコープは台湾海運大手のエバーグリーン社に対し、PSAからマレーシアのタンジュン・ペレパス港(PTP)での移転を止めるよう対抗オファーを出している。
 エバーグリーン社は、PSAに長期ターミナル契約の終了届けを提出し、東南アジア向けのトランスシップ事業をPTPに移転するため、PTPとのMOUに署名した。
 情報筋によると、PSAは台北でのエバーグリーングループの首脳会議に代案を提示した模様である。世界第二の海運大手を顧客から失うことを考えれば、PSAが代案を提示するのは不思議ではない。
 海運関係者のなかには、PTPへの移転までにまだ時間があることから、PSAと交渉する目的で、エバーグリーンがPTPへの移転をちらつかせているのではないかとする声もある。
(2001年11月5日マリタイムアジア)
 
海事業者は提携・合併せよ:経済開発庁
 「シンガポールの海事産業は国際的な競争力を強化するために、同盟や合併、アウトソーシング、造船所の共有などを検討しなくてはならない」経済企画庁(EDB)のコー・ケンホア会長はこのほど、オランダのセントラル・インダストリー・グループが西部ジュロンに建設した造船所の正式開幕式のスピーチでこうした考えを明らかにした。
 シンガポールでは先月24日、セムコープ・インダストリーズとケッペル日立造船所が、国内造船事業の合理化や、両社の提携の可能性をめぐって協議を進めていることを明らかにしたばかり。コー会長は国内に海事関連会社が100社、海事建設会社が200社を数えることを挙げ、中でもこれらの大部分を占める中小企業について、戦略提携や企業連合の結成、合併を真剣に検討するよう呼び掛けた。
 セントラルは同造船所の建設におよそ1,000万シンガポールドルを投資。今年5月から操業を開始していた。発注元の要求する設計・製造に従って作業を請け負うため、低コストかつ効率の高いサービスを提供できる点が特徴で、顧客にはケッペル日立造船所、ジュロン・シップヤードなどが含まれるという。
(2001年11月5日シッピングタイムズ・11月6日NNA)
 
世界銀行、マラッカ海峡のMEHに援助するよう求められる
 アジアの船主グループは、現在提案されているマラッカ海峡のMEH(マリン・エレクトロニック・ハイウェイ)について、海運産業が財政負担を負うことのないよう資金供給機構を確立するよう求めた。
 MEHは、電子海図のネットワークとAIS装置を利用した情報の即時更新を合体したものである。
 IMOは、海峡内の海上安全の向上と環境保護のため、MEHを実行すると思われる。
 MEHプロジェクトについては、世界銀行がその開発に資金を提供し、海峡の利用者が毎年使用料を支払うという提案が出された。
 先週開かれた第8回アジア船主フォーラム・航行安全環境委員会(SNEC)では、MEHについて「注目するに足る」と述べられたが、導入される際にかかる費用に関して懸念が示された。
 「SNECはMEHプロジェクトの提議者に対し、海運業界が財政負担を負うことのないよう資金供給機構の確立を考慮するよう求める。」
 提案されているMEHの使用料(年間)は、1,000USドルから5,000USドルの間だと言われているが、この金額を船舶毎または会社毎に支払うのかははっきりしていない。
(2001年11月7日ロイズリスト)
 
シンガポール ひびき港開発、PSAの参入ほぼ確実に
 シンガポール港湾公社(PSAコープ)率いるコンソーシアムが北九州市と話し合いを進めている「ひびきコンテナターミナル事業」は、今年4月にコンソーシアムからの離脱を表明した日本側有力者が、同事業を認める方針を示したことで、最終決着へとはずみがついた。関係者は年内の基本合意、来春の最終契約に期待を示している。ひびきコンテナターミナルは1995年に日本政府がまとめた港湾計画の長期ビジョンに基づき北九州市若松区に建設されている。完成時には12のコンテナバースを備え、処理能力は年間150万TEU(20フィートコンテナ換算)に達する見込み。
 東京と中国・上海の中間点(両地まで直線で1,000キロメートル)に位置し、中国の青島(山東省)・新港(河北省)・大連(遼寧省)といった黄海沿岸の主要港から航路約2日の距離にあるという地の利を生かし、黄海圏〜北米・欧州間の貨物の中継拠点として利用される予定だ。
 PSAと日本企業16社から成るコンソーシアムは同事業への参画をめぐり、昨年12月末から北九州市当局と協議していたが、今年3月半ばに同16社のうちの1社である「上組」の社長で、日本港運協会会長を兼任する尾崎睦氏が同コンソーシアムを離脱する意向を示したため、交渉の先行きが危ぶまれていた。
 19日付『シッピング・タイムズ』によると、尾崎氏は先週の記者会見で、PSAが同事業の運営企業の最大株主(持ち株比率60%)になることを認める意向を明らかにしたという。
3月の離脱表明の時点で同氏は、「PSAは貨物の積み替えをすると言いながら、近港の貨物を『横取り』しようとしている」などと非難していたとされる。同紙は日本側消息筋の話として、今回同氏が容認姿勢に転じたのはPSAとの直接対話によるものではなく、各層の日本政府筋との協議によってもたらされたとしている。
 ひびき港事業については先ごろ小泉純一郎首相が「日本経済回復のきっかけとなる3大インフラ開発の一つである」と述べ、国家プロジェクトに位置付ける考えを表明したことで、改めて脚光を浴びるといった経緯もあった。
 北九州市当局の担当者は日本港運協会の事業支援表明について、「非常に素晴らしいニュース」と述べ、2003年10月のターミナル操業に向け、必要な交渉が大きく前進すると期待感を示した。
(2001年11月20日NNA)
 
マレーシア高官:エバーグリーン社、近いうちに星からジョホールへ移転
 台湾の海運大手エバーグリーン社は、近いうちにシンガポール港からジョホール州のタンジュン・プルパス港にコンテナハブを移転するとマレーシア・ジョホール州のガニ・オスマン長官が述べた。
 「タンジュン・プルパス港(PTP)はシーレーンから近く、コスト面での競争力が高い。デンマークの海運大手マースク・シーランド社がシンガポールからPTPに移転したのが、その証拠である。同じく海運大手である台湾のエバーグリーン社も、近いうちに移転してくる予定である」
 エバーグリーン社のシンガポール港からPTPへの移転について、政府高官がコメントするのは初めてのことである。
 ある情報筋によると、エバーグリーン社は、来年8月までにPTPに移転する旨記したMOUに署名したとのことである。
 エバーグリーン社とその子会社であるユニグローリーは、毎年シンガポール港を通じて120万TEUのコンテナを運搬している。昨年のマースク社の移転によって、200万TEUのコンテナがPTPにもたらされた。エバーグリーンとマースク、両社のコンテナ量の合計は、シンガポール港が昨年取り扱ったコンテナ総数1,700万TEUの19パーセントを占める。ジョホール州政府は、マハティール首相の南部地域を海運・航空ハブにするという提唱を受けて、同州のスナイ空港をアップグレードするほか、その優位な立地条件を生かし、世界に通用する港のサービスを提供していく予定で、これによってシンガポールに多少の影響が出るかもしれないとしている。
(2001年11月26日ビジネスタイムズ)
 
MPA長官 IMO理事会議長に選ばれる
 11月30日、シンガポール海事港湾庁(MPA)のチェン・ツーペン長官が、IMO理事会の議長に選ばれた。
 チェン長官は、29カ国の理事国によって議長に選ばれた。MPAの声明によると、中国がチェン長官を推薦し、イギリスとカナダがこれを支持した。
 前回の理事会議長は、オランダのG.A. Dubbeld氏。
 チェン長官は、IMO問題の取扱いに10年以上の経験を持つ。議長として、今後2年間IMOを先導し、組織的・財政的改正を実行していく。
(2001年12月1日ストレートタイムズ、2日シッピングタイムズ)
 
アメリカ海軍による立ち入り検査中にシンガポール船の船員が負傷
 先週、パキスタン沖の北アラビア海を航行中のコンテナ船Kota Sejarah号(シンガポールPIL社チャーター)にアメリカ海軍が立ち入り検査のため乗り込んだ。この時、K号の乗組員6名が30分にわたって両手を縛られ、甲板にうつ伏せになるよう強いられた。PILのスポークスマンによると、船長の報告では、船長及び乗組員は検査に協力したが、乗組員1名が指に傷を負い、もう1名はアメリカ海軍の兵士の一人に足を数回に渡って蹴られたとのこと。結局、この検査では、不法な武器及びテロリストは発見されなかった。
(2001年12月12日ビジネスタイムズ)
 
海事当局、燃料2業者の営業差し止め
 シンガポール港で供給される船舶用燃料が汚染されていることが判明したのを受け、海事港湾庁(MPA)は、燃料供給業者とタンカー運営業者に対する捜査を進めている。これにより、すでに2つの燃料タンカー業者が、汚染燃料を供給していた疑いで一時的な免許停止処分となった。
 免許停止になったのは「SB469B MTアレクサンドラ」と「SB435HMTメンフィス」の2タンカー。MPAは先月、シンガポールを拠点にする船舶用燃料(バンカー)検査会社DVNペトロリウム・サービス(DNVPS)から、バンカーの一部に汚染物資が含まれているとの報告を受けており、今回2社の処分に踏み切った。
 業者向けの文書のなかでMPAは、「原因と特定し、シンガポールのバンカー港としての評価を守るため」と処分に踏み切った理由を説明した。
 12日付けビジネスタイムズによると、シンガポール港はバンカー供給量が年間1,800万トン以上(50億シンガポールドル相当)に達し、世界でも最大級の燃料供給港となっている。
 同紙はバンカーに含まれていた物質が「ISO(国際標準化機構)8217」で使用禁止が明示されている石油系溶剤や有機塩化物だと推測している。
 MPAはDNVPSからの報告を受け、ただちに詳しい調査に着手。現在までのところ、汚染物質を含んでいるとみられたサンプルは、いずれも「ISO8217」の基準を満たしているとされるが、MPAは捜査を継続しており、結論が出るまでにはまだ時間がかかるもようだ。
 バンカー業界に当局の捜査のメスが入るのは今回が初めてではない。今年10月8日には「独立タンカー・オーナー国際協会(INTERTANKO)のシンガポール支部がバンカー供給業者が燃料に空気を入れてかさ増しする「カプチーノ効果」を悪用しているとして、MPAに取り締まりを求めた。その後、捜査が進み、先月20日にバンカー計量業者5社が供給量のごまかし容疑を認める結果となった。
 また現在でも、「カプチーノ効果」を使った燃料を供給したとされる複数の業者に対する捜査が引き続き行われているという。
(2001年12月13日NNA)
 
MPA: 船会社は海上での米海軍による立ち入り検査を覚悟すべし
 シンガポールがチャーターした船にアメリカ海軍の特殊部隊が立ち入り検査のため乗り込んだことを受け、シンガポール海事港湾庁(MPA)は、海運団体に対し米軍や連携軍による立ち入り検査に全面協力するよう求めた。
 シンガポール大学のロバート・ベックマン教授によると、アメリカの行動が合法であったのかどうかは、いくつかの要因によると述べている。
 一つは立ち入り検査の行われた場所である。先日のケースは、パキスタンの領海から12海里離れた国際海域で発生した。
 国際海域における船舶の司法権は、旗国にあるとされており、今回のケースではパナマに司法権があるとされる。
 アメリカ海軍は特殊な状況を除いて、他国の船舶に無断で乗り込むことはできない。
 例えば、湾岸戦争時にアメリカ海軍が船舶に対し立ち入り検査を実施したことがあったが、これは国連安全保障理事会決議を根拠に行われたものであり、合法であった。
 最近、安保理は、テロ組織の資金を絶つための措置などからなる包括的なテロ対策決議を採択した。
 しかし、アメリカが今回の立ち入り捜査を正当化するために、このテロ対策決議を利用できるのかどうかは不明である。
 ベックマン教授によると、ほかに国際海域で船舶に乗り込むことのできる場合として、船舶が海賊行為、奴隷売買、薬物密輸などに関わっている場合が挙げられるとのこと。
 「9月11日の事件を受けて、テロ行為がそのような例外のリストに加わったと言えるかもしれない」と同教授は述べた。
(2001年12月15日ストレートタイムズ)







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