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C節 一定の水域における特別要件
 
 
1 一締約国が、単独又は他の複数の締約国と共同で、船舶のバラスト水及び沈殿物を通じた有害水生生物及び病原体の移動を防止、減少又は除去のため、B節の方策に追加した方策が必要と決定した場合、当該単独又は複数の締約国は、船舶に対し、国際法と一致した具体的基準又は要件を満足するよう要求することができる。
 
2 単独又は他の複数の締約国は、第1項の下の基準又は要件の制定に先立ち、当該基準又は要件による影響を受けることになる隣接又は他の国々と協議しなければならない。
 
3 第1項に従って追加方策の導入を意図する単独又は複数の締約国は、以下の事項を実施しなければならない。
 
.1 機関により策定されるガイドラインを考慮すること。
 
.2 機関に対し、緊急時又は伝染病発生時を除いて、当該方策実施予定日の少なくとも6箇月前に、それらの国の追加方策制定の意図について伝達すること。この伝達には次のものを含まなければならない。
 
.1 追加方策が適用される場所についての、正確な緯度・経度(co-ordinates)
 
.2 できれば、当該適用による利益を含んだ追加方策適用の必要性及び論拠
 
.3 追加方策の解説
 
.4 追加方策への船舶の応諾促進に提供されることになる措置
 
.3 必要に応じて、国連海洋法条約に反映されている慣習国際法で要求される範囲までの、機関による承認を取得すること。
 
4 単独又は複数の締約国は、当該追加方策導入においては、船舶への負担軽減のため、水域、利用可能及び代替となる航路又は港の通知等、すべての適切なサービスを、実行可能な限り、船員に利用可能とするよう努めなければならない。
 
5 単独又は複数の締約国により採用されたいかなる追加方策も、船舶の安全性及び安定性に危害を加えず、また、当該船舶が遵守すべき他のいかなる条約にも矛盾しない条件のものでなければならない。
 
6 追加方策を導入する単数又は複数の締約国は、一定期間又は適切な具体的状況下において、これらの方策を差し控えることができる。
 
 
1 締約国は、既知の事情により、バラスト水を取り入れてはならない当該締約国の管轄下水域について、船員への通知に努力しなければならない。当該締約国は、このような通知の中に、当該水域の正確な緯度・経度を、また、可能ならば、代替バラスト水取り入れ水域の位置も含まなければならない。警告は、次のいずれかの水域について発することができる。
 
.1 バラスト水取り入れ又は排出に関連するような、有害水生生物及び病原体の突発、横行又は増加(有毒藻類ブルーム等)が知られている水域
 
.2 汚水排出口付近の水域
 
.3 tidal flushingが乏しいか、又はより汚れている潮流が知られている時間の水域
 
2 第1項の規定に従った船員への水域通知に加えて、締約国は、機関及びいかなる影響をも受ける可能性のある沿岸国に対し、第1項で特定の水域及びこのような警告の有効期間の見込みについて通知しなければならない。機関及びいかなる影響をも受ける可能性のある沿岸国への通知には、当該海域の正確な緯度・経度を、また、可能ならば、代替バラスト水取り入れ海域の位置も含まなければならない。当該通知については、当該水域内でのバラスト水取り入れを必要とする船舶のための代替供給措置を述べた助言を含まなければならない。また、当該締約国は、船員、機関及びいかなる影響をも受ける可能性のある沿岸国に対し、発せられた警告が無効となる時期についても通知しなければならない。
 
 
 機関は、規則C-1及びC-2の下に伝達された情報について、適切な手段を通じて入手可能なものとしなければならない。
 
 
規則D-1 バラスト水交換基準
 
1 この条約に従ってバラスト水交換を行う(performing)船舶は、バラスト水量の95%以上の容量交換効率をもって実施しなければならない。
 
2 pumping through方法によりバラスト水を交換する船舶については、各バラスト水タンク容量の3倍量pumping throughをもって、第1項に記載の基準を満足するものととみなさなければならない。3倍量より少ないpumping throughについては、当該船舶が、95%以上の容量交換を満足していることを実証できることを条件として受け入れることができる。
 
 
1 この規則に従ってバラスト水管理を実施する船舶は、最小サイズ50μm以上の生物については、1m3当たり生存可能数10未満、また、最小サイズ50μm未満で10μm以上の生物については、1ml当たり生存可能数10未満の排出とし、第2項に記載されている指標微生物の排出については、一定の濃度以下としなければならない。
 
2 人間の健康基準としての指標微生物には、次のものを含まなければならない。
 
.1 病毒性コレラ菌(O-1及びO-139)については、1cfu/100ml未満
(cfu = colony forming unit)、又は動物プランクトンのサンプル1cfu/1g未満(湿重量)
 
.2 大腸菌については、250cfu/100ml未満
 
.3 腸球菌については、100cfu/100ml未満
 
 
1 第2項に規定のものを除き、条約に応諾するために用いられるバラスト水管理システムについては、主管庁により、機関により策定されたガイドラインを考慮して認証されなければならない。
 
2 この条約に応諾するために、活性物又は単数若しくは複数の活性物を含む調合剤を用いるバラスト水管理システムについては、機関により策定された手続きに基づいて、機関により承認されなければならない。この手続きには、活性物の承認、及び承認の撤回について、また、申請提出方法について記載しなければならない。承認の撤回においては、関連活性物又は物質が、当該撤回日の後1年間は禁止されなければならない。
 
3 この条約への応諾に用いられるバラスト水管理システムについては、船舶、船舶設備及び乗組員にとって安全なものでなければならない。
 
 
1 規則D-2の基準の効力発生日前に、将来有望なバラスト水処理技術の試験及び評価を行うための主官庁承認プログラムに参加するいかなる船舶に対しても、当該船舶の規則D-2基準への応諾を要求される日から5年後までは、規則D-2基準を適用してはならない。
 
2 規則D-2の基準の効力発生日後に、規則D-2の基準を上回る基準を達成する処理技術となる可能性を持つ将来有望なバラスト水技術の試験及び評価を行うための、機関により策定されたガイドラインを考慮した主官庁承認プログラムに参加するいかなる船舶に対しても、その技術の搭載日から5年間は規則D-2基準の適用を中止しなければならない。
 
3 将来有望なバラスト水技術の試験及び評価のための、いかなるプログラムの制定及び実施においても、締約国は、
 
.1 機関により策定されたガイドラインを考慮すること。
 
.2 参加船舶については、当該技術の効果的試験に必要な最少限の隻数に絞ること。
 
4 当該処理システムについては、試験及び評価期間を通じて、一貫して設計どおりに運用されなければならない。
 
 
1 規則D-2に明記されている基準の最も早期の効力発生日前3年以内に開催される委員会の会合において、委員会は、適切な科学技術が当該基準の達成に利用可能なのかどうかの決定、第2項基準の評価、また、特に、発展途上国、とりわけて小島発展途上国の発展上の必要性に関する社会・経済影響の評価を含む見直しに着手しなければならない。また、委員会は、機関により策定されたいかなるガイドラインをも含め、この附属書で取り扱われているバラスト水管理の他の側面ばかりでなく、規則B-3.1 で述べられている船舶のための適用要件をも審査するため、必要に応じ、定期的な見直しを実施しなければならない。
 
2 このような適切な科学技術の見直しについては、次の事項も考慮しなければならない。
 
.1 船舶及び乗組員に関する安全性
 
.2 環境上容認の可能性、すなわち、その解決策により、より大きな環境影響を生じないこと。
 
.3 実行の可能性、すなわち、船舶デザイン及び運航との調和性
 
.4 cost effectiveness、すなわち、経済的であること。
 
.5 バラスト水内有害水生生物及び病原体の除去又は生存不可能性の見地からの生物学的有効性
 
3 委員会は、第1項に記載の見直し実施のため、単数又は複数の部会を設置することができる。委員会は、設置された部会で取扱われる構成、付託事項及び特定の問題点について決定しなければならない。当該部会は、締約国による検討のため、この附属書の改正提案を作成し、勧告することができる。締約国のみが、委員会での勧告作成及び改正決定に参加することができる。
 
4 この規則に記載の見直し規定に基づいて、締約諸国がこの附属書改正の採択を決定した場合、当該改正については、この条約第19条に含まれる手続きに従って採択かつ発効されなければならない。







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