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5 GISを使ったバリアフリー対策の現状と将来構想
(1)現行版
 現在、平成14年度に開発された「とよなかわがまち」中高生のためのまちづくり講座2002対応版をベースに、「まちづくり協議会マップ」が運用されており、まちづくり協議会が「まちづくりの成果」、「保存建築物」、「イベント」などの情報を登録している。
 
図表1-28 まちづくり協議会マップの画面
(拡大画面:138KB)
 
 現行のシステムにおいては、登録申請された情報をシステム上でチェックする仕組みを設けていない。そのため登録申請された情報はすべて、一般住民の閲覧に供されることとなる。
 
図表1-29 現行のシステム
 
(2)当面の整備目標
 当面の整備目標において、地図情報維持管理のしくみは図表1-30「住民団体等による自律的な地図情報維持管理イメージ」に示されるような形が想定されている。住民団体等のメンバー層が(1)登録編集系画面で情報を入力し、(2)公開申請確認を依頼する。(3)住民団体等のリーダー層が管理系画面において公開を確認すると、公開確認を通過した情報だけが、一般住民の閲覧に供される。このシステムにおいては、登録申請された情報を管理系WWW画面で確認・承認を行うことによって、不適切な情報等を事前にチェックして公開か未公開かを判断することが可能となる。
 
図表1-30 住民団体等による自律的な地図情報維持管理イメージ
注)住民団体等のメンバー層が情報を入力し、最初の確認「公開申請確認」を行う。
    リーダー層が2回目の確認「公開確認」を行う。
 
(3)将来構想
 本市では、バリア情報や環境、地域情報など様々なテーマの地図をWWW経由のGISを活用することにより、住民に提供し、住民は住民の視点から必要な情報を提供し、相互に補い合って、これら情報を住民が求めるような形で利用できるようにすることを目指している。そうした様々なテーマの地図を作成するためには、地域住民団体だけではなく、福祉や環境といった各種テーマに特化して活動しているNPOやボランティアなどの市民公益活動団体や小中学校などの団体の参加協力が必要不可欠である。
 テーマ別の地図が複数の住民団体の参加により成り立つ場合には、テーマ別の連絡協議会が、登録対象とする情報や分類の基準づくり、アイコンデザインなどの当該テーマに共通する内容について協議・整理する。テーマ別地図の内容を充実させるためには、市による情報提供や、市とテーマ別連絡協議会との連携も重要である。
 全てのテーマ別地図に関わる内容を協議・調整するものとして、全体連絡協議会が考えられる。全体連絡協議会と市の関連部署とは、相互に連携を図ることで、WWWで充実した地図を提供することが可能となる。本市は市民に役立つ情報を提供し、住民は住民の視点から必要な情報を提供し、相互に補い合って、これら情報を住民が求めるような形で利用できるようにする。
 地図を作成するNPO等を支援する組織としては、中間支援組織が考えられる。中間支援組織は、資金、人材、情報、ノウハウ、助言、活動機会提供、各主体間の橋渡しを行なうことで、NPO等の活動や運営を支援する組織である。より多くのより充実した情報を掲載するためには、多くの団体の参加が必要であり、そのためには、中間支援組織が少なくない力を発揮すると考えられる。
 各テーマや各地域に分散している住民団体が、連絡調整会議等を通じて他団体や行政と協調して地図作成に取り組むことで、市域全体の様々なテーマの地図を充実させていくことができる。このような活動が発展してゆけば、WWW経由でGISを活用するシステムにより、まちの情報を行政と住民とで自律・分散・協調しながら、維持管理・共有し、行政=住民間および住民=住民間の合意形成、パートナーシップ、コラボレーションなどによる「まちづくり」に結びついてゆくと考えられる。
 
図表1-31 分散・協調の体制イメージ
 
 このような分散・協調のシステムは地図情報維持管理だけで成立するものではない。分散・協調を実現するためには、(1)一般閲覧者、(2)登録権者、(3)管理権者、(4)連絡協議会の4者それぞれにおいて異なる機能・サービスを準備する必要がある。この点について現段階では明確に規定されるに至っていないため、一般のホームページや、コンピューターシステムを参考にして、整備される可能性のある機能・サービスについて4者それぞれについて検討する。
 
【一般閲覧者向けの機能・サービス】
新着情報 最近新設されたマップや、制度の変更などを伝えるページヘのリンク集。
新着データ 最近登録あるいは更新されたマップ上のデータの一覧表。
住民団体プロフィール 住民団体の管理権者が一般の閲覧者に向けて用意する団体紹介ページ。住民団体への参加の仕方なども掲載される。
登録者プロフィール 登録編集権者が一般の閲覧者に向けて用意する団体紹介ページ。住民団体への参加の仕方なども掲載される。
電子会議室 マップをWWW経由で維持管理するシステム全体、あるいはテーマ別などで設けられ、一部の会議室には管理権者、登録編集権者はもちろんのこと、一般閲覧権者も一定の手続きを経て参加することができる。
オンラインヘルプ 表示閲覧系WWWの操作方法の解説や、テーマごとのマップに登録すべきデータに関する説明(登録基準)などが閲覧できる。
マニュアル 表示閲覧系WWW画面の操作解説マニュアルをダウンロードすることができる。







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