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10.3 BLG 8の結果
 
10.3.1 序論
 
10.3.1.1 第8回ばら積み液体及びガスに関する小委員会(BLG)が、2003年3月24〜28日の間開催され、MEPCで審議される19の行動提案が特定されていることが銘記された。これらの各事項に関する議論及び結論については、以下の項に要約されている。
 
10.3.2 3者協定に関するMEPC決議
 
10.3.2.1 当委員会は、BLGに対し、MEPC.2回章に含むための関係連絡先詳細をIMOに報告しないという、各国間3者協定取り決め問題克服のための決議案を作成するよう指示していることを想起した。
 
10.3.2.2 当委員会は、BLG 8で作成された本文を審議して、付属15に記載の決議MEPC.109(49)により、3者協定に関するMEPC決議を採択した。
 
10.3.3 MARPOL 73/78附属書Iに付随のガイドライン
 
10.3.3.1 当委員会は、現行MARPOL 73/78附属書Iに関連して用いられるべきであることを認識して、付属16に記載の決議MEPC.110(49)により、MARPOL 73/78附属書Iの第13F(5)規則の下の油タンカー設計の代替方策承認のための改正暫定ガイドラインを採択した。しかしながら、米国は、この件に関する同国の立場を留保した。
 
10.3.3.2 加えて、当委員会は、このガイドラインが、現行附属書Iのために承認されたガイドラインに最終的に取って代わることを認識して、改正附属書Iと共の採択のため、改正MARPOL 73/78附属書Iの第37規則の下の油タンカー設計の代替方策承認のためのガイドラインに関するMEPC決議案の作成を事務局に指示するという、BLG 8からの勧告を是認した。
 
10.3.3.3 当委員会は、今後の会期における改正MARPOL附属書Iと共の採択の観点から、MARPOL規則I/21(BLG 8/18、付属書 4)のための偶発的油流出performance関連事項に係る注記に関するMEPC決議案について、相互参照が事務局による照合を必要とすることを認識して、総体的に承認した。
 
10.3.3.4 当委員会は、MARPOL附属書I改正案(BLG 8/18、付属書 4)について、原則的に合意し、MEPC 50で期待されているsingle-hull油タンカーのphase-outに関する附属書I改正提案の策定を考慮して、MEPC 51による最終承諾の後、MARPOL条約第16条に従って、当該改正案を、IMO加盟国及び1973 MARPOL条約締約国政府への回章に付すことで合意した。
 
10.3.3.5 ノルウェーが、改正MARPOL 73/78附属書Iの承認の支持において、偶発的油流出performance(規則I/21)のための改正要件については、要件強化を意図したものではなく、また、既存かつ環境的に親しめる船舶デザインのphase-outをもたらすものでもないことを指摘した。しかしながら、結果として、偶発的油流出performanceのための要件を強化し、OBO運搬船等の船舶デザインに影響を与えることになる。
 
10.3.3.6 BLG小委員会が、ノルウェーが受け入れたとはいえ、さらなる技術的調整が提案されている、OBO運搬船のための妥協解決手段(調整Om)を作成したことが銘記された。
 
10.3.3.7 ノルウェーが、おそらくは、新たなOBOデザインが設計されたとしても、第29規則における新要件により、伝統的OBOデザインがphase outされることになることを指摘した。しかしながら、ノルウェーは、このようにOBOデザインがphase-outされる結果となることは極めて遺憾であり、この問題を適切な方法をもってMEPCで処理すべきことを指摘した。
 
10.3.4 動物/植物/魚類の油
 
10.3.4.1 当委員会は、植物油輸送及び汚染分類システムに関する事項についての議論を銘記した。
 
10.3.5 IBCコード規定製品のデータベース
 
10.3.5.1 当委員会は、MSCの同意見の決定に従って、データベースへのuploadingに適したフォーマットの中に、MARPOL附属書IIに規定される物質のリストに沿ったデータが提供できることで原則的に合意した。この要求については、そうすることで、このような製品運搬要件の変更を反映する関連化学的データの当事者データベースへのupload能力を促進できるという認識であった。また一方、このことがコスト問題を抱えていることを認識して、事務局に対し、今後のMSC及びMEPCの会期に、この局面の詳細を提供するよう指示した。
 
10.3.6 検査及び証明の調和システム(HSSC)に関する日付
 
10.3.6.1 当委員会は、HSSCの下に発給される証明書が、“証明書が基礎をおく検査完了日:年/月/日”の文言を伴って是認されるべきという先の決定を認識して、書式又は証明書において要求されている日付については、年については4桁で表示することを銘記して、どのような場合においても、“yyyy年mm月dd日”を用いなければならないことで合意した。当委員会は、この決定に達する過程において、このことが、いかなる混乱の可能性を回避することになると認識した。
 
10.3.7 汚染分類システム
 
10.3.7.1 当委員会は、MARPOL 附属書II改正案における3分類及び5分類版本文の最終化を審議し、適切な措置を講ずるよう要請されていることを銘記した。しかしながら、この問題の議論については、後日の議題として先送りすることで合意された。
 
10.3.8 IBCコードの改正
 
10.3.8.1 当委員会は、この件が本来はMSCのものであることを認識して、電気設備に関するIBC及びIGCコード改正案に関連する事柄の結論を銘記した。
 
10.3.9 MARPOL 73/78附属書Iについての統一解釈
 
10.3.9.1 当委員会は、MARPOL 73/78附属書Iについての、FPSOs及びFSUsに関する統一解釈の改正案(BLG 8/18、付属書12)を承認した。当委員会は、この措置において、この統一解釈が、MARPOL 73/78附属書Iの既存第21規則に適用され、また、同じ本文が、改正版の第37規則に適用されることになることを認識した。当委員会は、FPSOs及びFSUsに関する統一解釈が、改正MARPOL 附属書Iについての統一解釈改正本文(BLG 8/18、付属書5)に、既に含まれていることを銘記した。
 
10.3.10 FPSOs及びFSUs
 
10.3.10.1 当委員会は、FPSOs及びFSUs へのMARPOL 附属書I要件の適用ガイドラインに関するMEPC回章案(BLG 8/18、第8.12項及び付属書13)を承認し、事務局に対し、以下の編集上の修正でまずは合意して、それをMEPC/Circ.406として発行するよう指示した。
 
 BLG 8/18、付属書13の4頁の囲みI(8)について、次の語句を削除した。
 
.1 “not generally applicable”(1行目)
 
.2 “not”(2行目の最後から2番目の文言)
 
.3 “Similarly”(3行目)
 
10.3.10.2 しかしながら、米国が、FPSOs及びFSUsへのガイドラインにおけるdouble-hull勧告の適用に関し、その立場を留保することを示唆した。
 
10.3.10.3 当委員会は、この点について、浮体構造物及び位置保持構造物のためのISO基準を取り扱い、かつ、沖合構造物に関する3つのISO基準について記述した、ISOからの提出文(MEPC 49/10/6)を銘記した。
 
10.3.10.4 当委員会は、MARPOL 73/78の改正附属書Iについて、同様な外語ラインが必要となることを認識して、事務局に対し、改正MARPOL 附属書Iと同時採択の観点から、FPSOs及びFSUs へのMARPOL 附属書I要件の適用ガイドラインに関するMEPC決議案を準備するよう指示した。
 
10.3.11 安全性データシート
 
10.3.11.1 当委員会は、MSC 77が、MARPOL附属書I貨物及び海上燃料についての物質的安全性データシートのための勧告に関する決議MSC.150(77)を採択していることを銘記した。
 
10.3.12 油taggingシステム
 
10.3.12.1 当委員会は、油taggingシステム関連事項についてのBLG行動計画を検討し、適切な措置を講ずるよう要請されていることを銘記した。
 
10.3.12.2 当委員会は、この件に関する文書がBLG 8に提出されていないこと、また、英国が、この件に関する調査については、現在のところ見通しが立っていないと指摘したことを銘記した。結果として、当委員会は、この件については、BLG作業計画内に保持はするが、“その他の事項”の下の関連情報文書と結びつけて処理するというBLG提案に同意した。
 
10.3.13 船舶リサイクリング
 
10.3.13.1 当委員会は、この件については議題項目3(船舶リサイクリング)の下で議論されていることを想起した。
 
10.3.14 作業計画及び暫定議題
 
10.3.14.1 当委員会は、MSCの同意決定に沿って、BLG小委員会の改正作業計画案及びBLG 9の暫定議題の承認が求められていることを銘記して、この件を議題事項19の下に検討することで合意した。
 
10.3.15 ESPH作業部会の中間期会合
 
10.3.15.1 当委員会は、ESPH(Working Group on Evaluation and Pollution Hazards of Chemicals)作業部会にとって大量の作業が残っていることを認識して、2004年にESPH作業部会の中間期会合を開催することを承認し、MSC 77も同じく承認していることを銘記した。
 
10.3.16 報告書の総体的承認
 
10.3.16.1 当委員会は、BLG 8が惹起した重要な問題点のすべてについて審議して、BLG小委員会報告書を総体的に承認した。
 
10.4 MARPOL 73/78附属書II改正関連事項
 
10.4.1 当委員会は、3分類及び5分類版のための最終文を審議し、適切な措置を講ずるよう求められていることを銘記した。
 
10.4.2 また、この件に関し、6つの提出文書(MEPC 49/10、MEPC 49/10/Corr.1、MEPC 49/10/1、MEPC 49/10/5、MEPC 49/10/7及びMEPC 49/10/10)があることが銘記された。しかしながら、これらの提出文書については、以下に特定される理由により、紹介も議論もされなかった。
 
10.4.3 当委員会は、この件に関する当該提出文書を銘記して、MARPOL 73/78の改正附属書IIに編入されるべき汚染分類システムの選択に関する意見の発散について、議長が認識しており、妥協解決策に到達する道を探り、かつ、議長提案として回章に付すべき妥協案を練るための、専門家による小グループを勧めているという報告を受けた。この議長提案については、MEPC 49/WP.9として当委員会に提出された。
 
10.4.4 当委員会は、議長が、この件の妥協策決定のベースとなる、分類システムに付随するいくつかの重要な課題を特定していることを銘記した。
 
妥協案
 
10.4.5 4分類システムについては、4番目分類の製品が、GESAMP/EHSにより評価される特性のすべてにより無害性が示されることを条件に、利用することができるのではないか。
 
10.4.5.1 これに関連して、GESAMP Hazard Profile(GHP)のA1欄(生体内蓄積(bioaccumulation))について、専門家間の見解に相違があった。他の専門家が0等級のみを用いることを選択する一方で、若干数の専門家は、<3のEHS等級については、非生体内蓄積とみなすべきという考えであった。
 
10.4.5.2 議長は、事務局に対し、4番目分類と指定されることになる、目下EHSにより評価されているこれらの製品についてチェックし、A1欄における0又は<3の製品リストに違いがないことを探り出すよう指示した。これらについては、以下に示される。
 
PSN A1 A2 B1 B2 C1 C2 C3 D1 D2 D3 E1 E2 E3
Apple juice 0 R 0 0 0 0 0 0 0   NI D 0
Clay slurry 0 Inorg 0 0 0 0 0 0 0   0 S 0
Coal slurry 0 Inorg 0 0 0 0 0 0 0   0 S 0
Dextrose solution 0 R 0 NI 0 0 0 0 (0)   0 D 0
Glucose solution 0 R 0 NI 0 0 0 0 (0)   0 D 0
Kaolin slurry 0 Inorg 0 NI 0 0 0 0 0   0 S 0
Molasses 0 R 0 NI 0 0 0 0 0   0 D 0
Water 0 Inorg 0 0 0 0 0 0 0   0 D 0
 
10.4.5.3 これが、海洋環境にいかなる有害影響を与えないことが証明された物質についての決定的リストにとなり、MARPOL 73/78の改正附属書IIが合意されされた場合には、加えるべきではないという一つの意見があった。
 
10.4.5.4 糖蜜(molasses)については、粘性膜を形成する傾向があることが経験上明らかになってきたので、それが溶解性のもの(Dissolver)であると評価されたとしてもZ分類に移すべきという、もう一つの意見もあった。
 
10.4.6 MARPOL 73/78附属書IIの改正本文において目下定義されている特別水域については、南極地域を除いて含む必要はない。
 
10.4.7 浮かぶもの(Floaters)及び持続性浮かぶもの(Persistent Floaters)については、Y分類とするべきである。
 
10.4.7.1 議長は、植物油関係者が、このような製品をY分類とすることは、経済的問題(運賃増加)を、また、一部の航路における利用可能なケミカル・タンカーの不足を招かねないという懸念を表明していることを銘記した。
 
10.4.7.2 しかしながら、議長は、以前にMEPCにより審議された統計値についての具体的詳細を提供されていないので、予防的アプローチに従って、また一方で、詳細な根拠がIMOに提出されれば、このような困難性を克服する方法を見出せるかもしれないことを認識して、floatersをそのままY分類にするよう提案した。
 
10.4.8 Z分類製品の12海里排出制限を維持し、また、内国貿易への免除に、第三者に影響を与えないことを条件として、どの国も12海里以内にある各国間輸送の場合を加えるよう緩和する。
 
10.4.9 Y分類となる 若干の製品(主として植物油)のための予備洗浄要件、また、それに続く受入施設の必要性問題についても、以下のどちらか一方により克服されることになるのではないか。
 
.1 揚荷温度を高めることにより、高粘度の定義よりも低くすること。
 
.2 科学的根拠による正当化を条件として、高粘度の定義を強化し、運送量の大きな製品が標準を満足できなくすること。
 
10.4.10 Z分類製品のための75リットル除去(stripping)については、新船についても残すべきである。
 
10.4.7.2 Y及びZ分類がこの規準により区別されないことを認識する一方で、次の事項により、十分な相違があることで合意された。
 
.1 IMOの船舶タイプで輸送される、すべてのY分類製品のための要件
 
.2 Y分類製品の中の高粘度及び凝固性物質に、強制予備洗浄を要求する要件
 
10.4.11 議長は、これらの妥協を受け入れることができた場合、対応するのに最も簡単な方法として、現行附属書IIの3分類版に基づいて、改正本文にこれらを含むよう書き直すべきと考えていた。
 
10.4.12 “他の物質(OS)”又は何らかの類似名称のための4番目の分類について付託することが審議された。
 
議論
 
10.4.13 当委員会は妥協案の具体的事項に関連して、非公式専門家グループにより表明された意見のいくつかについて対処して、次の事項で合意した。
 
.1 4番目分類(非公式専門家グループが“OS”としている。)に指定される製品については、目下規準を満足することが特定されている製品に限っては、最終的リストとして規定すべきではないが、規準を満足するものとみなされる他のいかなる製品に対しても開放されなければならない。
 
.2 産業界の分野にのしかかるかもしれない潜在的影響に関する懸念が、未だに表明されているので、この妥協案の解決策を見出す観点から、妥協案一式の結果として遭遇するであろう困難性に付随するいかなる詳細な根拠に、慎慮が加えられることになる。
 
10.4.14 議論の間、韓国が、一定の貨物の輸送に関与する若干数の船舶に対し、猶予期間を与えたいと表明した。
 
10.4.15 議長は、これに応じて、このような提案は大多数に受け入れられず、かつ、妥協案の実行可能性に脅威となると応答した、議長は、第2(7)(a) 及び第2(7)(a)規則が、締約国が自身の船舶に適用可能な除外規定を提供していることを指摘して、議長見解において、この選択肢が現存船に猶予期間を与えることを望む締約国にとって十分であるという議長見解も当委員会において同意されていることを指摘した。
 
10.4.16 当委員会は、妥協案についてのすべての指摘事項を詳細に検討して、付属17に記載の、上述妥協案を含んだ、3分類版をベースにして作成された4分類システムのための附属書IIの改正本文を承認した。しかしながら、米国及び韓国は、この件についての立場を現時点において留保した。
 
10.4.17 当委員会は、改正附属書I及びIIがお互いに関連していることを認識して、2004年10月のMEPC 52におけるさらなる検討及び同時採択を意図して、MEPC 51の後に両改正本文を回章に付すことで合意した。そのことにより、両新附属書が2006年2月に発効することになる。







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