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附属書
 
バラスト水及び沈殿物の管制及び管理規則
 
 
 
 この附属書の運用上:
 
1 “基準日”とは、証書失効日に対応する各年における月日をいう。
 
2 “バラスト水容積”とは、バラスト水運搬ができるように設計されたいかなる多目的タンク、スペース又は区画をも含む、バラスト水の運搬、積載又は排出に用いられる船内タンク、スペース又は区画の総容積をいう。
 
3 “会社等”とは、船舶所有者、あるいは、船舶所有者から船舶運航責任を任され、かつ、国際安全管理(ISM)コード1により課せられたすべての義務及び責務を引受けるという合意の下の責任を担う経営者、裸用船者等の組織又は個人をいう。
 
4 “建造された”とは、船舶について、次の建造段階にあるものをいう。
 
.1 キールが据え付けられた段階;又は
 
.2 特定の船舶と確認し得る建造を開始した段階;
 
.3 当該特定船舶について、50トン以上又は全建造材料見積り重量の1%以上のいずれか少ないものが組み立てられた段階;又は
 
.4 大改造中の段階
 
5 “主要な改造”とは、次のいずれかの船舶改造をいう。
 
.1 当該船舶のバラスト水運搬容積を15%以上変更する改造
 
.2 当該船舶のタイプを変更する改造
 
.3 当該船舶主管庁の評価で、10年以上の当該船舶の寿命延長が企画される改造
 
.4 構成部品現物の取替え以外の、バラスト水システム変更に結びつく改造。この附属書の目的上、規則D-1の規定を満足するための船舶改造については、大改造とはみなしてはならない。
 
6 “最も近い陸地から”とは、論議されている、国際法に従って制定された領土の領海の基線からをいう。この条約の目的上、豪州東北沿岸沖の“最も近い陸地から”については、次の豪州沿岸の地点を順に結んで描かれた線からのものをいう。
 
南緯11度00分、東経142度08分(豪州海岸上)
南緯10度35分、東経141度55分
南緯10度00分、東経142度00分
南緯9度10分、東経143度52分
南緯9度00分、東経144度30分
南緯10度41分、東経145度00分
南緯13度00分、東経145度00分
南緯15度00分、東経146度00分
南緯17度30分、東経147度00分
南緯21度00分、東経152度55分
南緯24度30分、東経154度00分
南緯24度42分、東経153度15分(豪州海岸上)、
 
7 “活性物”とは、有害水生生物及び病原体に関して又はに対し、一般的又は特定の作用を持つ、ウィルス又は菌類を含む物質又は生物をいう。
 
 
 他に別段の規定がない限り、バラスト水排出については、この附属書の規定に従ったバラスト水管理を通じて実施しなければならない。
 
 
 以下のいずれか場合にも、規則B-3の要件、又は第2.3条及びC節に従って一締約国が採用したいかなる方策も適用してはならない。
 
1 緊急状況下における船舶安全及び海上人命救助確保のために必要な、バラスト水及び沈殿物の取り入れ又は排出
 
2 船舶及びその設備の損傷により生じた、偶発的なバラスト水及び沈殿物の排出又は進入
 
.1 損傷発生又は排出発見前後に、損害若しくは排出を防止又は最小化するための、あらゆる合理的予防措置手段がとられたことを条件とする。また、
 
.2 船舶所有者、会社又は責任士官が、故意又は無謀に損傷を引き起こした場合を除く。
 
3 船舶からの汚染事故の回避又は最小化を意図した、バラスト水及び沈殿物の取り入れ又は排出
 
4 公海上における、同じバラスト水及び沈殿物の取り入れに引き続いた、同じバラスト水及び沈殿物の排出
 
5 船内のバラスト水及び沈殿物のすべてを取り入れた場所と同じ場所における、当該船舶からの、取り入れ場所で取込んだ管理されていないバラスト水及び沈殿物の排出。ただし、他の場所からのバラスト水及び沈殿物と混合していないことを条件とする。当該混合が発生した場合、他の区域で取り入れられたバラスト水については、この附属書に従ったバラスト水管理が必要になる。
 
 
1 単数又は複数の締約国は、それらの管轄下水域内において、この条約の他の個所に含まれる除外要件に加えて、規則B-3又はC-1のいかなる適用要件の除外も許可することができる。
 しかしながら、次のいずれの条件も満足すること。
 
.1 特定の港又は場所の間を航海中の船舶、あるいは、もっぱら特定の港又は場所の間を運航する船舶に許可すること。
 
.2 中間に見直しする条件で、5年以下の期間で有効とすること。
 
.3 第1.1項で特定の港又は場所の間以外のバラスト水又は沈殿物を混合していない船舶に許可すること。
 
.4 機関により策定された危険性評価ガイドラインに基づいて許可すること。
 
2 第1項に従って許可された除外については、締約国に回章に付すための、機関への関連情報の連絡後までは有効としてはならない。
 
3 この規則の下に許可されたいかなる除外も、隣接又は他の国々の環境、人間の健康、財産又は資源に、阻害又は傷害となってはならない。当該締約国は、不利な影響を与えるであろうと判断するいかなる国に対しても、確認された懸念事項の解決を目指し、協議しなければならない。
 
4 この規則の下に許可されたいかなる除外についても、バラスト水記録簿に記載しなければならない。
 
 
 全長50米未満で、最大バラスト水容積8m3の、もっぱら娯楽又は競技に用いられるプレジャー艇、あるいは主として捜索救助に用いられる小型艇に対するこの附属書への同等の応諾については、機関により策定されたガイドラインを考慮して、主管庁により決定されなければならない。
 
 
 
 各船舶は、バラスト水管理計画を、船内に所持しかつ履行しなければならない。当該計画については、主管庁により、機関が策定したガイドラインを考慮して承認されなければならない。バラスト水管理計画は、個々の船舶について具体的なものであり、また、少なくとも以下の各要件を満足しなければならない。
 
1 この条約が要求するバラスト水管理作業に関連して、船舶及び乗組員の安全対策を詳述すること。
 
2 この条約で明示の、バラスト水管理要件及び補足バラスト水管理実施の履行のためにとるべき措置について、詳細に記述すること。
 
3 沈殿物の処分についての手順について詳述すること。
 
(a)海上、及び
 
(b)陸揚げ
 
4 バラスト水が排出されることになる水域国の当局と、海上への排出に伴う船上バラスト水管理について調整するための手続きを含むこと。
 
5 当該計画の適切な履行を確保する船上責任士官を任命すること。
 
6 この条約の下に規定される船舶のための報告要件を含むこと。
 
7 船舶の日常語で記載すること。使用言語が英語、仏語又はスペイン語でない場合、これらの一言語による翻訳文を含むこと。
 
 
1 各船舶は、船内に、バラスト水記録簿を所持しなければならない。当該記録簿については、電子記録システム又はその他の記録簿若しくはシステムと統合することができ、少なくとも付録IIに明記の情報を記載しなければならない。
 
2 バラスト水記録簿への記入については、最後の記入がなされた後、少なくとも2年間船内に保持し、その後少なくとも3年間は会社等の管理下におかなければならない。
 
3 規則A-3、A-4又はB-3.6に従ったバラスト水排出が生じた場合、あるいはその他の点でこの条約により除外されない例外的バラスト水排出が生じた場合、当該排出の状況及びその理由について、バラスト水記録簿に記述しなければならない。
 
4 バラスト水記録簿については、すべての正当な検査時に容易に応じられるように保管しなければならない。曳航下の無人船舶の場合には、曳航船に保管しなければならない。
 
5 バラスト水関連各作業については、遅滞なくバラスト水記録簿への記録を完全なものとしなければならない。各記入については、当該作業関連責任士官が署名しなければならず、また、船長は、終った頁毎に署名しなければならない。バラスト水記録簿には、船舶の日常語で記入しなければならない。バラスト水記録簿への記入語が、英語、仏語又はスペイン語でない場合、これら3ヶ国語の内の一言語による翻訳文も記入しなければならない。当該記入に、船舶の旗国である国の公用語も同様に用いられている場合、論争又は矛盾発生時には、当該公用語による記入事項が優先しなければならない。
 
6 締約国により正式に認可された職員は、この規則が適用されるいかなる船舶についても、当該船舶が当該締約国内にある港又は沖合ターミナルにいる間に、船内のバラスト水記録簿を点検し、当該記録簿記入事項のコピーをとり、かつ、船長に対し、正コピーであることの証明を要求することができる。このようにして証明されたいかなるコピーも、司法訴訟手続きにおける記入内容の事実証明として取り扱われるものとする。バラスト水記録簿の点検及び証明付コピーの取得については、船舶に不当な遅延を生じないよう、できる限り迅速に実施されなければならない。
 
 
1 2009年より前に建造された船舶:
 
.1 1,500m3以上5,000m3以下のバラスト水容積の船舶については、2014年までは、規則D-1又はD-2に規定の基準以上のバラスト水管理を実施しなければならず、その後については、規則D-2に規定の基準以上を満足しなければならない。
 
.2 1,500m3未満又は5,000m3より大きなバラスト水容積の船舶については、2016年までは、規則D-1又はD-2に規定の基準以上のバラスト水管理を実施しなければならず、その後については、規則D-2に規定の基準以上を満足しなければならない。
 
2 第1項の適用される船舶については、当該船舶への適用基準に応諾する年の引渡し基準日の後の、最初の中間又は更新検査のどちらか早い方の検査までに、第1項に応諾しなければならない。
 
3 2009年以降に建造された、バラスト水容積5,000m3未満の船舶については、規則D-2に規定の基準以上を満足するバラスト水管理を実施しなければならない。
 
4 2009年以降2012年より前に建造された、バラスト水容積5,000m3以上の船舶については、第1.2項に従ったバラスト水管理を実施しなければならない。
 
5 2012年以降に建造された、バラスト水容積5,000m3以上の船舶については、規則D-2に規定の基準以上を満足するバラスト水管理を実施しなければならない。
 
6 この規則の要件は、機関により策定された受入施設のためのガイドラインを考慮してデザインされた受入施設にバラスト水を排出する船舶には適用されない。
 
7 他のバラスト水管理方法についても、第1〜5項に規定の要件の代替肢として受け入れることができる。ただし、当該方法が、環境、人間の健康、財産又は資源の保護において同等以上のレベルであることを確保し、かつ、MEPCにおいて原則的に承認されたものであることを条件とする。
 
 
1 この規則のD-1の基準を満足するバラスト水管理を実施する船舶については、以下の事項を遵守しなければならない。
 
.1 可能な場合には常時、機関により策定されたガイドラインを考慮して、最も近い陸地から200海里以上かつ水深200m以深の水域で、バラスト水交換を実施すること。
 
.2 第1.1項に従ったバラスト水交換実施が不可能な船舶の場合には、第1.1項で述べられているガイドラインを考慮して、最も近い陸地からできる限り離れて、また、すべての場合において、最も近い陸地から50海里以上離れ、かつ水深200m以深でバラスト水交換を実施しなければならない。
 
2 最も近い陸地からの距離又は水深が、第1.1又は1.2項に規定されているパラメータを満足しない海域においては、寄港国は、必要に応じて、隣接又は他の国々と協議して、第1.1項で述べられているガイドラインを考慮して、船舶がバラスト水交換を実施できる水域を指定することができる。
 
3 船舶に対し、第1項のいかなる特定の要件に応諾させるため、予定航路からの離路又は航海の遅延を要求してはならない。
 
4 バラスト水交換実施船舶の船長が、当該交換について、悪天候、船舶デザイン若しくはストレス、設備故障又は他の例外的条件を理由として、船舶の安全性、復原力、乗組員又は乗客に脅威を与えることになると合理的に判断した場合、必要に応じて、当該船舶に第1又は2項への応諾を要求してはならない。
 
5 この規則に従ってバラスト水交換が要求されている船舶で、バラスト水交換を実施しなかった場合、その理由をバラスト水記録簿に記入しなければならない。
 
 
1 すべての船舶は、バラスト水を運搬するように指定された区画から、船舶自身のバラスト水管理計画の規定に従って、沈殿物を除去又は処分しなければならない。
 
2 規則B-3.3〜3.5で述べられている船舶については、安全性又は運航効率を損なうことなく、機関により策定されたガイドラインを考慮して、沈殿物の取り入れ及び好ましくない策略を最小化し、沈殿物除去を助長し、かつ、沈殿物除去及びサンプリングができるようなアクセスを提供することを意図して、設計かつ建造されなければならない。規則B-3.1に記載の船舶については、実行可能な限り、この規定を遵守しなければならない。
 
 
 士官及び乗組員は、当人が乗船する船舶固有のバラスト水管理の実施における当人の義務について熟知し、また、船舶自身のバラスト水管理計画について、義務に応じて熟知しなければならない。
 

1 改正決議A.741(18)により機関で採択されたISM Code参照







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