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4 地域情報化の流れ
(1)電子政府と電子自治体
 
 電子自治体とは、インターネット等情報通信技術(以下、IT)を利用したオンラインで高度に電子化された住民サービスや業務システムを市民に提供する自治体のことで、オンラインによって自治体と住民がつながることにより空間的・時間的拘束を受けずに双方向で情報のやり取りができるようになり、住民は一方的な行政サービスの受け手から積極的な行政施策への参画の可能性を持つことが可能となる。以下、電子自治体の経緯と現状を整理する。
 
(1)電子政府(国レベルのIT施策)
ア IT戦略本部・IT戦略会議
 平成12年(2000年)7月、世界規模で生じているITによる産業・社会構造の変革(=IT革命)に取り組み、その恩恵を全ての国民が享受でき、かつ国際的に競争力のあるIT立国の形成を目指した施策を総合的に推進するため内閣に設置された。同時に20名の有識者からなるIT戦略会議が設置され、戦略的、重点的検討によりIT基本戦略が取りまとめられた。
 
イ 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)の施行
 
 ITを活用して、行政の効率化や情報の共有化、住民や企業とのコミュニケーションの活性化などに取り組み、平成17年(2005年)に世界最先端のIT国家を実現することを目指して平成12年(2000年)11月に成立、翌13年(2001年)1月に施行された。これを受けて「高度情報通信ネットワーク社会推進本部(IT戦略本部)」が設置され、IT国家戦略である「e-Japan戦略」が打ち出された。
 
ウ e-Japan戦略・e-Japan重点計画
 
 e-Japan戦略では、5年以内に世界最先端のIT国家、すなわち電子政府・電子自治体の実現が重点施策に掲げられた。これを受けて作成されたe-Japan重点計画では、e-Japan戦略をより具体化したもので、高度情報通信ネットワーク社会形成のために政府が迅速かつ重点的にすべき施策の全容を明らかにするものとして行政情報の電子提供、申請・届出等手続きの電子化、歳入歳出の電子化、調達手続の電子化、ペーパーレス化が、電子政府・電子自治体の将来像として描かれた。
 これらの計画を各府省の施策に反映させるため年次毎のプロジェクトが組まれている。
 
エ e-Japan戦略II・e-Japan重点計画−2003
 
 「e-Japan戦略II」は、「e-Japan戦略」に代わる新たな国家戦略として平成15年(2003年)7月、IT戦略本部において策定されたもので、ITインフラの整備に重点を置いていた旧戦略を受けて、ITインフラの利用促進に重点を置いている。その中では、「構造改革(ITを駆使した無駄の排除と経営資源の有効活用)」「新価値創造(IT環境上で、新しい産業・サービス創出)」「個の視点(個の視点に基づいた改革)」「新たな国際関係(IT分野の国際展開)」の4つを基本軸にして「元気・安心・便利・感動」社会を目指している。また、先導的な取り組みとして(1)医療、(2)食、(3)生活、(4)中小企業金融、(5)知、(6)就労・労働、(7)行政サービスの分野でIT利活用を提示している。
 特に行政サービスの分野では、『24時間365日ノンストップ・ワンストップ』の行政サービスの提供と行政部門の業務効率の向上を図るとし、具体的には、「国民が必要なときに政治、行政、司法部門の情報を入手し、発言できる、広く国民が参画できる社会を実現」するとして、ワンストップサービス(ITを活用して煩雑な手続きを一回で完結できるようにするサービス)の仕組みなどの整備を平成17年度末までに整備することを目標としている。これを受けて、平成15年(2003年)8月には、「e-Japan重点計画−2002(平成14年6月策定)」を見直し、既存の「e-Japan戦略」のみならず・諸外国と比較した我が国の位置づけやこれまでの成果の的確な評価を踏まえ、目標達成を将来にわたり確実なものとすべく、高度情報通信ネットワーク社会の形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策の全容を明らかにした「e-Japan重点計画−2003」が策定された。現在がこの「e-Japan重点計画−2003」を基に各省庁で施策を展開中である(図表1-19)。
 
図表1-19 IT戦略本部による取り組み経過
 資料:情報通信白書・地方自治情報管理概要(ともに総務省)を基に作成
 
 
図表1-20
 
e-Japan戦略II・
e-Japan重点計画
−2003の概要
(拡大画面:179KB)
資料:
総務省HP
 
(2)電子自治体
 電子自治体の具体的な推進については、「IT基本法」の第20条(行政の情報化)の中で行政運営の簡素化・効率化及び透明性の向上に資することを目的に国や地方自治体の事務に積極的にITを活用していくことがうたわれている。
 また、平成12(2000)年7月に総務省内に「情報通信技術(IT)革命に対応した地方公共団体における情報化推進本部(地域IT推進本部)」が設置され、翌8月には「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策などの推進に関する方針」がまとめられた。その中では特にネットワークを活用した行政事務の簡素化・効率化、住民の利便性向上のために行政手続のオンライン化を進め、文書管理システムの導入や積極的な情報公開に取り組むことなどが挙げられている。平成13年6月には、より電子自治体を推進するため「電子政府・電子自治体の推進について」がIT戦略本部から提示され、同年10月には総務省から全体イメージを描いた「電子政府・電子自治体推進プログラム」が公表された。その中では電子自治体の実現に向けた具体的なスケジュールが打ち出されている(図表1-21)。
 
図表1-21
 
地方公共団体の取り組み及び国の支援策
(拡大画面:82KB)
資料:
総務省「電子政府・電子自治体推進プログラム」
(平成13年)







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