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シンガポールのコンテナ取扱量、域内シェア縮小
 シンガポールは今後も東南アジア地域の中心的なコンテナ港の地位を維持する見通しだが、域内シェアは2015年までに15%も下がるだろう――英オーシャン・シッピング・コンサルタンツ(OSC)が、最近レポート「2015年までの東アジア・コンテナ港市場」でこう予測した。
 東南アジア域内のコンテナ取扱量は、1999年の3,170万TEU(20フィートコンテナ換算)から、2015年には1億1,000万TEUに達する見込み。同期にシンガポールのシェアは50%から34%に低下する見通しだ。
 落ち込みの原因としては【1】マレーシア・クランやタイ・レムチャバンなど、他の港への直接寄港が増えている。【2】デンマークの海運大手マースク・シーランドがコンテナ積み替え業務をシンガポールからマレーシア・ジョホール州のタンジュンプルパス港(PTP)に移転した影響【3】PTPをはじめとする他の域内港が競争力をつけ、価格競争が激化している――ことなどが挙げられる。
 OSCはまた、東アジアの港湾が1998年の経済危機後に急速に回復した様子を報告している。日本、韓国、中国北部、ロシア極東部を含むアジア北東市場のコンテナ取扱量は1999〜2000年に30%近くも増加。香港、中国東部・南東部、台湾を含む中国圏は1999年に24%、2000年に35.5%も伸びた。
 香港のコンテナ取扱量は、1995〜2000年に44%もアップして、1,810万TEUに達した。2000〜2005年にさらに25〜37%伸び、2,270万〜2,470万TEUに達する見込み。
(2001年6月22日NNA)
 
マレーシア 国家海事当局の設置遅れる
 現在持ち上がっているマレーシア国家海事当局の設置は、2002年に実行される予定である。これは「コンテナアジア2001」の開会の席でリン運輸大臣が述べたもの。今年2月マレーシア政府は、国内に9ヶ所ある海事当局を2001年後半に包括するという計画を発表していた。これについて、リン運輸大臣は、計画は現在進行中で、来年には準備が整うだろうと述べている。提案されているマレーシア港湾委員会に対しては、マレーシアの港湾私有化計画の下に交わされた契約が変更されるのではないかと恐れたターミナル運営者から非難の声が上がった。タンジュンペレパスやウエストポートなどの海外投資を受けている港に対して、特に懸念が示されている。マレーシア港湾運営会社連盟は、すでに政府に対して懸念を表明している。連邦に近い情報筋によると、現在政府からの返事を待っている状態で、もし自分達の意見に注意が向けられない場合は、ほかの手段で意見を訴えていきたいとしている。リン大臣は、新海事当局は今あちこちに向いている方向を一本にまとめ、国内全ての港と優先開発プロジェクトを担当する予定であると話している。
(2001年6月29日マリタイムアジア)
 
インドネシア海軍がマレーシアの漁師に現金を要求
 マレーシア当局の発表によると、インドネシア海軍はインドネシア領海に侵入したマレーシアの漁師に対し、現金を要求してきたとのことである。
 マレーシア防衛省への報告では、インドネシアの海軍職員がマレーシア漁師に対し、解放されたいのなら3万〜4万マレーシアリンギを支払うよう要求したとされている。
 マレーシア防衛大臣は報告を受け、現在調査を進めているところであるが、他国の海軍職員が関与していることから、事件の真意を問うのは難しいとしている。
 インドネシア海軍への申し立ては、6月25日にインドネシア海軍によってマレーシア漁師1名が銃殺されたことから持ち上がった。インドネシア海軍はこの事件について、警告発砲を行ったが、この漁船は停止せずインドネシア領海に侵入したため、発砲を余儀なくされたとしている。しかし、マレーシアの漁師等は当局に対し、これまでインドネシア海軍はインドネシア領海内でマレーシアの漁師を逮捕し、その保釈金を要求してきたと述べている。
(2001年7月7日ストレートタイムズ)
 
クラ運河計画、最終的承認は得ず
 昨日(7月17日)、タイの外務大臣は、タイがクラ運河の実現可能性調査を実施するからといって、タイ政府が計画を進めると決定したわけではないと述べた。
 このプロジェクトは、タイ湾とアンダマン海をつなげるというもので、実現すればシンガポール港が大きな影響を受けると言われている。
 これはシンガポールでの公開講義の席で出された質問に答えたもので、同大臣は、「未だ環境への影響や周辺国家への影響などを含めた実現可能性調査は完了されていない。科学的な視点から見たプロジェクトのよい面と悪い面はわからない」としている。
(2001年7月18日ストレートタイムズ)
 
インドネシア国営旅客船会社PELNI、ドイツの財政援助を打ち切る
 インドネシア国営旅客船会社PELNIは、23隻目の船舶に対するドイツの会社KfWからの財政援助を打ち切った。しかし、この23隻目の船舶は調達される見込みで、このほかに計画されている70隻に及ぶ船舶の調達は続行される。これらの船舶については、今後、当初の運用リース計画の下調達される予定で、ギリシャ、イタリア、日本がリース元の候補に上がっているとPELNIの関係者は述べており、KfW側は今回の措置を受け入れていると付け加えた。
(2001年7月20日マリタイムアジア)
 
シンガポールとフィリピンが訓練に関するMOUに署名
 8月25日、海上安全と船員の能力向上に焦点を置いた訓練、海技免状、見張りに関するMOUがシンガポールとフィリピンの間で署名された。
 署名式には、シンガポールのゴー首相、シンガポールを3日にわたって訪問中だったフィリピンのアロヨ大統領が出席した。MOUは、シンガポール籍船に勤務する約5,500人のフィリピン人船員に影響を与えるとみられる。
 運輸情報通信省の発表によると、このMOUによって、シンガポール籍船が船員を雇う際にフィリピンで発行された海技免状が認められるようになる。
 詳しい内容は明らかにされていないが、MOUの最も重要な役割は有効でない海技免状を排除することである。
 今後はシンガポール籍船が「資格をもった能力の高い」船員にしっかり管理されるよう、フィリピンの海事訓練所の検査をシンガポールが実施できるようになる。
 このほかにMOUには、法的責任、船員の能力・海外での健康状態を改善するための見張りのシフト制、休息時間の条件等が含まれている。
(2001年8月27日シッピングタイムズ)
 
ブルネイもフィリピンの海技免状を認める
 フィリピンは、シンガポールに続いてブルネイともMOUに署名し、ブルネイでもフィリピンで発行された海技免状が有効になる。MOUは先週末、アロヨ大統領が両国を訪れた際に交わされた。
(2001年8月28日マリタイムアジア)
 
オーストラリア 難破の中東難民、政府が受け入れ拒否
 400人以上の中東難民を乗せたノルウェー船籍の貨物船が、入国を目指して豪州領クリスマス島近くに停泊している。不法入国を企てる人々が後を絶たないことから、ハワード首相は、これら難民を受け入れるつもりはないとの強い姿勢を示している。これら難民の乗った船は26日午後遅く、インドネシア領海で難破。これを、通りかかったノルウェー船籍の貨物船『タンパ』が救助した。
 『タンパ』は当初、インドネシアのジャワ島に向かっていたが、救助された難民らが豪州に行くよう強要したという。
 豪海上保安局(AMSA)の広報担当官は、同船舶の船長がこれに逆らうことができない状態にあると説明。
 船長の話では、難民のうち、非常に興奮した様子の5人がインドネシアに行くことを強く拒否。要求をのまなければ海に身を投げると脅したという。
難民の多くは、アフガニスタン人とみられている。27日午後現在、『タンパ』はクリスマス島の北西17海里に停泊している。
 この件について、ハワード首相は、不法入国者を乗せているとみられる船を受け入れることはできないと発言。国際法上、同船舶は難破した海域から最も近いインドネシアの港に向かうべきだと主張した。
 同首相はまた、豪州政府は人道的援助を惜しまないとした上で、この問題は今や、インドネシアとノルウェー政府に帰すると述べている。「密入国しようとしている人々に、豪州は人道的で、礼儀正しい国だが、決してつけ込まれやすくはないことを知ってほしい」(同首相)。野党労働党も同首相の方針を支持している。
 同首相の発言の背景には、最近になって不法入国者が増えている現状がある。
 16日には、イラク人を中心とする難民350人が同島に漂着。今回のノルウェー船に乗った不法入国者のほかに現在、約500人を乗せた船がクリスマス島を目指しているとみられている。
 豪州政府の決断に対し、『タンパ』を所有する船会社の副社長は、この問題をノルウェー政府にゆだねる考えを示している。在豪ノルウェー大使館も今のところ、本国の判断を待つとコメントしている。
 7月以降、豪州に不法入国した難民は既に980人に上っている。
(2001年8月28日NNA)
 
ひびき港開発、小泉首相が後押し
 シンガポール港湾公社(PSAコープ)率いるコンソーシアムと北九州市との間で協議が進められている「ひびきコンテナターミナル事業」について小泉純一郎首相は、「日本経済回復のきっかけとなる3大インフラ開発の一つである」との見解を明らかにした。同事業は一部出資予定者の離脱がささやかれるなど、一時は先行きが危ぶまれていたが、小泉首相の支持表明を受け、計画が加速するとみられている。PSAコンソーシアムは昨年12月末、同事業への参加を希望する複数の民間事業者の中から、北九州市当局との優先的な交渉相手として選出された。双方はその後、事業の詳細について話し合いを進めていたが、日本港運協会会長を務める尾崎睦氏が、自身が経営する港湾運送大手「上組」を同コンソーシアムから引き揚げると発言したことで、交渉の行方が懸念されていた。
 小泉内閣はこのほど、ひびきコンテナ事業は日本で最初のPFI(民間資金などの活用による公共施設の整備)事業であるとした上で、「日本の国家プロジェクト」に位置付ける方針を明らかにした。小泉首相は声明で、「われわれは都市再開発問題について重大な決定を下した。関係閣僚にはそれぞれの構想を積極的に押し進めるよう要請した」と語った。
 北九州市当局者も、「小泉内閣が経済回復や構造改革を推進する上で、ひびき事業を最重要プロジェクトと定めたことは、PSAグループとわれわれが政府の強力な支援を取りつけたことを意味する」と、その意義を強調。PSAとの正式契約の早期実現に前向きな姿勢をみせている。
 ひびきコンテナターミナル事業の出資比率は、北九州市が10%、PSAが60%、そのほかの企業が30%となっている。北九州港は日本で6番目に大きな港湾で、黄海海域での物流ハブを目指し、1997年12月から再開発が進められている。ひびきターミナルは北九州市若松区にあり、完成時には12のコンテナバース(停泊地)を備えた日本初の24時間操業港となる見込みだ。
(2001年9月13日NNA)
 
シンガポール、第二クルーズセンター建設計画
 9月11日にアメリカでテロ事件が起こって以来、全世界のクルーズ産業は急激に下降しているが、シンガポールは第二クルーズセンターの建設調査をコンサルタントに依頼した。
 第二クルーズセンターの建設案は、2年前に浮上した。現存するクルーズセンターでは収容できない総トン数100,000トン級の超大型船が寄港することを見込んで、これに対応できるよう目指したもの。
 先週行われたシンガポール海運協会の16周年記念式の席で、リム・スイセイ国務相(運輸情報通信担当)は、「シンガポール海事港湾庁(MPA)は、クルーズ産業が今後も成長すると予想しており、マリーナサウスにより大きなクルーズ船が寄港できる新たなクルーズセンターを建設するためのフィージビリティ調査をコンサルタントに依頼した」と述べた。
 9月11日の事件以降、全世界のクルーズ産業は急激に減速しており、シンガポールも今年の同国への旅行者の数は、5%減少の見込みだと発表した。
 シンガポールのクルーズ産業は、スタークルーズ社の登場によって1990年代に急速に成長したが、過去2年間は成長が落ち込んでいる。
 現存するクルーズセンターを運営しているPSAコープは、2000年には1,213隻のクルーズ船を取り扱ったが、外国からの乗客は99年に比べて12.6%減少した。
 第二クルーズセンターは、別の運営会社に賃借されるとみられる。
 9月11日の事件以前から、PSAコープのヨー・ニンホン会長は、第二クルーズセンターには十分な需要がないとして、新たなクルーズセンターの計画に冷ややかな反応を示していた。
(2001年10月4日ロイズリスト)
 
バタム港拡大プロジェクト 来年2月に入札開始
 バタム産業開発局(BIDA)は、Batu Ampar一般貨物・コンテナ港の拡大プロジェクトの国際入札を来年2月から開始する予定である。
 同局の会長によると、現在9社の外国企業がフィージビリティ調査を実施しており、4ヵ月後に終了する予定である。その後、建設プロジェクトの国際入札が行われる見込みである。
 現在、バタムの主要港であるBatu Ampar港では、一年で7万TEUのコンテナ、300万トンの一般貨物を取り扱うことができる。
 同会長は、将来的には需要が20万TEUに達すると予想されているが、現存する施設では対応できないと述べている。
 この2,400万米ドルのプロジェクトの目標は、5年後に同港が100万TEUのコンテナと500万トンの一般貨物に対応できるようにすることである。
(2001年10月9日マリタイムアジア)
 
フィリピン沿岸警備隊 近代化計画に着手
 フィリピン沿岸警備隊は、新たな船舶、航空機、海上安全装置の取得を含めた5年にわたる近代化計画に着手した。日本からは、2隻のブイテンダーが提供される予定である。現在、フィリピン沿岸警備隊が所有するブイテンダーは日本で建造された1隻のみで、この1隻で国内479の灯台の点検にあたっている。このほか、オーストラリアからOspreyクラスの全長56メートルの捜索救助船2隻、ノルウェーから火災や油濁への対応を強化するための多目的船6隻、フランスからDauphinのヘリコプター4機、カナダからBombardierの水上飛行機を取得する予定である。
(2001年10月17日マリタイムアジア)







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