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第4節 海運・港湾
 
PSA公社とバタムが提携協力
 シンガポールの南にあるインドネシア・バタム島をシンガポール海域に進入する船の通過港として開発するとPSA公社が申し出ている。
 バタム港関係者によると、政府が現在PSA公社との協力について実行可能性調査を行っている。同関係者は、PSAは活発な港湾活動の一部、特にバース操りが難しい夜間の活動をバタムの方に移動したいとしている。これまでシンガポールとバタムの間で協力が延期されていたのは、海軍や警察などとの調整が必要だったためである。
(2001年4月6日マリタイムアジア)
 
PSA公社とバタムとの提携協力を否定
 PSA公社は、同社がインドネシア・バタム島をシンガポール海域に進入する船の通過港として開発を申し出ているという報告を否定した。
 PSA公社のWong Fong Tze副社長は、バタムの港開発プロジェクトを申し出たことはないと発表しており、日中または深夜ともPSAは出入りする船舶の収容に問題はないと話している。
 先の報道では、政府が現在PSA公社との協力について実行可能性調査を行っているというバタム港湾事務所のInsan Kamil所長の発言が掲載された。また、同所長は、PSAは特に夜間の港湾作業をバタムの方に移動したいとしているとも述べていた。
(2001年4月10日マリタイムアジア)
 
港湾公社、中国広州でコンテナ事業合弁会社を設立
 シンガポール港湾公社(PSAコープ)は10日、中国の広州港務局と、港湾運営の合弁会社「広州コンテナターミナル社」を設立した。同社は広州地区の3つのコンテナバース(停泊地)を管理運営する。同地区は華南の貨物の輸出拠点にあたり、今後の発展に期待が集まっている。
(2001年4月11日ビジネスタイムズ)
 
バタム島に船員訓練センターを設置
 インドネシア海運総局の局長は、インドネシア船員の向上を図るための訓練センターを設置する予定で、設置用地にバタム島を選んでいる。
 バタム島が選ばれた理由について関係者は、同地はインドネシア船員が外国船に乗船する際の勤務基地になっていると述べている。訓練センターの設置は、最近のインドネシアのIMOホワイトリスト入りを受けて計画されたものである。ホワイトリスト入りをしたことで、インドネシアは同国の船員をSTCW95に適応させなければならない。
(2001年4月12日マリタイムアジア)
 
マレーシア及びアジア太平洋地域のコンテナ取扱量、将来の見通し
 マレーシア海事産業研究所(MIMA)が4月の第一週に開催したセミナーで、2006年と2011年のマレーシア及びアジア太平洋地域のコンテナ取扱量について調査が行われた。
 国連のアジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)と韓国海事研究所(KMI)が第一回調査を行っている。この予想結果は2001年6月に発表される予定である。
 
順位 2006年の主要国 2006年予想取扱量 2011年の主要国 2011年の予想取扱量
1 中国 34.0 中国 60.0
2 シンガポール 25.6 シンガポール 31.8
3 香港 20.0 香港 22.1
4 韓国 15.2 韓国
5 台湾 12.6 マレーシア 19.7
6 日本 12.4    
7 マレーシア 10.9    
(取扱量の単位:百万TEU)
 
2006年と2011年のマレーシア港コンテナ取扱量予想
 
順位 2006年の主要港 2006年予想取扱量 2011年の主要港 2011年の予想取扱量
1 クラン港 5.0 クラン港 8.9
2 PTペレパス 3.6 PTペレパス 8.2
3 ペナン 0.967 ペナン 1.12
4 ジョホール 0.808 ジョホール 0.892
5 Kキナバル 0.155 クチン 0.292
6 クチン 0.220 Kキナバル 0.206
7 クアンタン 0.057 クアンタン 0.083
(取扱量の単位:百万TEU)
(2001年4月9日スター)
 
オーストラリアがインドネシアを支援
 オーストラリア政府は、インドネシアに対し、海洋資源の探査及び保護のための支援を提供する予定である。これは、インドネシアと海外諸国との関係に海事分野が重要な要素となっているためである。最近開催されたインドネシア初の海事会議において、在ジャカルタオーストラリア大使館のLeslie Rowe氏は、オーストラリアが関与すべき領域について、海洋監視と漁業管理がそのうちの1つに挙げられると述べている。
 「インドネシアとオーストラリアの領海線が重なっていることから、海洋監視はとても重要である。両国の政府は、協力して境界を効率的に管理することに意欲的である」と同氏は述べている。
 オーストラリアは、海洋監視ソフトウェア、人材、巡視艇についてインドネシア政府と話し合いを持ちたいとしている。一方、インドネシアの海事・漁業大臣は、不法な船の侵入を防ぐため、インドネシアはMCS(monitoring, controlling and surveillance)システムを導入したと話している。
 「このシステムを導入することにより、規制強化や船舶監視システムの基盤構造、巡視艇の水上レーダー、空中監視を改善することになるだろう」と同大臣は述べている。
(2001年4月13日マリタイムアジア)
 
2000年にマレーシアの主要港に寄港した船舶の総数を運輸省が発表
2000年にマレーシアの主要港に寄港した船舶の総数
寄港した船舶の総数:32,168隻
貨物総取扱量:1億4,200万トン
マレーシアの各主要港の詳細
 
順位 港名 寄港船舶数 貨物取扱量 (百万トン) コンテナ取扱量 (TEU)
1 クラン 12,416 65.2 3,200,000
2 ペナン 7,263 20.4 635,780
3 パシルクダン 6,485 23.5 659,181
4 ビントゥル 4,047 24.8 47,609
5 クアンタン 1,677 6.02 60,376
6 ケママン 280 2.1
  総数 32,168 142.02 4,602,946
(2001年4月16日スター)
 
主要港を結ぶアジア横断鉄道計画
 シンガポールから中国の昆明(クンミン)を結ぶアジア横断鉄道案の技術調査が、現在進められている。実現すれば、沿線各国の主要港が結ばれることになる。
 マレーシア鉄道のAbdul Radzak Abdul Malek氏は、アジア横断鉄道は、地域の越境貿易を後押しするだろうと述べている。
 この案は、同氏が最近オーストラリアのメルボルンで開催された会議で発表したものである。
 現在、タイ国鉄が後援したコンサルタントによって技術調査が進められているが、プロジェクトには援助国からの基金が必要だという。
 マレーシアが調査委員長を務めており、最終報告が昨年のアセアン運輸大臣会議で提出された。
 現在、ミャンマーとタイが書記を務めており、詳細な調査の実行を担当する予定である。
(2001年4月18日ストレートタイムズ)
 
PSAの北九州港湾事業、出資予定者が「離脱発言」
 シンガポール港湾公社主導のコンソーシアムが進めている「ひびきコンテナターミナル事業」で、日本側の出資予定者の一部が離脱を示唆したもようだ。コンソーシアムの交渉相手となる北九州市港湾局は、現時点では離脱について報告を受けていないと語り、交渉の年内締結に期待を示している。
(2001年4月24日シッピングタイムズ)
 
インドネシア・カリムン島の瀬取りビジネスが繁栄 昨年は200隻の船が利用
 インドネシア・カリムン島の瀬取りビジネスは、過去2年で急成長を遂げている。
 シンガポールに登録されているSobeldia International Pte Ltdの運営マネージャーであるポール・キャッシュ氏によれば、現在カリムンは効率及び費用効果の高い瀬取り用停泊地に様変わりしている。昨年1年でこの瀬取り停泊地を利用した船は200隻とも言われ、このなかにはVLCCやアフラマックス級のタンカー、ガス運搬船、ケミカル運搬船も含まれていた。
 数年前には規制や司法権が曖昧だったため、瀬取り作業はニパ灯台の付近で行われていたが、その後インドネシア当局からの完全な支持を得て、カリムンのタンジュンバライ港に20平方キロの指定停泊地が設置された。
(2001年4月26日シッピングタイムズ)
 
シンガポール政府系2社、ブラジルに進出 造船所をオープン
 シンガポールとブラジルが海洋産業や観光業を通じて2国間関係を強化し、アジアと中南米の経済協力を先導する方針だ。シンガポールの政府系2社(ケップフェルズとジュロン・シップヤード)は、それぞれブラジル企業と合弁でリオデジャネイロに造船所を設立した。
(2001年4月25日ストレートタイムズ)
 
APL、タンジュンペレパス港への寄港を取りやめ
 APLがタンジュンペレパス港への寄港を取りやめたことから、同港を利用するのはマースク・シーランドのみとなった。
 APLはシンガポールの船会社NOLの傘下にある。昨年6月、APLが西アジアエキスプレス便で毎週タンジュンペレパス港に寄港を開始した時には、論争が起きた。
 今回の寄港取りやめについてNOLは、寄港を決定した時と同様に商業的観点から決められたことであると話しており、必要な場合があれば今後もタンジュンペレパス港に寄港すると述べている。
 これに対し、タンジュンペレパス港側は、これまでもAPLの寄港は不定期であったとして、APL側の毎週寄港していたというAPLの言い分を否定している。
(2001年4月27日マリタイムアジア)
 
シンガポール海事協会主催海洋法セミナー 適切な海洋法が求められる
 シンガポールで開催されたシンガポール海事協会主催海洋法セミナーにおいて、シンガポール国際法協会の会長であるロバート・ベックマン教授が講演を行った。このなかで、ベックマン教授は、東南アジア地域は積極的な弁護士協会を持ち、IMOから届く草案文書に目を通し、それがこの地域に適切なものなのか見極めるべきであると述べた。法律が増えていくなか、これらの法律がベトナムやカンボジアなどの東南アジアの発展途上国に適切なのかどうか懸念されている。ベックマン教授は、IMOは新たな法律を多く作成しているようだが、アメリカやイギリスに適した法律がアジアには適切でないこともあると語った。世界の船舶所有権のおよそ半数がアジアにあるというのに、国際法の作成についてはIMO及び西洋諸国が優位を占めており、アジアは副次的な地位にある。エリカ号事件後の環境及び安全に対するヨーロッパの進展は、アジアとヨーロッパの溝を深めると思われる。
(2001年5月7日マリタイムアジア)
 
繁栄にはシーレーンの安全が不可欠
 5月8日、シンガポールで行われた国際海事防衛展覧会及び会議(IMDEXアジア2001)の開会式で、シンガポール国務相(国防兼情報芸術担当)のデヴィッド・リム相は、「シーレーンの安全は、地域の安全と国際社会の発展に直接的な影響を与えるものである。このため、この地域での国際的な協力の強化が重要である」と述べた。
 この開会式には、15名の将官が出席した。
 会議には、33カ国から2,500名が参加する見込みである。
 また、リム相は「世界のほとんどの国が貿易に関わっている今日、航行の自由及び安全を確保することは不可欠である」とも付け加えた。
 リム相は、天災、事故、犯罪が海上で問題になっている事項であると述べ、これらは越境した問題であると語った。
 各事項について、情報交換、捜索救助、安全確保のために国際協力が必要不可欠であるとリム相は語り、IMDEXアジア2001の開催によって、各国の意見交換の機会が設けられたと語っている。
 IMDEXアジアの開催期間は5月11日まで。
(2001年5月8日ストレートタイムズ)
 
クルーズ船の船長がTSS違反船の取り締まりを求める
 スタークルーズの船長が、マレーシアとインドネシアの沿岸警備隊に対し、通航分離方式を遵守しない船を罰するように求めている。
 これらの違反船は指定通航帯を使用せず、その通航帯を横断しているという。
 スタークルーズの客船の中でも最大のスーパースター・バーゴ号(76,800grt、最大1,960名収容可能)のPeterstam船長は、以下のように述べている。
 「これまでに数回の正面衝突未遂があったことから、早めの回避行為を余儀なくされている。回避行為のため正規の航路から外れる際に、こちらが座礁する危険性もある。マラッカ海峡は多くの通航船を有する輻輳した航路であり、船橋では緊急時に備えてオフィサー2名が見張りと操船にあたっている」
 同船長は、海賊は貨物船を狙うことが多いため、海賊よりも航行安全に懸念しているが、最近の海賊事件の増加を受け、船上のセキュリティも強化させたと述べている。
 マレーシア海事局航行安全課のアーマッド・オスマン課長は、以下のように述べた。
 「TSSを通航する船舶は然るべき規則を遵守しなければならない。通航路を反航する船舶を発見した場合、VTSオペレーターは船長に正規の航路に戻るように伝えることはできる。しかしながら、それは強制ではない。もし利用しないのであれば、分離帯に入らなければよい。安全な速力は船舶交通の状況、気象、水深、漁船の集密度等いくつかの要素に左右される。多くの命を預かる身として、クルーズ船の船長が衝突事故を懸念する気持ちは理解している」
(2001年5月21日スター)







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