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日本の船が海賊対策訓練に参加
 タイ海上警察と日本海上保安庁が、本日(12月12日)パタヤ沖の海上で合同海賊対策訓練を実施する。
 海上警察の監督にあたる中央捜査局のChat Kulladilok監督官は、訓練の目的は、タイ海域で増加する海賊行為を取り締まるため、両国警察隊の協力関係を強化することであると述べた。
 同監督官によると、タイ海上警察はこれまで海賊対策訓練を実施したことはなく、今回が初めての訓練であるとのこと。
 タイ海上警察からは職員100名と巡視艇8隻、日本海上保安庁からは職員50名とヘリコプターを搭載した巡視船「りゅうきゅう」が訓練に参加する予定である。
 日本海上保安庁の巡視船は、「アジア海賊対策チャレンジ2000」の一環として、現在タイを訪問中。「アジア海賊対策チャレンジ2000」は、4月に東京で開催された海賊対策国際会議で採択されたもの。
(2001年12月12日バンコクタイムス)
 
タイと日本が合同海賊対策訓練を実施
 タイと日本は昨日(12月12日)、公海での海賊及び武装強盗対策のための合同海上訓練を実施した。
 パタヤ海岸沖の海上において終日に及んだ訓練は、海賊が船舶を襲撃したという想定で行われ、その後捜索救助訓練も実施された。
 タイ海上警察職員及び港湾局職員100名と現在タイを訪問中の日本海上保安庁職員51名が、訓練に参加した。
 タイからは巡視船7隻が、日本海上保安庁からは巡視船1隻とヘリコプター2機が、訓練に派遣された。
 日本海上保安庁の辻村邦康参事官は、日本は、東南アジア、特にこの地域において増加する海賊及び武装強盗による襲撃に懸念を示していると述べた。日本政府は、地域各国に対し自国海域の監視に責任を持つよう求めている。
(2001年12月13日バンコクタイムス)
 
海賊に対して海事当局が警戒を高める
 東南アジア海域が世界で最も海賊事件が多いという報告を受けて、タイ海事当局は海賊行為に対する警戒を高めている。
 IMB(国際海事局)によると、今年は9月までの時点で300件、昨年は471件の海賊事件が発生し、今年300件のうちの100件、昨年471件のうちの162件が東南アジア海域で発生したものである。
 昨年、東南アジアでは5人が海賊に殺され、40人が重傷を負った。今年はこれまでに8人が殺され、9人が負傷している。
 この報告は、先週パタヤで実施されたタイと日本の海事当局による海賊対策訓練の際に発表されたもの。
 海上警察及び港湾当局の関係者らは、海賊問題の現状を理解しており、パトロールを強化するための調整が必要であることを認めているとのこと。
 海上警察のSuchart Sripen副司令官は、同局の職員は海賊問題について警戒するよう指示を受けており、航路のパトロールを強化したとし、「海賊による襲撃では、多くの船員が殺害され、負傷している。船員にとって災難であり恐怖である」と述べている。
 同副司令官によると、過去タイ海域では、小型漁船に対する強盗行為を除いて重大な海賊事件は発生していないとのこと。
 日本海上保安庁佐々木幸男海上保安渉外官は、錫、アルミニウム、パーム油が海賊に狙われやすい貨物であるが、組織犯罪とつながった海賊は薬物、売春、武器の密輸も行っていると述べている。
 佐々木渉外官によると、東南アジア海域とマラッカ海峡では昨年80件、今年はこれまでに20件の海賊事件が発生しており、国際海運で最も危険な地点だと考えられていると述べた。昨年の事件では船員4人が負傷している。
(2001年12月17日バンコクタイムス)
 
日本がタイとも海賊対策訓練実施
 日本はタイとも海賊対策合同訓練を実施したが、インドネシアについては、働きかけている段階である。
 合同訓練は、タイ海上警察と日本海上保安庁によってパタヤ沖で行われた。タイ海上警察から100名、日本海上保安庁から51名が訓練に参加した。
 タイ海上警察がこのような海賊対策訓練を受けるのは、今回が初めてのことである。
 日本は、東南アジア海域、特にマラッカ海峡での海賊取り締まりに積極的である。近年発生したハイジャック事件では、多くの被害船がタイ海域で発見されている。
 今年初めには、マレーシアで同様の海賊対策訓練が実施された。
(2001年12月13日ロイズリスト)
 
海賊対策協定は最優先課題
 昨日、小泉純一郎首相はシンガポールで講演を行い、アジアにおける正式な海賊対策協力の合意が最優先課題であると再確認した。
 小泉首相は、さまざまな問題について国際協力を強化する必要があると触れ、日本とアセアン各国の5つの未来への協力分野の1つとして、「海賊行為の発生」を強調した。
「海賊に関する地域協力の合意が必要だと考えており、合意に至るための協議を促進する。海賊行為を撲滅するために我々は絆を深めなければならない。これに加え、日本海上保安庁とアセアン各国の当局との協力関係を強化したい」と同首相は述べた。
 先に訪れたインドネシアで、小泉首相はメガワティ大統領に海賊問題などについて日本とインドネシアの協力に関する質問をした。海賊について小泉首相は、「ビジネスと個人」に対する脅威だと述べた。
 昨年9月、シンガポールのトニー・タン副首相兼国防相が、中谷防衛庁長官と会合を持ち、この席で日本が海賊対策でシンガポールや他国と協力する用意があることが伝えられた。
昨日の講演の後、タン博士はアジア海域における海上強盗及び海賊行為の増加について、「日本政府は海賊問題に懸念を示しており、南シナ海の安全航行を確保するため、地域各国またはその他の国々と協力する用意ができているとしている」と述べた。
 日本は2000年3月にシンガポールで会議を開催して以来、繰り返し海賊対策合同パトロール及び訓練の開催を促進しており、これまでシンガポール、マレーシア、インドネシアと取り組みを行った。
 日本に輸入される石油の80%が海賊の多発地点であるマラッカ海峡を経由して運ばれており、過去5年間の海賊事件による損害額30億円(4,180万シンガポールドル)にも上る。
(2002年1月15日シッピング・タイムズ、14日マリタイムアジア)
 
海賊問題の国際会議を提案:運輸相
 東京で開催された「交通に関する大臣会合」に出席したヨー・チャウトン運輸相は16日、シンガポールでマラッカ海峡の海賊問題を協議する国際会議を開催する意向を明らかにした。
 17日付「ストレートタイムズ」によると、扇千景国土交通相との会談でもこの話題を取り上げ、日本の積極的な関与を要請。扇氏もこれに同意したという。
 開催時期などの詳細は不明だが、運輸相は「数ヶ月以内に実施する」としている。
 同会談では、日本からシンガポールへの観光誘致の問題も話し合われた。両国の観光促進は、13日に調印された「経済連携協定」の中にも含まれている。同相は「観光促進のひとつの方法は、シンガポール〜日本間の航空便を増やすことだ」と述べた。これに先立ち同相は15日に、日本航空の兼子勲社長などと会い、昨年9月の米テロ事件後の業況などを話し合った。
 また同相は、「チャンネル・ニュースアジア」に対し、シンガポール港湾公社(PSAコープ)率いるコンソーシアムが話し合いを進めている「ひびきコンテナターミナル事業」に関して、PSAが投資をすることは確実との考えを示した。
(2002年1月18日NNA)
 
マレーシア海上警察 マラッカ海峡海賊事件ゼロを目指す
 マラッカ海峡での海賊対策に取り組んでいるマレーシア海上警察は、今年同海峡での海賊事件ゼロを目指したいとしている。
 海上警察の統計によると、昨年は商船に対する海上強盗事件4件、未遂事件6件が領海内で発生した。これらのほとんどがマラッカ海峡で発生したものである。26件の海賊事件、30件の海賊未遂事件が発生した一昨年に比べ、大幅に減少している。(*上記の件数は、マラッカ海峡のマレーシア領海内で発生したものと思われる)
 ムハマド司令官は、海賊事件が減少した要素を3つ挙げている。
1. 海運業界が海賊の危険性についてより警戒を高め、見張りを強化するなど防止措置を講じた。
2. MRCCや海軍を含む関係機関が共同で監視するための情報伝達を常に行った。
3. 海上警察がマラッカ海峡で24時間体制の警備活動を実施し、海上警察の存在を高めたほか、怪しい船については厳しく取り調べた。
(2002年1月29日スター)
 
マラッカ海峡の海賊事件はインドネシアの政情不安とつながっている
 1月24日、東南アジア研究所によるセミナーが開催された。
 この席で、海軍戦略に詳しいイギリスのジェフリー・ティル教授は、「インドネシアの法と秩序の乱れが回復しない限り、マラッカ海峡の海賊事件はなくならない。海賊は陸で経済・政治問題が発生している兆しだとも言える。インドネシアの政情不安定が商船や漁船への海賊行為の一因になっていることから、地域による海賊対策が求められている」と述べ、解決策として「援助を差し伸べ、政情不安を切り抜ける方法を提供すること」を挙げた。
 IMB(国際海事局)が発表した昨年1月から9月までのインドネシア領海における海賊発生件数は71件に上り、世界最多である。このほか、2000年に全世界で発生した469件の海賊事件のうち半分以上がマラッカ海峡のインドネシア部分で発生している。
 同教授は、海賊対策に成功した例として、東シナ海に蔓延っていた海賊を撲滅した中国当局のケースなどを挙げた。また、東南アジアでの海賊対策には、海賊問題に対する政治的な意志と海軍などによる直接的な海上防衛のほか、船舶の詳細や船主に関する情報の共有が必要であると述べた。
 ヨーロッパでは、一国で高性能船隊の購入・保守費用を捻出することは困難であることから、地域での取り組みが具体化されていることに同教授は触れたが、ヨーロッパに比べアジアでは共通の利害関係に関する自覚が著しく低いとしている。
 また、アセアン加盟国内の海軍二国間協力については、北東アジアに比べて実現する可能性が高いとしている。
当事務所注:
マラッカ海峡の海賊問題の背景にインドネシアの政治経済状況があるとの主張自体は、新しいものではないが、当地紙に大きく取り上げられている点で注目される。
(2002年1月27日サンディタイムス)
 
地域の海賊事件の背後にアチェの独立運動
 IMB(国際海事局)の発表によると、2001年に全世界で発生した海賊事件(未遂含む)は335件で、過去最高を記録した前年(469件)より29%減少した。
 昨年一年間にインドネシアで発生した海賊事件は91件。マラッカ海峡では17件で、前年(2000年)の75件から大幅に減少した。
 昨年は、マラッカ海峡北部のアチェ沖で海賊事件が増加するという新たな傾向がみられた。こういったケースでは、海賊は船を襲撃して乗組員を誘拐し、身代金を要求している。同報告書によると、自由アチェ運動はマラッカ海峡の航行を妨害しており、インドネシア当局から誘拐事件で非難されている。
(2002年2月4日ストレートタイムズ、シッピング・タイムズ)
 
ICS等主催海賊対策会合、シンガポールで開催
 先週シンガポールでインタータンコ、インターカーゴ、ICS、BIMCO主催の海賊対策会合が開催された。
 海賊事件、特にハイジャック事件は越境したケースがほとんどで、一国のみの取り組みでは解決は不可能である。しかし、共同パトロールや他国の領海で海賊を追撃する権利など微妙な問題があり、海賊問題に対する国際的な取り組みは、まだまだ先になることが強調された。
 IMOのミトロポリス事務局長補佐は、IMOは過去18年間にわたって海賊問題に取り組んできていると述べた。IMOは1999年初めにシンガポールで各国の政府関係者を集めた海賊対策ワークショップを開催し、海賊及び海上強盗への対策協力に関する地域合意の原案を作成した。このことからも、IMOが海賊問題に業を煮やしていることは明らかである。
 IMOの決議案に応えたのはシンガポール、インド、ロシアの三国のみで、今回の会合でもマレーシアとインドネシアからの出席者に対して、合意する予定があるのかどうか繰り返し質問されたが、回答は得られなかった。
 FASAの事務局長であるダニエル・タン氏は、「FASAは現在、アセアン加盟国とアセアンにおける枠組について話し合っているところである。アセアン各国政府は海賊問題を重要視している」と述べた。
 会議では、海運業界で海賊対策委員会を編成するという案が出された。この海賊対策委員会も、これまで行われた取り組みと同じように失敗に終わるかもしれないが、「何かしなければ、海賊行為は決してなくなることはない」とインターカーゴのフレデリック・シャオ会長は述べている。
(2002年2月12日ロイズリスト)
 
インドネシア 海賊対策パトロールを強化
 海賊の多発地帯になっているインドネシアが、マラッカ海峡のパトロールを強化、6隻の海軍艦艇をパトロールに投入した。
 インドネシア海軍のスポークスマンによると、インドネシア海軍は3隻の艦艇をアチェ沖に常時配備し、武器の密輸入を防止、ほかの3隻をマラッカ海峡に配備し、同海峡を通航する貨物船への海賊の襲撃を防ぐとのことである。
 マラッカ海峡のアチェ沖の海域では、身代金目当てに乗組員を誘拐する事件が増加している。
 これまでもインドネシアは海賊対策に取り組んでいたが、十分な設備が整っていなかった。
 日本は、インドネシアに対し、海賊問題の地域的取り組みへの呼びかけに苦心してきた。
(2002年2月13日ロイズリスト)
 
インドネシアによる海賊対策の標石
 海賊の多発地帯であるインドネシアで16カ国の代表を集めた海賊対策専門家会合が開催され、日本が先頭を切って行っている東南アジアでの海賊対策は新たな一歩を踏み出した。
 海賊事件の多発地帯であるインドネシアがこのような会合の主催したことから、関係者は日本海上保安庁による今回の会合が地域の海賊対策の「標石」になるのではないかと期待している。
 「インドネシアが会合の実施に合意したことから、同国が海賊による経済損害を認知していることが窺われる」と関係者は述べている。
 インドネシアは、輻輳するマラッカ海峡での海賊事件の拠点になっているとみられている。
 マレーシアとシンガポールが海賊対策を強化し、地域での海賊事件を減少に導く一方で、海賊行為の根絶にはインドネシアの関与が必要とされている。今回の会合では、インドネシア当局との共同訓練も実施される予定である。
 インドネシアは最近マラッカ海峡のパトロールに海軍の艦艇を派遣し、海賊行為に対し断固とした姿勢を見せている。
 今回の会合には、日本、バングラディッシュ、ブルネイ、カンボジア、中国、香港、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、韓国、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナムが参加している。
(2002年3月5日ロイズリスト)







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