6.4 輸送時間、輸送コスト(運賃)、ガス排出量(CO2排出量)の推計
(1)輸送時間の推計
(1)水上輸送
各ケースにおける水上輸送による輸送時間は、ヒアリング調査結果に基づく輸送距離と平均速度から、表−6.4.1のとおりとなる。
表−6.4.1 水上輸送による輸送時間
ルート |
輸送距離 [km] |
平均速度 |
輸送時間 |
[ノット] |
[km/h] |
[分] |
[時間] |
川崎→住商浮間 |
50 |
5〜6 |
9.3 |
323 |
5.4 |
川崎→三愛石油 |
40 |
5〜6 |
9.3 |
258 |
4.3 |
君津→東京製造所 |
70 |
7〜8 |
13.0 |
323 |
5.4 |
|
(2)陸上輸送
各ケースにおける陸上輸送による輸送時間は、水上輸送と同一の起終点間において、一般道路及び高速道路を用いた最短経路をトラック輸送した場合を想定し、「道路交通センサス一般交通量調査(平成11年度、国土交通省)」等により設定した区間距離・区間速度を用いて推計し、表−6.4.2(詳細は表−6.4.3に示す。)のとおりとなる。
なお、本検討の条件設定において、輸送貨物量を220tとしており、トラック1台あたりの最大積載量が20tであることから、全ての貨物を輸送するには11台のトラックが必要となる。このことを考慮し、表−6.4.2の輸送時間については、トラック11台分の延べ輸送時間を示した。
表−6.4.2 陸上輸送による輸送時間
ルート |
距離 [km] |
速度 [km/h] |
輸送時間 [分] |
普通貨物車台数 [台] |
延べ輸送時間 [時間] |
川崎→住商浮間 |
43.5 |
27.3 |
99 |
11 |
18.2 |
川崎→三愛石油 |
47.0 |
29.1 |
102 |
11 |
18.7 |
君津→東京製造所 |
93.4 |
63.6 |
124 |
11 |
22.7 |
|
|
注) |
「速度」は、各ケースにおいて設定した輸送区間ごとの加重平均値を示しているため、「輸送時間」は表中の「距離」と「速度」の関係による単純計算値とは異なる。詳細は表−6.4.3参照。 |
表−6.4.3 陸上輸送による輸送時間推計の詳細
ルート |
路線名 |
距離 [km] |
速度 [km/h] |
輸送時間 [分] |
距離の出典 |
速度の出典 |
川崎→住商浮間 |
川崎→1号羽田線 |
4.7 |
25.5 |
11 |
住宅地図 |
H11センサス |
1号羽田線 |
13.8 |
33.6 |
25 |
H11センサス |
H11センサス |
都心環状線 |
5.0 |
29.0 |
10 |
H11センサス |
H11センサス |
6.0 |
24.7 |
15 |
H11センサス |
H11センサス |
5号池袋線 |
10.3 |
22.2 |
28 |
住宅地図 |
H11センサス |
5号池袋線→住商浮間 |
3.7 |
22.0 |
10 |
住宅地図 |
H11センサス |
合計 |
43.5 |
27.3 |
98.6 |
|
|
川崎→三愛石油 |
川崎→1号羽田線 |
4.7 |
25.5 |
11 |
住宅地図 |
H11センサス |
1号羽田線 |
13.8 |
33.6 |
25 |
H11センサス |
H11センサス |
都心環状線
6号向島線 |
5.0 |
29.0 |
10 |
H11センサス |
H11センサス |
10.5 |
19.7 |
32 |
H11センサス |
H11センサス |
6号三郷線 |
10.6 |
31.6 |
20 |
H11センサス |
H11センサス |
6号三郷線→三愛石油 |
2.4 |
40.0 |
4 |
住宅地図 |
規制速度 |
合計 |
47.0 |
29.1 |
101.8 |
|
|
君津→東京製造所 |
君津→館山自動車道 |
1.7 |
80.0 |
1 |
住宅地図 |
規制速度 |
6.1 |
40.0 |
9 |
住宅地図 |
規制速度 |
館山自動車道 |
8.2 |
92.2 |
5 |
H11センサス |
H11センサス |
1.8 |
92.6 |
1 |
H11センサス |
H11センサス |
7.0 |
96.9 |
4 |
H11センサス |
H11センサス |
10.0 |
93.5 |
6 |
H11センサス |
H11センサス |
7.5 |
94.7 |
5 |
H11センサス |
H11センサス |
東関東自動車道 |
0.7 |
74.1 |
1 |
H11センサス |
H11センサス |
6.9 |
94.8 |
4 |
H11センサス |
H11センサス |
1.0 |
94.7 |
1 |
H11センサス |
H11センサス |
湾岸線 |
8.9 |
59.7 |
9 |
H11センサス |
H11センサス |
6.2 |
54.8 |
7 |
H11センサス |
H11センサス |
9号深川線 |
5.3 |
26.0 |
12 |
H11センサス |
H11センサス |
都心環状線 |
6.0 |
24.7 |
15 |
H11センサス |
H11センサス |
5号池袋線 |
13.6 |
22.2 |
37 |
住宅地図 |
H11センサス |
5号池袋線→東京製造所 |
2.5 |
23.5 |
6 |
住宅地図 |
H11センサス |
合計 |
93.4 |
63.6 |
123.7 |
|
|
|
|
注) |
「速度」は、「道路交通センサス一般交通量調査(平成11年度、国土交通省)」によるものであり、ピーク時(交通量が最大となる時間帯、すなわち、概ね朝・夕の最も渋滞の激しい時間帯)の平均速度である。 |
(3)評価
設定した条件下において、輸送時間については、水上輸送が陸上輸送の1/3〜1/4程度となり、水上輸送の優位性が得られる結果となった。
表−6.4.4 輸送時間の評価
ルート |
輸送時間[時間] |
陸上輸送/水上輸送 |
水上輸送 |
陸上輸送 |
川崎→住商浮間 |
5.4 |
18.2 |
3.4 |
川崎→三愛石油 |
4.3 |
18.7 |
4.3 |
君津→東京製造所 |
5.4 |
22.7 |
4.2 |
|
(2)輸送コストの推計
(1)水上輸送
各ケースにおける水上輸送による輸送コストは、これまでの調査結果に基づき、片道で各ケース一律30万円とした。
(2)陸上輸送
各ケースにおける陸上輸送による輸送コストは、「物流サービスに係わる内外価格差調査報告書(平成11年3月、運輸省)」に示されたトラック運賃 ※原単位(表−6.3.3 参照)に基づき、「貨物重量10t−輸送距離100km帯」の運賃原単位を用いて、「総貨物重量220t−各ケースの輸送距離」に按分及び拡大を行って推計した。推計の結果を表−6.4.5に示す。
なお、ここで示す輸送コストは、輸送時間と同様、トラック11台分の延べ輸送コストである。
*: 「トラック運賃」
ここで言うトラックとは、道路交通分野でいうところの「普通貨物車であり、大型トラック・タンクローリー等を指す。輸送コストの比較検討にあたっては、水上、陸上の各輸送手段の輸送形態についても考慮しておく必要があるが、上記のとおり、陸上輸送については大型トラック・タンクローリー等を指すため、概ね水上輸送におけるバルク輸送と同程度と考えることが可能である。
表−6.4.5 陸上輸送による輸送コスト
ルート |
輸送コスト原単位 「貨物重量10t− 輸送距離100km帯」 (円) |
トンキロあたり輸送コスト (円) |
輸送貨物量
(t) |
輸送距離
(km) |
輸送コスト
(円) |
川崎→住商浮間 |
34,745 |
34.7 |
220 |
43.5 |
332,510 |
川崎→三愛石油 |
220 |
47.0 |
359,263 |
君津→東京製造所 |
220 |
93.4 |
713,940 |
|
(3)評価
設定した条件下において、輸送コストについては、水上輸送が陸上輸送の概ね9/10〜2/5程度となり、水上輸送の優位性が得られる結果となった。
表−6.4.6 輸送コストの評価
ルート |
輸送コスト(円) |
陸上輸送/水上輸送 |
水上輸送 |
陸上輸送 |
川崎→住商浮間 |
300,000 |
332,510 |
1.1 |
川崎→三愛石油 |
359,263 |
1.2 |
君津→東京製造所 |
713,940 |
2.4 |
|
(3)ガス排出量(CO2排出量)
ガス排出量については、二酸化炭素(CO 2)排出量について推計することとし、その排出量原単位については、「環境と運輸 1998(交通エコロジー・モビリティ財団;運輸省監修)」に示されたトンキロあたり二酸化炭素排出量原単位(図−6.3.2 参照)を用いた。
(1)水上輸送
各ケースにおける水上輸送によるガス排出量は、輸送貨物量及びヒアリング調査結果に基づく輸送距離から、表−6.4.7のとおりとなる。
表−6.4.7 水上輸送によるガス排出量(二酸化炭素)
ルート |
ガス排出量原単位
[二酸化炭素]
(g-c/トンキロ) |
輸送貨物量
(t) |
輸送距離
(km) |
ガス排出量
[二酸化炭素]
(g-c) |
川崎→住商浮間 |
10 |
220 |
50 |
110,000 |
川崎→三愛石油 |
220 |
40 |
88,000 |
君津→東京製造所 |
220 |
70 |
154,000 |
|
(2)陸上輸送
各ケースにおける陸上輸送によるガス排出量は、輸送貨物量及び設定した輸送距離から、表−6.4.8のとおりとなる。
なお、ここで示すガス排出量は、輸送時間や輸送コストと同様、トラック11台分の延べガス排出量である。
表−6.4.8 陸上輸送によるガス排出量(二酸化炭素)
ルート |
ガス排出量原単位
[二酸化炭素]
(g-c/トンキロ) |
輸送貨物量
(t) |
輸送距離
(km) |
ガス排出量
[二酸化炭素]
(g-c) |
川崎→住商浮間 |
48 |
220 |
43.5 |
459,360 |
川崎→三愛石油 |
220 |
47.0 |
496,320 |
君津→東京製造所 |
220 |
93.4 |
986,304 |
|
(3)評価
設定した条件下において、ガス排出量については、水上輸送が陸上輸送の概ね1/5程度となり、水上輸送の優位性が得られる結果となった。
表−6.4.9 ガス排出量(二酸化炭素)の評価
ルート |
ガス排出量 [二酸化炭素] (g-c) |
陸上輸送/水上輸送 |
水上輸送 |
陸上輸送 |
川崎→住商浮間 |
110,000 |
459,360 |
4.2 |
川崎→三愛石油 |
88,000 |
496,320 |
5.6 |
君津→東京製造所 |
154,000 |
986,304 |
6.4 |
|
|