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フィリピン人の武装グループが6隻の船をハイジャック
 水曜日(13日)に6隻の船がフィリピン人武装グループにハイジャックされ、うち2隻は未だ拘束されている模様。
 ある情報筋によると、午後7時頃、TawauからLabuanに向かってサンダカン沖の国際海域を航行中のタグボートが武装グループに襲撃された。タグボートとそのトロール漁船はフィリピンのBangukan Besarに連れて行かれ、そこで武装グループは45,000マレーシアリンギの身代金を要求した。
 別のグループはLihiman島でトロール漁船を襲って、船と乗組員と引き換えに身代金5,000リンギを要求している。
 各事件とも、船主が犯人と話し合いを進めているようだが、マレーシア・サバ州の警察等に報告はされていない。
 武装グループは、これより前にタグボートとバージを襲い、25,000リンギの身代金を受け取って6名の乗組員を解放している。このほかに、3隻のトロール漁船も被害を受け、各5,000リンギの身代金を支払った。
 Kudatから来たタグボートの乗組員は、5時間の間人質にとられた後、身代金が支払われ、解放された。
 サンダカンに拠点を置くバージとタグボートの所有者は、水曜日(13日)の遅くにフィリピンのLagahan島沖で武装グループに身代金を支払った。
 これらの事件を受け、マレーシア海軍及び海上警察は、マレーシア海域内の警備を強化した。
 午後2時にフィリピンのLagahan島沖の国際海域で、盗難したものとみられるトロール漁船に乗った武装グループが、木材を積んだバージを曳いていたタグボートを襲撃したという事件が、一連のハイジャック事件の、最初の被害であった。武装グループの襲撃を受けた後、同船から船主に電話があり、武装グループが身代金を要求していることが伝えられた。その後午後3時に再び船から連絡が入り、13日の夜までに身代金が支払われない場合、武装グループは船を爆破すると脅していると連絡があった。このため、船主は身代金の支払いに応じた。
(2001年6月15日スター)
 
乗組員を負傷させた後、何も奪わずに海賊が逃走
事件発生地点:
シンガポールから北東約100海里のPengibu島付近
被害船名及びその詳細:
Miri Energy、2,500トン、乗組員15名
Shell Malaysiaチャーター船
ポートディクソン発サバ行き
状況:
該船は月曜日(11日)の早朝、サンダカン港で積荷の油を降ろした。約10名の海賊は船尾から該船に乗り込んだとみられる。海賊は機関室にいた乗組員の頭を殴り、この乗組員を縛ったが、別の乗組員が現れたことから、何も奪わずに逃走した。事故発生当時、負傷した乗組員のほか1名の計2名が当直にあたっていた。
 Shell Malaysiaは、負傷した乗組員が治療を受けられるよう該船をシンガポールに向かわせていると発表している。
(2001年6月15日スター)
 
海賊問題、国連総会で焦点に
 国連事務局はこのほど、世界各地で海賊被害が拡大していることを受け、近く開く予定の総会で海賊問題を主要議題に取り上げる考えを明らかにした。先頃行われた第74回総会で発表された。
 国際海事機関(IMO)の海上安全委員会(MSC)ではこれを受け入れ、総会への同議題提出に向けた準備に入っている。
 IMOの2000年3月から2001年3月の統計によると、世界各地の海賊被害発生件数は前年に比べほとんどの地域で増加傾向にある。特にマラッカ海峡周辺は、前年の37件から112件と一番の増加率を示しており、順位は東シナ海についで2位となっている。IMOでは、海賊襲撃に備えた乗組員の訓練に関する基準を制定するよう、国際会議で呼び掛ける予定のほか、地域間協力に向けた協定の早期締結を目指している。
(2001年6月19日NNA)
 
タイ警察が悪名高い海賊を逮捕
 6月23日にタイ警察は、今年1月にミャンマーのトロール漁船「Thorae」を襲った疑いで、悪名高い海賊Viroj Buasuwan(50歳)をタイ南部ラノーン県で逮捕した。Virojは、乗組員に対する残忍な扱いからRoj 100 Corpses(Corpseは死体の意味)の別名で知られている。
 トロール漁船「Thorae」を襲った事件では、20名の一団を率いて、T号の乗組員に海に飛び込むよう強制し、漁船と捕獲された魚(300万バーツ相当)を奪った。乗組員は無事救助され、ラノーン県の警察に被害を通報した。警察によると、Virojの手下であるタイ人4名とミャンマー人16名も一斉検挙されているという。
 VirojはThorae号をミャンマーの海軍の船と間違えたとしており、ミャンマーの刑務所で過去にひどい仕打ちを受けたことから、その仕返しをしようと思ったと話している。
(2001年6月26日シッピングタイムズ)
 
マラッカ海峡でタンカーがハイジャックされる
発生地点:
マラッカ海峡と思われる
被害船の詳細:
タンカー、Selayang号、1,877トン、1981年建造、船体:黒、シェル・マレーシアがチャーター、ポートディクソン発Labuan行き
状況:
該船は、6月19日の夜ポートディクソンの石油精製会社を出発した後、武装した海賊に襲撃され、乗組員が人質にとられている模様。最後に確認された位置は、北緯0度11分、東経106度。事件が発生したのはインドネシア海域であると思われる。マレーシア海軍はインドネシア当局に協力を求めている。付近を航行中の船は見張りを強化し、援助が必要な場合はこれに応じるよう求められている。
(2001年6月26日ロイズリスト)
 
インドネシア海域でまたハイジャック事件 船長が人質に
発生日時:
2001年6月25日(月)夜
被害船及びその詳細:
Tirta Niaga IV(旧名:Raisa)、2,863gt、1985年建造、インドネシア船籍、貨物:パーム油、マレーシア北部バターワース発インド行き、船長+乗組員20名
状況:
バターワース港を出港した後、25日夜に海賊がT号を襲撃した。北スマトラ沖で船長が、身代金要求のために人質にとられている模様。ほかの乗組員20名はまだ船上にいる。この情報はIMB主催海賊会議で、マレーシア内務副大臣が公表したもの。マレーシア当局は、インドネシアとIMBと緊密に働き合っていくとしている。
(2001年6月27日ロイズリスト、シッピングタイムズ)
 
会議開催時にハイジャック事件が2件発生
 IMB(国際海事局)がクアラルンプールで会議を開いたのと同時に、マラッカ海峡で2隻の船がハイジャックされた。
 マレーシア内務副大臣Zaimal Abidin Bin Zin氏は、会議の開会時に先週2隻の船がハイジャックされたと発表した。
 タンカーSelayang号は、ポートディクソンを出発した6月19日に、もう1隻は日曜日(24日)の夜にハイジャックされた。
 これらの事件について、詳細はまだわかっていないが、ある産業筋の話では、マラッカ海峡でインドネシアのアチェから来た海賊に襲われたとのことである。
 船長が人質にとられており、ほかの乗組員は船から逃げて当局に通報した模様。船の詳細についてはわかっていない。
 ハイジャック事件は、偶然にもマレーシアで開催された第4回IMB国際海賊会議の開会と重なった。この会議には20カ国以上の代表が出席した。
 今年初めには、IMOの代表団がシンガポールで海賊問題について話し合いを進めている間にインドネシアの貨物船Inabukuaがハイジャックされた。また、1999年にはシンガポール船主協会が海賊会議を開催したと同時にAlondra Rainbow号がハイジャックされている。
 一方、シェル・マレーシアがチャーターしていたSelayang号の捜索は現在進行中である。該船は6月19日にポートディクソンの石油精製所を出発した後、行方がわからなくなった。武装した海賊が該船に乗り込み、乗組員17名を人質にしている。
 マレーシア当局は、インドネシア当局に対し、該船の追跡及び捕獲のための援助を求めている。
 産業筋の話では、現在該船はインドネシアのカリマンタン沖に位置しているが、マレーシア当局はインドネシア側からの援助確保に困難しているという。
 一方、海賊問題に大きな懸念を示している日本の海上安全専門家は、東南アジア各国に対し、海賊問題に立ち向かうために完全に協力するよう求めた。
 日本財団の寺島紘士常務理事は、会議の中で、マラッカ海峡における海賊対策のための協力は最も重要であるが、これまで十分になされてなかったと述べた。
 「国家間の協力は最も理想的なものである必要はない。今後の地域協力の確立をどのように進めていくかということが、重要な問題である」と寺島常務理事は述べた。
 寺島常務理事は、日本の石油輸入の80%がマラッカ海峡を通じて行われていると会議の席で述べた。過去5年間に海賊問題が日本産業界に与えた損失は約2,400万ドルに上る。
 日本は、海賊対策のための東南アジア諸国との共同パトロール等、協力強化を押し進めている。
 しかし、国家の司法権を始めとした政治上の問題は、未解決のままである。
(2001年6月27日ロイズリスト)
 
インドネシア沖で3件目の海賊事件が発生
発生日時:
2001年6月27日未明
発生位置:
インドネシア カリムン島沖
被害船名及び詳細:
タンカー
状況:
5人の海賊が該船に乗り込み、現金と貴重品を奪って逃走した。
 
〜海賊事件(1)、(2)の続報〜
Selayang号をインドネシア海軍が拿捕
 6月27日1530、インドネシア・カリマンタンの東海岸沖、サマリンダの北で、インドネシア海軍がSelayang号(マレーシア船籍)を拿捕した。該船は先週マラッカ海峡で海賊にハイジャックされた。該船は船舶追跡システム「Shiploc」を搭載していた可能性が高く、これによって該船の正確な位置が明らかになったとみられる。このような技術によって、海賊が逮捕されたのは初めてのこと。該船はインドネシア海軍の基地に曳航された。乗組員17人の安否及び貨物(軽油3,500トン)の状況については明らかになっていないが、該船拿捕時には海賊は船上にいたとのこと。
 
Tirta Niaga号、人質になった船長の引渡しを交渉中
 6月24日夜、アチェ沖で海賊に襲われたタンカーTirta Niaga号(インドネシア船主、貨物:パーム油製品2,850トン)は、現在マレーシアのバターワースに無事戻った。該船の乗組員(船長を除く)も無事マレーシアに戻ったが、船長(Simon Perera)は現在も人質にとられており、海賊は身代金10億ルピア(88,000ドル)を要求していて、交渉が行われているところである。該船はエンジントラブルに見舞われ、修理のためにアチェの海岸近くに停泊したところを海賊に襲撃された。Selayang号と同様、Tirta Niaga号もその正確な位置が明らかになっていた。マレーシア警察は、マラッカ海峡でエンジントラブルに見舞われた場合、まだ動けそうであればマレーシア海域内に移動して修理を行うよう警告している。
 
 IMBのムクンダン局長は、インドネシア海軍がSelayang号を拿捕したことを受け、このハイジャック計画を立てた犯人に対し、インドネシア、マレーシア、シンガポールが海賊天国ではないことを証明できたと話している。
 日本海上保安庁の渡辺晃久氏は、日本は地域当局との共同訓練実施に積極的であるが、パトロールをするかどうかは関係各国政府の決定に委ねるとしている。
 一方、マレーシアのマハティール首相は、マラッカ海峡、サバ、サラワク沖でのパトロールと船舶の安全確保を強化すると述べている。
(2001年6月28日ストレートタイムズ・ロイズリスト)
 
マレーシア 海賊に対する監視を強化
 マレーシア政府は、通航船舶の安全を確保し、海賊の脅威を最小限に抑えるために、マラッカ海峡及びサバ、サラワクでの監視を強化する。
 マハティール首相は、マレーシア海域を通航中の船舶をこのような脅威から守ることは国家の任務であると述べた。
 マレーシア政府は、最近マラッカ海峡で船舶がハイジャックされる事件が増加していることに懸念を示しているとマハティール首相は話している。同首相によると、年間63,000隻の船舶がマラッカ海峡を通航している。
(2001年6月28日スター)
 
インドネシア海軍がマレーシア海域に侵入
 インドネシア海軍の巡視艇がマレーシア海域に侵入し、インドネシア海域に侵入したことを理由にマレーシア漁船の漁師を銃殺した。
 漁業会社Hilir Perakによると、群れになった漁船は少なくともインドネシア海域から9海里は離れたところにいたとのこと。
 漁船が沈没した位置は、漁船に搭載されていたGPSから確認でき、その位置は北緯3度19.95分、東経100度30.85分であった。
 マレーシア漁船がインドネシア海域に侵入し、そのうちの1隻がインドネシア海軍船に激突してきたとインドネシア海軍は発表している。
 午前7時30分、インドネシア海軍から逃れようとした漁師Heng Beng Hong(43歳)がインドネシア海軍によって銃殺された。
 漁船は木造で、海軍の船に激突した場合その衝撃に耐えらないと思われることから、漁船が巡視艇に激突しようとしたというのは考えられないとHilir Perakは話しており、別の漁船が事件を目撃しているという。
 漁師等がクアラセランゴール沖から43海里、スンガイベラナムから33海里のところで漁をしていた時に、インドネシア船が接近して来るのに気が付いた。最初は無視していたが、漁船の方に高速で近づいてきて発砲を始めたため、別々の方向に向かって疾走した。
 巡視艇は漁船に警告等は一切しなかった模様。
 桟橋に集まった約200名の漁師は、Hengの漁船はバラワン港沖20海里沖で高波に襲われて沈没したというインドネシア海軍の言い分に異論を唱えていた。
 Hengの遺体は海上で行方不明になったとみられる。ほかの3人は、ベラワン港に拘留されている。
(2001年6月28日サン)







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