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3 調査方法
 調査方法としては文献調査や、先行事例へのインタビュー調査も行ったが、本研究における調査方法の柱は、プロトタイプシステムを用いた実証実験であった。以下、この実証実験について整理する。
 
(1)実証実験の目的と必要性
 本実証実験の主たる目的は、本格運用の前に、不適切な事態の発生を抑制または回避しつつ、情報の公開まで、あるいはそれ以降のプロセスが円滑に実行されることを具体的に確認することであり、そのためのルール(決まり)、ロール(役割)、ツール(道具)などへの知見を得ることにある。
 
(2)プロトタイプシステムの概要
(1)開発上の位置づけ
 最終的に実現を目指すシステムは図表序−3のようなものである。先には触れなかったが、このシステムでは、情報の均質性を確保し、誤った情報や不適切な情報が公開されないようにするために、図表序−6に示すような情報の確認プロセスが前提とされている。
 なお、ここで、地図情報インターネット提供システム(とよなかわがまち)の発展として、本研究のプロトタイプシステムまでについて開発と主な仕様・機能を改めて整理すると、図表序−7のようになる。すなわち、本研究のプロトタイプシステムは、ポイントごとに公開プロセスを管理し、地図情報を日々更新していくことができるようにする「管理系」の整備が開発上の主眼である。
 
図表序−6 情報が一般住民に公開されるまでのプロセス
情報入手方法例
■現地調査
■生活の中での気づき
■住民等からのお知らせ
 
確認項目例
■掲載基準への適合性
■プライバシーの侵害や誹謗中傷など、閲覧者や特定の個人団体に不快感や損害を与える可能性
■アイコン・文章・画像・外部リンクの整合性
■誤字脱字、入力ミス
■一般住民が閲覧可能になる
 
図表序−7 これまでの開発と主な仕様・機能
名称(年度) 主な仕様・機能
豊中市地図情報
インターネット提供システム
(サービス名「とよなかわがまち」)
(平成12年度)
地図情報の閲覧に特化したシステムである(表示閲覧系)。
・地図の上下左右斜めへの移動
・地図の拡大・縮小
・位置検索(住所検索、目標物検索、一覧表示検索)
・距離計測 ・施設などの詳細情報の表示
「とよなかわがまち」
中高生のための
まちづくり講座2002対応版
(平成14年度)
地図情報の登録編集機能などが追加された(登録編集系)。
・ユーザ管理(IDパスワード方式)
・テーマごとの地図情報管理
・位置検索(小・中学校校区検索)
・ポイントデータの登録/位置変更/内容更新/削除が可能
・各ポイントデータにデータ種別、入力者名、メールアドレス(任意)、データタイトル、要約、内容、画像(JPEGのみ)という詳細情報を入力する。
本研究における
実証実験のための
プロトタイプシステム
(平成15年度)
ポイントごとに公開プロセスを管理し、地図情報を日々更新していくことができるようにする(管理系)。
・ポイントデータごとに公開までのプロセスを管理する機能
 
(2)環境・条件
 本実証実験では、プロトタイプシステムの実験環境・条件は以下の通りである。
 
図表序−8 プロトタイプシステムの実験環境・条件
 
(3)実証実験
 
(1)実験対象地と実験体制
 阪急曽根駅西側地域でまちづくり活動を行っている「まちづくり協議会 そね21 の会」「原田校区福祉委員会」に住民団体としての協力を得て、原田校区を実験対象地とした。
 また、公開確認における具体的な確認事項が明確化していないため、図表序−3の通りに実験するのではなく、図表序−9のように公開確認を本市情報政策課が行う形で実施する。
 
図表序−9 プロトタイプシステムにおける役割分担
 
(2)実証実験全体の流れ
 実証実験は以下の流れに沿って実施された。現地調査、講習会・入力作業においては、それぞれ参加者に対し、活動の意義に関する意見や、全体のしくみの理解度、将来の権限・役割に関する意見などをアンケート調査した。
 
図表序−10 実証実験の流れ
 
(1)実施主体
 
 本研究は、豊中市と(財)地方自治研究機構との共同研究とする。
 
(2)実施体制
 
 本研究にあたり、有識者による研究委員会を設置する。研究委員会は、本研究の企画書案ならびに、事務局が報告する本研究の内容・結果について、その妥当性について審議・検討を行い、かつ、バリアフリーマップをWWW経由で維持利用するシステムおよびそのプロトタイプシステムについて助言・提案するものとする。
 また、委員会の下に事務局を設け、本研究の具体的な推進に必要な事務、調査、実験を行う。
 
図表序−11 実施体制







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