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第4(bis)条 “受入れ可能バラスト水”
 
2.26 ブラジル代表団が、“受入れ可能バラスト水”のコンセプトについては、科学技術的開発がまだ不明瞭であることもあり、バラスト水管理実施のためのキーとなるコンセプトであるので、条約に編入すべきという見解を表明した。 第4(bis)条については、MEPC 49/2/3に記載のように、バラスト水作業部会の中間期会合において発散している立場を調節するため、また、コンセンサスを得る観点から修正されている。 当該コンセプトについては、第4X条で提案されている、危険性評価を含む“バラスト水受入れ申請標準”を伴わなければならない。 一方で、“地球規模及び地域的標準及び基準”に関する第4Y条が、Tier-1の下の根本的基準及びTier-2の下に指定された海域におけるより厳しい基準の設定ための根拠を提供することになる。 その後、“バラスト水の地球規模要件”を規定する規則が含まれる新たなD節(MEPC 49/2/17)において、これらの標準及び基準がさらに入念に作成されるべきである。
 
2.27 当委員会は、バラスト水作業部会の中間期会合において、第4X及び4Y条の提案を含まないと結論し、ブラジルがこの結論についての立場を留保したことを銘記した。
 
2.28 多くの代表団が、“受入れ可能バラスト水”のコンセプトの包含への不支持を示唆していた。
 
.1 現在の条約案構成が論理的であること。
 
.2 提案コンセプトについては、寄港国への挙証責任の破棄を意味しており、また、決議MEPC.67(37)で容認されている“具体的IMO活動における予防的措置の適用に関するガイドライン”を考慮していないこと。
 
.3 排出(performance)基準がない状況下では、あらゆる船舶のサンプリングが揚荷港において要求されること、バラスト水の中味が不明となることなどから、コンセプトの実行が不可能であること。
 
.4 条約の下に合意された基準を満足するバラスト水を、受入れ可能バラスト水とみなすべきであること。
 
2.29 結果として、当委員会は、ブラジル提案の第4(bis)、4X及び4Y条を含まないことで合意した。
 
第7条 検査及び証明
 
2.30 当委員会は、作業部会による編集上の改善に従って、第7.2条の括弧の除去により、規則C節の下に追加方策が講じられる場合には、沿岸国及び旗国主管庁による検査及び証明の要件を制限することで合意した。
 
第9条 船舶の点検
 
2.31 船舶の点検に関して、当委員会は、船舶が条約に応諾しているかどうかの決定時に、バラスト水サンプリングを港における日常業務及び/又は詳細検査の一部とすることに関し、その範囲を検討した。
 
2.32 当委員会は、バラスト水作業部会に対し、現在の括弧内文章について、第6条に沿った科学及び技術並びに監視目的のサンプリングに関する別項を含むという日本提案(MEPC 49/2/29)を含め、見直すよう指示した。
 
第11条 管制措置の通知
 
2.33 管制措置の通知に関し、マーシャル諸島代表団が、点検により違反が指摘された場合、当該船舶の船長に対し、いかなる場合にも通知すべきという見解を表明した。 いかなる措置がとられた場合にも、遅滞なく主管庁に話が通じるように、まず当該船舶の主管庁に、その次に旗国の外交代表に書面で通知しなければならない。
 
2.34 当委員会は、この提案に適応して、第11条第2項を修正することで合意し、また、作業部会に対し、第1項をより詳細に見直すよう指示した。
 
第13条 地域協力
 
2.35 イタリア代表団が、地域協力に関する第13条に、次の文言“特に、閉鎖及び半閉鎖的海域において国境を接する複数の締約国については”を含むよう提案した(MEPC 49/2/10)。
 
2.36 FOEIからのオブザーバーが、閉鎖及び半閉鎖的海域についての強調は、公海保護目的のための協力から逸脱しているのではないかという見解を表明した。
 
2.37 当委員会は、作業部会に対し、この件についての調和点を探し出すよう指示した。
 
第19条 改正
 
2.38 当委員会は、作業部会が、ブラジル及び日本の提案ならびにAFS条約第16条に基づいて、第19条(改正)のための条文を作成し、当委員会での審議のため括弧付としていることを銘記した。 ブラジルは、MEPC 49/2/ 17において、条約附属書改正に関する追加第4Z条のためのブラジル提案に関連して、当該条文案のさらなる精錬を提案している。
 
2.39 当委員会は、作業部会に対し、第4Z条提案に関連して第19条を見直すよう指示した。
 
規則A-1 定義
 
2.40 当委員会は、第4(bis)条を含まないという先の決定に鑑み、ブラジル提案の“受入可能バラスト水”の定義がもはや関係ないことを銘記した。
 
2.41 当委員会は、作業部会に対し、規則A-1内の括弧付文章について、また、船舶のバラスト水容量に応じた船舶バラスト水管理に関する規則B-3 のための米国提案(MEPC 49/2/5)に関連して、規則A-1.1及びA-1.2を削除するという米国提案について、再吟味するよう指示した。
 
規則A-2 一般適用
 
2.42 米国提案に応じて、当委員会は、作業部会に対し、規則A-2 を必要に応じて編集するよう指示した。
 
規則A-3 適用除外
 
2.43 ICSからのオブザーバーが、規則A-3の下に新たな最初の項を、すなわち、条約の主な関心事は、沿岸水域におけるバラスト水の漲排水にあるという了解の下で、領海又はEEZ外では制御から除外されるということを含むよう提案した(MEPC 49/2/22)。 日本及びシンガポール代表団がこの提案を支持した一方で、米国代表団がこの提案を拒否した。
 
2.44 リベリア提案に関し、当委員会は、作業部会に対し、規則A-3.4の文章を明確化するよう指示した。
 
規則A-4 未管理バラスト水排出許可条件
 
2.45 当委員会は、MEPC 49/2/3の第2.39及び2.40項で報告されているように、作業部会が規則A-4を作成しているが、未管理バラスト水が具体的制限に従うべきかどうかについては、まだ合意に至っていないことを銘記した。 また、規則A-4が、受入可能バラスト水に関する第4(bis)条に関するいかなる決定にも密接に結びつくことを銘記した。
 
2.46 米国代表団が、MEPC 49/2/18において、規則A-4についてはこの条約の目的に反するので全面的に削除するよう提案した。 一方、ブラジル及びノルウェーは、規則A-4については、修正を伴っても残すよう提案した(MEPC 49/2/17及びMEPC 49/2/20)。
 
2.47 当委員会は、後の段階で規則D節と関連して見直すため、この規則を保持することで合意し、作業部会に対し、米国表明の懸念を考慮に入れて見直すよう指示した。
 
規則A-5 同等の応諾
 
2.48 当委員会は、作業部会が、娯楽用ヨットのための同等の応諾に関する規則A-5を作成しているが、まだ完全な合意に至っていないことを銘記した。
 
2.49 ISAFからのオブザーバーが、さらなる明確化を提供し、かつ、“貿易に従事しない”という文言の削除と共に、娯楽用船舶を対象としたバラスト水管理に関するガイドラインを提案した(MEPC 49/2/7)。 さらにISAFは、救命艇及び/又は捜索救援船舶については、時としてバラスト水に頼ることがあるので、この規則にこれらの船舶を含む可能性について銘記した。
 
2.50 当委員会は、作業部会に対し、“ヨット”の定義及びこの規則に含まれるべき他の船舶の範疇(救命艇及び/又は捜索救援船舶など)について検討するよう指示した。
 
規則B-1 バラスト水管理計画
 
2.51 当委員会は、ICSにより提案された規則B-1についての編集上の改善を審議し、作業部会に対し、IACSからのオブザーバーが提起したバラスト水交換に付随する可能性のある安全問題事項(MEPC 48/21、第2.23及び2.24項)と共に、この提案を検討するよう指示した。
 
2.52 この段階における議事進行上の時間的制約から、当委員会は、作業部会に対し、条約附属書の残りの部分についてなされたすべての提案について、付録を含め、必要に応じて再吟味するよう指示した。
 
バラスト水作業部会報告書
 
2.53 バラスト水作業部会報告書(MEPC 49/WP.16及びMEPC 49/WP.16/Add.1)の紹介において、作業部会長Mike Hunter氏(英国)は、今会期において達成された味のある進捗及び以下の第2.54〜2.57項に反映されている点について、当委員会の留意を促した。
 
プレナリーによる規定見直し及び作業部会への諮問事項
 
2.54 作業部会は、次の事項を実施した。
 
.1 プラットフォームに接続する“固定している”の文言の削除(第1.9条)
 
.2 序文における“海洋”環境の保持
 
.3 南アフリカ提案に沿った第4条の追加条文作成
 
.4 第7.2条条文の確認
 
.5 第9.2条における、サンプリング引用の省略による第9条の見直し及び簡素化
 
.6 第11条における“実行可能な限り”の文言の保持
 
.7 第19条条文の見直し及び確認
 
.8 規則A-1からの定義削除、及び適合のための変更
 
.9 規則A-2についての編集上の改善
 
.10 規則A-3の明確化
 
.11 規則A-5の“救命艇及における、捜索救援艇”のための規則文の修正
 
.12 括弧なしの第3.2(b)、(c)及び(d)条の新条文作成、及び意図の明確化
 
.13 イタリア提案による第13条内への“閉鎖的海域”に係る新条文の包含
 
.14 米国の懸念への対処のための、規則A-4における“航海除外”の修正
 
.15 明確性確保のための、規則B-1からの若干の規則文の削除、また、IAES文書MEPC 49/2/11に沿ったバラスト水交換についての安全面に係る勧告の準備
 
.16 括弧を維持したままの、第2.3条内への新条文作成
 
作業部会に諮問せず、プレナリーにより見直され改正された規定
 
2.55 作業部会は、次の事項を実施した。
 
.1 米国提案に沿った、規則E-3.2の新たな第2.7条への移動
 
.2 国家管轄を越えた水域を保護するための協力に関するWWF及びIUCNの提案に沿った、新2.9条の作成
 
.3 他の箇所の変更に沿った、規則A-1への若干数の定義の追加
 
プレナリーにより見直されなかった規定
 
2.56 作業部会は、次の事項を実施した。
 
.1 既に完成されている規則B-2(バラスト水記録簿)についての編集上の変更
 
.2 既に完成されている規則B-4(船舶の沈殿物管理)についての適合上の変更
 
.3 既に完成されている規則B-5(士官及び乗組員の義務)についての編集上の変更
 
.4 規則C-2.3(バラスト水漲水に関する警告など)の第2.8条への移動
 
.5 既に完成されている規則C-3(情報の伝達)についての確認
 
.6 その過程で空になり、かつ、もはや必要のないD節の削除
 
.7 規則F-1.1における、言い換えると、完成されているF節(バラスト水管理のための検査及び証書要件)への軽微な編集上の変更
 
.8 付録I(証書)及びII(記録簿)への軽微な編集上の変更
 
.9 目下すべての情報が規則C-1に記載されていることによる、付録III(追加方策のための情報)の削除







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