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第2節 インドネシアの港湾システムの全体像
 
1 はじめに
 世界最大の群島国であるインドネシアは、地域間輸送及び国内運輸システムの開発の面で課題を抱えています。インドネシアの経済や社会が海や川を利用した輸送に大きく頼っていることは明らかですが、インドネシア各港の現実や役割に関してはほとんど知られていません。ここではインドネシアの港湾システムの全体像を追ってみたいと思います。
 
2 インドネシアの州について
 インドネシアの港湾システムを理解するためには、インドネシアの州政府について知ることが大変役に立ちます。西のアチェから東のイリアンジャヤまで30の州があり、4つのエリアに分けることができます。このようなエリア別の分類は、インドネシア統計局(BPS)の港湾名録でも広く使われています。1997年版の港湾名録には、671の公共港が掲載されています。マラッカ・シンガポール海峡は、エリア1に位置します。
 
3 港湾の分類
 671の公共港は、さらに「(1)商業公共港」「(2)非商業公共港」の2つに分類されています。
(1)商業公共港
 現在、117の商業港があるとされています。これらの港は、州政府港湾当局の傘下にある第一、第二、第三、第四インドネシア港湾公社(通称「PTPelabuhan」「Pelindo」と呼ばれる。)の管轄にあります。(管轄区については、別添の地図を参照)。これらの商業公共港には、着桟、荷役施設が整備されています。
 インドネシア港湾公社は州政府港湾当局の傘下にあります。インドネシア政府は、1998年10月に国際通貨基金(IMF)と共同で企業救済措置を実施しましたが、その資金490億ドル確保のため、これらの港の運営権を売却した経緯があります。
 なお、インドネシア全体で117ある商業公共港のうち25港のみが、経済の発展を期待できる地点にあると言えます。
 インドネシアの主要港25港は表1の通りです。
 
(2)非商業公共港
 現在、554の非商業公共港があるとされています。これらの港は、インドネシア運輸省の地域事務所によって運営されています。基本的には、小さな港で着桟、荷役施設が整備されていません。漁港として、または船の乗客が降りる上陸地点としてのみ機能している港等です。
 報道によれば、最近の地方分権化の推進に伴い、これら運輸省傘下の港についても、州政府への移管が計画されているとのことです。
 
(3)私営ターミナルについて
 インドネシア石油(プルタミナ)、材木、化学肥料、石炭、造船、船の修理等の企業産業界は、先に述べた117ヵ所の商業公共港に独自のターミナルを所有しています。インドネシア全体で、497の私営ターミナルがあり、このうちの103のターミナルがエリア1内に位置しています。
 
4 マラッカ・シンガポール海峡に位置するインドネシアの港
 エリア1(第一インドネシア港湾公社管轄(アチェ、北スマトラ、リアウ))に所在する主要港14ヵ所は、表2の通りです。
 
表1 インドネシアの主要商業公共港25ヵ所
第一インドネシア港湾公社
(アチェ、北スマトラ、リアウ)
Lhoksumawe Pekanbaru
Belawan Batam
Dumai Tanjong Pinang
第二インドネシア港湾公社
(西スマトラ、ジャンビ、ベンクル、南スマトラ、ランプン、西カリマンタン、西ジャワ、
ジャカルタ、ベンカベリトゥン、バンテン)
Teluk Bayur Banten/Bojonegara
Pelembang Tanjong Priok
Panjang Pontianak
第三インドネシア港湾公社
(中央カリマンタン、南カリマンタン、中央ジャワ、東ジャワ、バリ、ジョグジャカルタ、
ヌサテンガラ、ヌサテンガラティモール)
Tanjong Emas Balikpapan
Tanjong Perak Benoa
Banjarmasin Tenau/Kupang
Dili
第四インドネシア港湾公社
(東カリマンタン、イリアンジャヤ、マルク、北マルク、ゴロンタロ、北マルク、
南スラウェシ、中央スラウェシ、東南スラウェシ、北スラウェシ)
Samarinda Sorong
Bitung Biak
Makasar Jayapura
Ambon
 
表2 エリア1に所在する主要港
アチェ 北スマトラ リアウ
Malahayati(Sabang、Melaboh)
Lhokseumawe
Kuala Langsa
Belawan(Kuala Tanjong)
Sibolga、Tg.Balai
Gunung Sitoli
Dumai、Pekanbaru
Tanjong Pinang、Tembilahan
Bengkalis、Selat Panjang
Rengat
 
第3節 マラッカ・シンガポール海峡に関する航行安全アンケート調査
 
 マラッカ・シンガポール海峡の通航船舶の現状、1998年12月に発効したマ・シ海峡改正分離通航方式及び強制船位通報制度についての効果等について、アンケート調査を実施しましたので結果を報告します。
 このアンケート調査については、沿岸3国海事当局と当事務所の定期会合「第5回海峡安全連絡会議」(平成12年2月)において当事務所から提案し、その内容等について吟味し、沿岸3国の了解を頂いて実施したものです。
 
1 調査方法
 シンガポール港に入港した船舶を中心に、マ・シ海峡を航行する船舶の船舶職員を対象に調査を行いました。
 
2 回収結果
 平成12年11月〜12月の2ヶ月間に約100部を配布し、平成13年2月までに56通の回答を得ました。
 
3 結果概要
(1)1998年12月に発効した改正分離通航方式については、マ・シ海峡全般に渡り、大多数がその効果を認め、かつ大多数の船舶がそれを遵守していると考えられます。
 
(2)また、同時に発効した強制船位通報制度についても、シンガポール、マレーシアに設置されている3つのVTSとの連絡も大多数の船舶が容易であると答え、新しく運用を開始したマレーシアのVTSも含め、順調に運用されている状況が伺えます。
 
(3)衝突海難が多数発生しているシンガポール海峡東側のホースバーグ灯台付近でのニアミス経験については、半数以上の船舶が「よくある」「時々ある」と答え、その潜在的危険性を裏付ける結果となりました。また、現在、沿岸3国で検討されている同海域付近までの分離通航方式延長については、25%が「改善される」と返答し、ある程度の効果が期待できるものと考えられます。
 
(4)マ・シ海峡に面する主要港付近でのニアミス状況については、予想に違わず、シンガポール港沖でのニアミスが比較的多く発生しているとの回答が多く寄せられました。
 
 
 
 







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