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2.57 作業部会は、次の本質的事項について作業を続行した。
 
.1 規則C-1(追加方策)
 若干の変更。規則C-1.3.3〜C-1.7については、括弧付が維持された。この規則については、入港要件に適用するための追加条件に関係する。米国は、括弧内の条文に反対していた。
 
.2 規則B-3.4.2及びB-3.4.3
 イタリア提案に関し、当作業部会は、“協調水域”についての規則を受け入れた。
 
.3 規則B-3.1及びB-3.2
 作業部会は、バラスト水容量に従って基準を段階的導入するという米国提案に基づいた新たな条約文を作成した。解決すべき問題点は、新造船及び現存船のこれらの基準への応諾を、固定日又は発効日とするのかについての対応、また、限定又は無制限の緩和(grandfathering)問題にある。
 
.4 規則E-1(バラスト水交換基準)
 規則E-1.2及びE-1.3については、E-3.1に置き換えられた。
 
.5 規則E-2(バラスト水排出(performance)基準)
 作業部会は、2〜3の選択肢を編入し、新たな基準を作成した。*
最も厳しい基準は、ICES文書MEPC 49/2/21に基づいたものである。人間健康としての指標微生物が加えられている。
 
.6 規則E-3(規則E-1のための付加基準)
 作業部会は、化学処理法への懸念を反映したオランダ等による提案を含んだ、規則E-3.2 のための新規則文を作成した。この新規則文は、安全問題に係る規則E-3.3と共に、括弧付とされている。
 
.7 規則E-4(既存設備)
 作業部会は、現行の規則文を括弧付とし、変更しなかった。最終化については、緩和規定の解決策次第である。
 
.8 規則E-5(機関による基準見直し)
 作業部会は、明確化のための文章を追加した。
 
条約案を支えるガイドラインの作成
 
バラスト水交換法を用いる船舶の、設計、建造及び運用のためのガイドライン
 
2.58 作業部会は、海運会社及び船員への指導となるべきこのガイドラインについて、提出された、英国文書(MEPC 49/2/8)、日本文書(MEPC 49/2/28)、ICS文書(MEPC 49/2/23)及び娯楽ヨットの観点からのISAF(MEPC 49/2/7)文書を検討した。さらなるコメントも、IACS文書MEPC 49/2/11において提供された。
 
2.59 作業部会は、3つのすべてのバラスト水交換方式がこのガイドラインで対処されるべきこと、また、内容の多くが、条約最終案次第となることを銘記した。
 
2.60 作業部会は、このガイドラインについてのさらなる作業が、英国先導の下に、中間期に実施されるべきことで合意した(連絡先Graham Greensmith氏、graham.greensmith@lr.org)。
 
バラスト水処理システム認証のためのガイドライン(型式試験)
 
2.61 作業部会は、このガイドライン作成のため提出された、オランダ文書(MEPC 49/2/15)、ノルウェー文書(MEPC 49/2/24)及び日本文書(MEPC 49/2/27)における詳細な文案及びコメントを検討した。
 
2.62 作業部会は、規則及びガイドライン間の要素の区別について、また、単一文書に帰着する方法について検討した。一般的アプローチで追跡すべきことで合意された。いったん処理設備が特定されたなら、ガイドラインをより具体的なものにすることが可能となるのではないか。
 
2.63 作業部会は、このガイドラインについてのさらなる作業が、オランダ先導の下に、中間期に実施されるべきことで合意した(連絡先Frans Tjallingii 氏、f.j.tjallingii@dnz.rws.minvenw.nl)。
 
規則B-3.2及びC節の下の沿岸国による追加方策検討を支援するガイドライン
 
2.64 作業部会は、GloBallast計画提出文書、特に港における検査の実施法(MEPC 49/INF.36)及び豪州提出の非公式文書により、このガイドライン作成のための要素について検討した。
 
2.65 GloBallast計画及びTRAIN-SEA-COASTの諸計画並びに豪州で作成されたCRIMP協定からの材料を含むことが提起された。さらに、ノルウェー提案(MEPC 49/2/20)のように、規則A-4の下の未管理バラスト水排出のための危険性評価ガイドラインに関連して、このガイドラインを作成することも提起された。
 
2.66 作業部会は、このガイドラインについてのさらなる作業が、豪州先導の下に、中間期に実施されるべきことで合意した(連絡先Michael Wilson氏、michael.wilson@affa.gov.au)。
 
寄港国主官庁によるバラスト水船上サンプリング/点検ガイドライン
 
2.67 作業部会は、GloBallast計画提出のこのガイドラインのための提案(MEPC 49/INF.35及びMEPC 49/WP.2)及びインドのコメント(MEPC 49/2/12)について検討した。
 
2.68 作業部会は、ガイドラインについては、サンプリングのすべての目的を特定すべきであるものの、そもそもが条約への応諾の立証を明らかにするための、寄港国管制官の運用に簡単な検定に焦点を絞るべきものであることで合意した。
 
2.69 作業部会は、このガイドラインについてのさらなる作業が、ドイツ先導の下に、中間期に実施されるべきことで合意した(連絡先Stephan Gollasch氏、sgollasch@aol.com)。
 
娯楽ヨットのためのバラスト水管理ガイドライン
 
2.70 作業部会は、提案規則A-5に基づいたISAF提出文書(MEPC 49/2/7)及びイスラエルのコメント(MEPC 49/2/30)によるこのガイドラインのための提案を検討した。さらなる作成のための最初の考え方が議論されたが、規則A-5の結果がまだ明確になっていないので、確定的措置がまだ作成されていない。各代表団に、ISAFに対し、中間期にコメントを提出するよう要請した(連絡先Michael Devonshire氏、isaf@mike-devonshire.co.uk)。
 
会議決議のための諸課題の特定
 
2.71 作業部会は、決議案の書式で外交会議に提出される事項の早期特定の重要性を認識して、次の課題を特定した。
 
.1 条約発効に先立った、機関による基準見直しのための意思決定手段
 
.2 技術協力の促進(MEPC 49/2/32)
 
.3 条約を支える諸ガイドライン作成に関する今後の機関の作業
 
.4 決議A.868(20)の最新化
 
2.72 作業部会は、当委員会に対し、作業部会報告書を容認し、かつ、当該報告書に基づいた逐条見直しを完遂するよう勧告した。
 
作業部会報告書に関するコメント
 
2.73 ブラジル代表団が、条約案に関し今会期で実施された作業について高く評価した。しかしながら、条約完成のための実質的作業がまだ必要である。バラスト水管理の効率についての利用可能な信頼できる情報が限られていることに、懸念が表明された。ブラジルは、この週に実例表示しているように、現実的条件の下のバラスト水交換の効率を明示すための実験を実施し、貢献してきている。条約への応諾のための重要な手段については、付録及びガイドラインに関するさらなる中間期作業が必要になってくる。ブラジル代表団は、世界保健機関(WHO)がいまだに病原体基準に関する議論情報を提供していないことを遺憾に思っており、事務局に対し、この件に関するWHO助言を求め続けるよう奨励した。
 
2.74 チリ及びエクアドルの代表団が、ブラジル見解と一致していた。
 
2.75 規則E-5(機関による基準見直し)及びバラスト水交換の段階的廃止(phse out)に関して、ICSからのオブザーバーは、逆に、バラスト水交換の不必要性が立証されるまでは、バラスト水交換を容認するよう提案していた。その後に、条約を改正すべきではないか。
 
条約案の逐条見直し(続き)
 
2.76 当委員会は、文書MEPC 49/2/3及び作業部会報告書(MEPC 49/WP.16及びMEPC 49/WP.16/Add.1)に基づいた、逐条審議を続行した。
 
第2.3条 より厳しい方策を要求する寄港国の権利
 
2.77 当委員会は、国連海洋法条約(UNCLOS)の第211.6条(船舶からの汚染)が、沿岸国においてより厳しい方策を検討する場合には、適格な国際機関を通じた協議に言及していることを銘記する一方で、同条約第196.1条(技術の利用又は外来種若しくは新種の導入)の下に、いずれの国自身も、“海洋環境の特定の部分に重大かつ有害な変化をもたらすおそれのある外来種又は新種の当該部への導入(意図的であるか否かを問わない。)を防止し、軽減し及び規制するために必要なすべての措置をとること”ができることを銘記した。また、同条約第25.2条の下に、いずれの国も、寄港国への入港条件としての要件を強いる権利を持っていることも銘記した。
 
2.78 中国代表団が、第2.3条の最終文に含まれている作業部会作成の代替条文については、上述のUNCLOS第25.2条の下に国が有する権限と相反することになるので、この文を削除するよう提案した。
 
2.79 この提案に支持がなかったので、当委員会は、本報告書の付属に記載のように、第2.3条を括弧付で保持することで合意した。
 
規則C-1 追加方策
 
2.80 当委員会は、MEPC 48におけるキプロス提案に沿って、規則C-1を“責任負担コンセプト”編入のため空欄としていることを銘記した。MEPC議長は、今後の審議のための提案の準備に着手した。
 
規則B-3 船舶のバラスト水管理
 
2.81 当委員会は、他の国々等からの支持を受けたオランダ代表団の提案を受けて、規則A-1への“協調水域”の定義の追加を伴った、新たな規則B-3.4.3を作成し、今後の検討のため括弧付とすることで合意した。
 
規則E-2 バラスト水排出(performance)基準
 
2.82 当委員会は、規則E-2.1を囲む括弧を削除し、基準内の数値を囲む括弧のみを残すことで合意した。
 
当委員会による措置
 
2.83 当委員会は、逐条見直しの終了後、外交会議への回章に付すための船舶バラスト水及び沈殿物の制御及び管理のための国際条約案を容認することで合意した。本報告書の付属2に、改正されかつ規則番号等が付け替えられた条約案が記載されている。
 
2.84 事務局は、当委員会に対し、バラスト水管理についての外交会議を、2004年2月9〜13日の間ロンドンIMO本部で開催するよう助言した。
 
2.85 当委員会は、事務局に対し、外交会議開催に必要な措置を開始し、2003年7月末までに 次のものを含む外交会議用基本文書を配布するよう指示した。
 
.1 外交会議の招待状
 
.2 条約案の統合文書
 
.3 外交会議のための手続き規則案
 
2.86 当委員会は、条約案を支えるガイドラインに関するさらなる作業のための作業部会の中間期措置(上述第2.58〜2.70項参照)について、決議案形式で外交会議に提出する作業部会で特定された事項(上述第2.71項参照)を含め是認した。
 
2.87 当委員会は、IACSが提起している、船橋視界基準、プロペラ没水、最小船首喫水など、バラスト水交換作業に関する安全面への懸念(MEPC 49/2/11)を銘記し、MEPC及びMSCに対し、バラスト水交換時の一時的な安全規則への不応諾の容認性について、手短に言うと、関連法規制からのいかなる逸脱についても、関連法規制の範囲内で直接処理されることを確認するよう要請するという作業部会勧告を是認した。
 
2.88 当委員会は、事務局文書MEPC 49/2/11を銘記し、GloBallast計画による、地球規模バラスト水問題への取り組み、また、条約が採択された場合の履行準備についての開発途上国へ援助についての、内容のある貢献度を認識した。
 
2.89 当委員会は、GloBallast計画の試験段階において先導された活動の続行及び展開の実現性を探索するため、UNDP、GEF並びに他の献金者及び協力者の可能性について、IMOが打診すべきことを是認した。
 
感謝
 
2.90 オランダ代表団が、当委員会に対し、中間期バラスト水作業部会の間の、2003年3月4日のTomas Moll氏(オランダ)の突然死について関心を促した。王立オランダ船主協会(KNVR)の代表者のMoll氏は、バラスト水作業部会及びMEPCにおいて、よく知られている人であった。Moll氏のご家族を代表して、当委員会の会員に対し、家族に賜ったカード及び哀悼の意について、心から感謝申し上げる。
 

* ブラジル代表団が、それほど厳しくない基準に関するさらなる作業のための、非公式通信部会の調整役を申し出た。アルゼンチン、日本、韓国及びシンガポールが、参加を示唆した。連絡先については、J. Robson氏(ブラジル)robson-jose.calixto@mma.gov.br.である。







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