(3)バラスト水洋上交換による全プランクトンの変化
表II.2.3.5-3及び図II.2.3.5-3には第1航海及び第2航海における、バラスト水漲・排水海水中の動植物プランクトン数を合計した、全プランクトン数の変化を示した。
全プランクトン数として着目した場合、第1航海では、80μm未満10μm以上のサイズ区分に関しては植物プランクトン数(密度)の影響によって、第2航海では、80μm未満10μm以上のサイズ区分に関しては動物プランクトン数(密度)が、80μm以上のサイズ区分では植物プランクトン数(密度)の影響によって、各区分の結果が相殺された。 このため、第1航海がバラスト水交換によってプランクトン数が増加したケースで、第2航海がバラスト水交換の機能が作用しプランクトン数が減少したケースとなった。
表II.2.3.5-3(1)バラスト水洋上交換による全プランクトン数の変化(第1航海)
海域および
バラスティング |
東京漲水 |
太平洋上排水 |
太平洋上再漲水 |
ロサンゼルス再排水 |
調査月日 |
Nov.22 |
Nov.25 |
Nov.25 |
Dec.1 |
バラスト水 交換水域 |
|
N44°37', W177°
36'〜N44°
41', W178°17' |
N44°41', W178°
23'〜N44°
43', W178°30' |
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サンプリング時期 |
初期 |
中期 |
末期 |
平均 |
初期 |
中期 |
末期 |
平均 |
初期 |
中期 |
末期 |
平均 |
80μm以上(cells/m3) |
150400 |
15500 |
8000 |
3900 |
9133 |
29800 |
22300 |
9100 |
20400 |
600 |
1900 |
1400 |
1300 |
80μm未満−10μm以上
(cells/ml) |
6.262 |
20.060 |
11.000 |
5.080 |
12.047 |
9.006 |
19.012 |
23.064 |
17.027 |
2.508 |
6.521 |
4.274 |
4.434 |
|
図II.2.3.5-3(1)バラスト水洋上交換による全プランクトン数の変化(第1航海)
全プランクトン80μm以上(inds/m3)
全プランクトン80μm未満10μm以上(inds/ml)
表II.2.3.5-3(2)バラスト水洋上交換による全プランクトン数の変化(第2航海)
海域および
バラスティング |
太平洋上排水 |
太平洋上再漲水 |
ロサンゼルス排水 |
調査月日 |
Jan.4 |
Jan.4 |
Jan.7 |
バラスト水交換水域 |
N35°59', W179°
59'〜N35°
56', W179°57 |
N35°59', W179°
53'〜N35°
58', W179°19' |
サンプリング時期 |
初期 |
中期 |
末期 |
平均 |
初期 |
中期 |
末期 |
平均 |
80μm以上(cells/m3) |
7500 |
59300 |
38000 |
34933 |
500 |
3400 |
17300 |
7067 |
2700 |
80μm未満−10μm以上
(cells/ml) |
32.801 |
69.505 |
52.001 |
51.436 |
1.556 |
4.029 |
14.011 |
6.532 |
3.513 |
|
図II.2.3.5-3(2)バラスト水洋上交換による全プランクトン数の変化(第2航海)
全プランクトン80μm以上(inds/m3)
全プランクトン80μm未満10μm以上(inds/ml)
表II.2.3.5-4及び図II.2.3.5-4には、前記、バラスト水洋上交換において効果ありと判断された第2航海と同じ航海で実施したプロトタイプ実験(東京からロサンゼルス間で排水時処理実験)の結果を再掲した。 バラスト水洋上交換と実験における、最終的なロサンゼルスでの排水時の生物数を下記に示す。
両者の比較で明らかなように、バラスト水洋上交換より、プロトタイプの処理の方が、効果が遙かに高い結果となった。 また、MEPC49における基準(案)に関しても、バラスト水洋上交換法は80μm以上のサイズ区分では基準を達成していないのに対し、プロトタイプで処理した場合には両サイズ区分ともに基準を達成している。
なお、バラスト水洋上交換法のデータは、生物数を過小評価することが知られているホルマリン固定したものである。 よって、両者の性能差はさらに大きいと考えられる。
バラスト水交換実施時のロサンゼルス排水中の生物数
80μm以上:2700個/m3
80μm未満10μm以上:3.513個/ml
排水時処理後のロサンゼルス排水中の生物数
80μm以上:100個/m3未満(検出限界以下)
80μm未満10μm以上:0.048個/ml
表II.2.3.5-4 排水時処理ケースにおける生物サイズ別の実験結果
(第2航海:東京→ロサンゼルス)
実験港 |
Tokyo |
Los-Angeles |
実験日 |
Dec.27 |
Jan.7 |
分析検体数 |
2 |
3 |
サイズ区分(単位)\試料名 |
東京原水 |
ロサンゼルス排水時処理前 |
ロサンゼルス排水時処理後 |
80μm以上(inds/m3) |
546100 |
3500 |
<100 |
80μm未満−10μm以上
(inds/ml) |
19.511 |
0.063 |
0.048 |
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図II.2.3.4-4 排水時処理ケースにおける生物サイズ別の実験結果
(第2航海:東京→ロサンゼルス)
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80μm以上(inds/m3)
80μm未満−10μm以上(inds/ml)
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注)図中の数字は、原水に対する減少率
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