3. 整備記録簿
3.1 救命艇整備記録簿:
(拡大画面:78KB)
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3.2 ボートダビット整備記録簿:
(拡大画面:58KB)
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(拡大画面:58KB)
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今年度は、離脱システムについてモックアップ実験を含み、それらの改良方法について検討する。
離脱システムは、船首尾に位置する各離脱フック、操作ハンドル、それらを連結するコントロールケーブル及び水圧ユニットからなる。
この内、事故の直接原因となっているのは、各離脱フック及びコントロールケーブルの作動に関連するリセットミス(不完全なリセット状態)であり、また、離脱システムに対する認識不足に起因する操作ハンドルの操作ミス(誤って操作してしまう)と考えられる。従って、離脱システム全体が理解しやすく、各操作が容易で分かりやすくすると同時に、以下の方針により各機構及び配置等について見直しを行う。
(1)事故解析からの人間工学的検討
A エラートレラント:フールプルーフ、フェイルセーフ
(誤操作をした時に、受け付けないか、又は影響されない、不完全な操作ができない構造)
想定例(1)操作ハンドルを元の位置にもどさずに、フックをリセットする。
(2)ケーブルの動きが堅く、最後までリセットできない。
(3)ケーブル又はリンケージの調整不良、遊びのため完全なリセットができない。
(4)フックをリセットせずに操作ハンドルの安全ピンを差し込む。
B 操作の分かりやすさ(明確な表示、フィードバック、人間の感覚に合った操作)
想定例(1)リセットレバーを操作しても、完全にリセットされたかどうかわからない。
(2)前後各フックがリセットされたかどうかが操作ハンドル部で確認できない。
(3)操作ハンドルで離脱操作をした時に明確な反応がない。(自動起立式フック)
(4)着水したかどうかがわからない。(着水状態の表示)
(5)降下中に、今どこまで降下しているかがわからない。(下方視界の確保等)
(6)離脱ハンドルの操作方向を上下方向にする。
(7)離脱ハンドルであることを明確に表示する。
C 操作の単純化
(習熟の必要性を最小にするよう不必要な操作を省き、最小限の操作内容にする)
想定例(1)進水に必要な操作を最小限にする。(進水作業全体の見直し)
(2)オンロード離脱操作を単純であるが、特殊な操作にする。
(3)前後フックのリセット操作は、容易でまた同時操作を要求しない。
D 信頼性の向上(構造の単純化、整備調整が容易で分かり易い)
想定例(1)連絡ケーブル及びリンケージの状況が正常かどうか、簡単にわかる構造。
(2)連絡ケーブル及びリンケージの状況が正常でない場合に、容易に調整できる構造。
(2)上記の観点を取り入れた構造例の検討
品質改善案を取り入れた構造としてどのようなものが考えられるか、各操作部、表示部及び連結機構について具体的に検討した内容を下記に示す。また、各項目について救命艇構造を現状調査した結果、具体化の可能性がある内容についてまとめたものを表4に示す。
1. 操作ハンドル部
1-1 離脱操作で動かした後、自動的にもとの位置にもどる。A-(1)
1-2 前後フック共にリセットされていないと安全ピンが差し込めない。A-(4)
1-3 前後フックのリセット状態が操作ハンドル部で確認できる。B-(2)、D-(1)
1-4 離脱ハンドルの操作方向を上下方向にする。B-(6)
1-5 操作ハンドルであることを示す、明確な表示及び配置B-(7)
1-6 オンロード離脱操作を単純であるが、特殊な操作にする。C-(2)
2. 離脱フック部
2-1 フックはできるだけ、自動起立ではなく、倒れたままのタイプとする。B-(3)
2-2 前後のフックは独立してリセットできる構造とする。C-(3)
2-3 完全にリセットされた時に、レバー等の動きにクリック感がある。また、重要部品の位置が目視で確認できる。B-(1)、D-(1)、A-(2)、A-(3)
2-4 リセットレバーの操作をどちらの手でも操作可能にする。C-(3)
2-5 フックの引き起こしのための手掛けを付ける。C-(3)
3. 表示装置、視界等
3-1 下方視界が得られるような窓等の機構を設置する。B-(5)
3-2 着水時には表示ランプ、ブザー等で明確に表示する。B-(4)
4. ケーブル等の連結機構
4-1 ケーブル、リンケージ等を整備しやすい場所に配置する。D-(1)
4-2 ケーブル、リンケージ等を調整不要か、又は簡単に調整できるものとする。D-(2)
表4 救命艇離脱システムの構造検討案
部位 |
操作、確認等の作業 |
現状 |
検討方針 |
操作ハンドル |
1. 安全ピンを抜く、入れる
2. オンロード離脱操作
3. 操作ハンドルの動き
4. コントロールケーブルの位置確認 |
1. 安全ピンが直接目視できない位置にある。
2. インターロックレバーが目視できない。
3. フックのリセット時にもどす。
4. 操作ハンドルの動きにより確認 |
1. 目視できる位置に変更する。
2. 目視できる位置に変更する。
3. 操作後、自動的にもどる構造等。
4. ケーブル位置(リセット状態)が容易に確認できる構造 |
離脱フック |
1. 離脱フック引き起こし
2. リセットレバー操作
3. リセット状態の目視確認 |
1. 各フック部及び操舵位置3名で同時操作
2. リセット時のクリック感がない
3. 目視で確認可能 |
1. 前後フックの個別リセットが可能な構造
2. 正常位置にもどった場合にクリック感のある構造
3. より見易い構造が可能かどうかを検討
4. リセットレバーの形状、大きさの検討 |
表示、
視界等 |
1. 降下状態の確認
2. 着水時のインターロック状態表示 |
1. 斜め下方は目視可能(写真参照)
2. 一部のメーカーは状態を表示。 |
1. 現状の構造では、今以上の下方視界確保は困難、本船船側に距離表示等の検討
2. 状態表示できる構造を検討 |
ケーブル等 |
1. ケーブルの状態確認
2. 連結部の状態確認 |
1. 一部のメーカーは天井、壁に配置
2. 状態確認可能 |
1. 点検し易い位置への配置を検討
2. 点検、調整しやすい位置への配置を検討 |
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