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5 本システムのあり方と今後の工夫
(1)各種ルール、マニュアル及びガイドライン等の整備
 先述の関連する法令・条例や各種指針の他、先行事例を参考に、トラブルの予防策・対応策と、責任や負担の分担を設計した上で、役割別に利用者契約文書を用意する必要がある。これには同時に利用者へのモラル向上の一助となる面もある。
 また、利用者の活動を安全かつ効率的に行うために、各種マニュアルやガイドラインを整備しておく必要がある。例えば、操作マニュァル、画像に関するガイドライン、内容に関するガイドライン、トラブルヘの対応策としての原状回復マニュアルである。
 
(2)行政施策・計画や運営への反映の意志表示
 本システムは本質的に、地域住民の地域住民による地域住民のための地域の情報の共有の実現を促すものであるが、地域住民の参加インセンティブ(帰属意識)を高めるためにも、豊中市としての関わり方を設計し、可能な範囲で行政施策・計画や運営に反映することを明確にすることが望ましい。
 また同時に、実際に行政施策・計画・運営に直接的あるいは間接的にでも活用された場合に適切にフィードバックされる仕組みを構築しておくことが必要である。
 
(3)役割分担と教育・研修、ツールの提供
 本システムが、持続性と展開容易性を備えるためには、過度の負担が特定の人に集中しないよう、適切な分担が必要である。また、負担を軽減し、作業を効率化するツールの提供や、人の異動・新規参加に備え、活動の質を向上していくために適切な教育・研修の機会が用意されていることが望ましい。こうした環境の整備は、参加者の帰属意識を高める意味でも、重要である。
 
(4)システム設計者と利用者の緊密な協働の実施
 システムの有用性を高めるには、タスク(業務や作業)とシステムとの適合性が重要であるため、システム設計の際には、設計者と利用者が緊密な協働を行うことが望ましい。
 
(5)既存の住民団体・組織を通じたアプローチ
 閲覧にしても、編集登録にしても、初めての利用を促す方法としては、既存の住民団体・組織を通じて行うことが効果的であると考えられる。
 このような採用促進活動の担い手としては、豊中市や、閲覧・登録編集を行っている先達の個人・組織・団体の他、各主体間の橋渡しやノウハウ・活動機会などの提供を行う中間支援組織が考えられる。また、さまざまなチャネルと方法で、より多くの担い手がいることで、採用促進はさらに効果のあるものになるとも期待される。
 
(6)早期の社会的認知の獲得
 本システムのマップヘのデータ編集登録活動を軌道に乗せる一法として、活動の社会的認知を獲得することが考えられる。また、編集登録者の負担や志気も考慮すると、それは短期間で実現されることが望ましい。
 そのためには、市の広報誌や、住民の集まるイベントなどを活用したPR活動が重要である。
 
(7)自治意識の醸成・向上
 自治意識の醸成・向上は、活動の活性化の他、トラブルのような不快な事態の抑制にもつながる。そのためには、自分たちで判断・選択することのできる部分が必要であると考えられる。
 例えば、ネットコミュニティ形成の場やマップの管理運営への参加や提案ができるようにすることや、公開確認を公開前ではなく公開後にできるようにもするなど住民団体毎にマップの機能をカスタマイズできるようにすることが考えられる。
 
(8)ネットコミュニティの形成
 マップの閲覧や、データの登録・更新が習慣化されることが望ましい。そのためには注意を喚起し、適切なインセンティブが働くような仕組みに設計することが必要であろう。習慣に近づけるには、ネットコミュニティの形成を促すことも有効であると考えられる。また、ネットコミュニティの形成は、自治意識の醸成・向上にもつながると期待される。
 ネットコミュニティが形成されるためには、メーリングリストや電子会議室のような場が必要である。仮に編集登録者の間だけの場であったとしても、マップに登録することのできない情報、登録すべき対象かどうかの疑問、登録された情報に基づくまちづくりに関する議論など話題は豊富である。また、活動やまちへの不満なども個人が抱え込まずに、こうした場を通じて共通の意識に高めることも、活動を活発にし、コミュニティの結束を強めるには必要なことと考えられる。
 
(9)電子メールとの連携
 一部重複するが、以下の点を鑑み、電子メールとの連携は重要であると思われる。
・電子メールの確認は習慣になりやすい行動であり、継続的な利用を促すツールとして有用である
・不正アクセスの早期発見のため、ログインや修正が行われたことを通知する
・行政施策等への活用のお知らせなどのフィードバックに用いる







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