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8 特別海域及び特に敏感な海域の特定及び保護
 
PSSAsの関連保護方策に関するガイドライン案文
 
8.1 当委員会は、MEPC 48が、MEPC/Circ.398として発刊されている“IMOへのPSSA提案の提出のための指針文書”について承認したことを想起した。
 
8.2 この点について、当委員会は、WWFが、今会期における審議のため、“PSSAsのための関連保護方策に関する指針文書案”(MEPC 49/8/2)を提出していることを銘記した。
 
8.3 当委員会は、このようなAPMs(関連保護政策)に関する指針案の発刊以前に、最近決議A.927(22)の下に採択されたガイドラインに関するより多くの経験を得ることが有用となることを認識して、決議A.927(22)の下のガイドラインの改正が必要となるまで、当該文書を先送りすることで合意した。
 
パラカス特別国家保護区
 
8.4 当委員会は、MEPC 48が、NAV小委員会による回避区域(ATBA)提案の検討を待って、ペルーのパラカス特別国家保護区の指定について、原則的に承認していることを想起した。
 
8.5 当委員会は、NAV 49が、パラカス特別国家保護区内のATBAを検討して、その設置で合意したことを銘記した。この件に関するNAV 49の結果については、MEPC 49/WP.5に記載されている。
 
8.6 また、当委員会は、当該ATBAが、海上安全委員会(MSC)による採択の6ヶ月後のUTC 0000時に実施されることになることも銘記した。
 
8.7 当委員会は、付属12に添付されている決議MEPC.106.(49)のカバーの下に、パラカス特別国家保護区をPSSAとして指定することで合意した。
 
既存Great Barrier Reef PSSAの拡張提案
 
8.8 当委員会は、既存Great Barrier Reef PSSAにトレス海峡域を含むよう拡張するという豪州及びパプアニューギニアの提出提案(MEPC 49/8)について審議した。豪州が、以下の点を指摘した。
 
.1 トレス海峡域の複雑かつ脆弱な生態系については、海洋生物の複雑性を扶養する、速い流れ、150からの島々に伴った浅瀬、小島、サンゴ礁及び岩礁により特徴的となっている。18島の社会には、約10,000人の豪州土着民が生活しており、また、おそらくは他に20,000人のパプアニューギニア国民が生活している。これらのすべての人々が、持続可能な漁業及び採取のための特有な海洋環境の当該海峡に依存している。
 
.2 国際海運活動からの損傷防止のため、次の2つの関連保護方策が提案されている。
 
.2.1 勧告されているトレス海峡の船舶両面通過航路の実施。
 この方策は、当該海峡利用船舶のサイズ及び喫水の増加を考慮して提案されたものである。 この先駆けの一部として、豪州海運安全当局により、目下4つの新たな航行支援施設が設置されつつある。
 
.2.2 現行トレス海峡強制水先案内の拡張。
 この方策は、1991年11月に採択されたIMO総会決議A.710(17)の下に実施されている既存IMO勧告水先案内と同じものを適用することになる。当該決議は、長さ70 m以上の船舶、また、サイズに関係なく、すべての、油積載タンカー、ケミカルタンカー又は液化ガス運搬船に適用される。
 
.3 既存の勧告水先案制度については廃止され、決議A.710(17)については、もはやトレス海峡保護にとって受容レベルとはならない。
 
8.9 当委員会は、NAV 49が、トレス海峡内のGreat North East Channelにおける既存航路計画方策の修正提案(NAV 49/3/3)の審査において、MSCでの採択が要請されていて、NAV 49/19の付属で述べられている修正提案で合意したことを銘記した。
 
8.10 また、当委員会は、Great North East Channelにおける既存航路計画方策の修正が、MSCによる採択の6ヶ月後のUTC 0000時に実施されることも銘記した。
 
8.11 当委員会は、豪州及びパプアニューギニア共同提案の審議において、PSSA提案が決議A.927(22)の詳細を満足しているかどうかを調査する非公式技術部会を設置した。
 
新たな西ヨーロッパPSSA提案
 
8.12 英国代表団が、新たな西ヨーロッパPSSAの共同提案文書(MEPC 49/8/1、MEPC 49/8/1/Add.1、MEPC 49/8/1/Corr.1及びMEPC 49/8/4)の紹介において、以下の点を強調した。
 
.1 当該海域は、複雑、多種多様、高生産性かつ独立した生態系から成っており、すべての海岸線沿いは、生態学的又は地理学的に保護されるべき指定区域である。
 
.2 提案PSSA海域は脆弱であり、世界における主要油流出の集中している区域も含んでいる。
 
.3 当該海域は、社会経済的観点から重要な役割を担っている。
 
.4 提案PSSA海域は、世界における最も重要な船舶航路のいくつかを含んでいる。
 
.5 次の関連保護法策が提案されている。
 
.5.1 当該PSSA 内における、48時間通報周期の報告義務を伴うことになるdouble-hullタンカーを除いた、600 dwtより大きな船舶による重質油輸送の禁止。
 重質油については、次のように定義される。
 
・重質原油とは、摂氏15℃における密度が、900 kg/m3より高いもの。(API等級で25.7より低いものを意味する。)
 
・重油とは、摂氏15℃における密度が900 kg/m3より高いもの、又は50℃における運動粘度が180 mm2/sより高いもの。
 
・アスファルト及びタール並びにそれらの乳状液
 
 上述禁止措置は、2004年7月の開始が求められている
 
.5.2 600〜5,000 dwtのすべてのsingle hullタンカーについては、2008年からこの規則を適用すべきことが提案されている。
 
.6 MEPC 49/8/1及び MEPC 49/16/1に記載の提案は、明確な提案である。当該PSSA提案は、具体的地理学上の海域における早急な履行を、また、当該海域内で既に経験されている問題の解決を意図したものである。MEPC 49/16/1における提案については、延長時間枠についての地球規模解決策のためのものである。
 
8.13 WWFが、上述共同提案に関してコメントしているWWF文書MEPC 49/8/4の紹介において、以下の事項を指摘した。
 
.1 PSSAとして西ヨーロッパを指定することを支持し、隣接海域、すなわち、アイリッシュ海、スコットランド東岸及びイングランドから東アングリアについても、PSSA基準に応諾し、PSSA提案内に含まれるべきと信じている。
 
.2 PSSA内における重油輸送のためのsingle-hullタンカー使用の禁止に加えて、いくつかの関連保護策を追加することが適切である。







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