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2.5.2 ボートウインチの点検要領
項目 点検 点検整備要領
ギヤボックス

歯車
軸受け
オイルシール
外観 ギヤボックス外部の腐食、損傷の有無を確認する。
腐食、油漏れの確認 ・下記の項目について確認する。
1. ウインチのブレーキレバーは水平か。
2. ブレーキレバー中心の六角ボルに緩みはないか。
3. ブレーキレバーサポーターに変形はないか。
4. オイルシール部分に損傷はないか。
5. ボルト・ナット類の緩みはないか。
6. 注油口、油面計、ドレンプラグは機能しているか。
上記の項目で異常があれば調整する。
作動状態の確認 ウインチを作動させ、自重降下及び電動巻き上げ動作を行い、ウインチ各部から異音、振動がないか確認する。
潤滑油の交換 ・油面計により、潤滑油の量の確認を行う。
・油面計により、潤滑油の汚れ具合を確認する。
・潤滑油は著しく汚れている場合は交換する。
ハンドブレーキ 作動の確認 ダビットを振り出す準備を行い、ブレーキの確認作業を行う。
・ウインチのブレーキレバーを徐々に持ち上げ、ハンドブレーキ装置を解放し、ダビットが振り出し出来ることを確認する。(ディスクブレーキの固着の有無の確認)
・ダビットの振り出し、更に降下の途中でウインチのブレーキレバーを下げてブレーキをかけ、正常にハンドブレーキ装置が機能することを確認する。(ディスクブレーキの効き具合の確認)
・異常が認められる場合には、分解して確認する。
開放点検 ブレーキ部分を開放し、下記の点検を行う。
・スラスト軸ボスの六角ボルトを緩め、ウインチのブレーキレバー部分を一体で取り外す。
・アウターディスク、インナーディスクの表面に摩耗や腐食がないか確認する。
・ハンドプレーキケース内部に油や水の浸入がないか確認する。
・異常が認められる場合は、下記の基準に照らし合わせて新しい部品と交換する。
1. 摩耗
インナーディスクの焼結ライニングの溝が規定値異常まで摩耗した場合交換する。
2. 腐食
軽度の腐食の場合、サンドペーパー(細目)で腐食部分を仕上げる。 著しい腐食の揚合は新しい部品と交換する。
3. 潤滑油の浸入
潤滑油の浸入が見られる場合は、オイルシールの点検を行い、異常が認められた場合は新替えする。
4. 水分の浸入
水分の浸入が見られる場合は、ハンドブレーキケースのフランジ面を確認し、フランジ面及びボルトネジ部に液体パッキンを塗布し再組立する。
・必要に応じて、ボルト、パッキン等を新替えする。
・ブレーキ摩擦面周辺の油分は除去し組み立てる。
注: 異常が認められる場合には分解し点検する。(雨天等の水分の混入する可能性のある状況下では分解しないこと)
ガバナーブレーキ
装置
作動の確認 *ダビットを振り出し、救命艇降下の準備を行い、ガバナーブレーキの確認作業を行う。
・ウインチのブレーキレバーをいっぱいに持ち上げ・ディスクブレーキ装置を解放する。ガバナーブレーキ装置が働いて、救命艇が一定の速度を保ちながら降下することを確認する。
・救命艇の降下の途中でウインチのブレーキをかけ、停止・降下を何度か繰り返し、ガバナーブレーキ装置が正常に働くことを確認する。このとき救命艇の降下速度が加速したり、ガバナーブレーキ装置から異音、振動が発生しないことを確認する。
・異常が認められる場合には、分解して確認する。
開放点検 ブレーキ部分を開放し、下記の点検を行う。
・ガバナーブレーキケースカバーを取り外し、ガバナーホイル部分を一体で取り外す。
・ガバナーブレーキシューの表面に摩耗や腐食がないか確認する。
・ガバナーブレーキケース内部に油や水の浸入がないか確認する。
・異常が認められる場合は、下記の基準に照らし合わせて新しい部品と交換する。

1. 摩耗
ガバナーブレーキシューの焼結ライニングの摩耗が規定使用限度値に達した場合は交換する。
2. 腐食
軽度の腐食の場合、サンドペーパー(細目)で腐食部分を仕上げる。著しい腐食の場合は新しい部品と交換する。
3. 潤滑油の浸入
潤滑油の浸入が見られる場合は、オイルシールの点検を行い、異常があれば新替えする。
4. 水分の浸入
水分の浸入が見られる場合は、ガバナーブレーキケースのフランジ面を確認し、フランジ面及びボルトネジ部に液体パッキンを塗布し再組立する。
・ガバナーピン、カバナースプリングの点検を行い、異常があれば新替えする。
・必要に応じて、ボルト、パッキン等を新替えする。
・ブレーキ摩擦面周辺の油分は除去し組み立てる
 
 
効力試験 試験の内容
ダイナミックウインチ
ブレーキ試験
1.年次作動試験は、空の救命艇を降下させることにより実施することが望ましい。 着水前で、救命艇が最大降下速度になった時、急激にブレーキをかける。 
2.5年毎の作動試験は、ウインチの最大使用荷重の1.1倍の試験荷重を積載した救命艇又は、同等の荷重で降下させる。 着水前で、救命艇が最大降下速度になった時、急激にブレーキをかける。 
3.これらの試験の後、ブレーキパッド及び荷重の加わる構造部品の再検査を行う。
 
 
項目 点検 点検整備要領
電動機 外観・作動の確認 ・外観検査により、ボルトの緩み、外的要因による損傷、端子箱の状態、配線の固定状態を確認する。
・電動機による巻き上げを行い、電動機から異音、振動等の異常がないか確認する。
・必要があれば、ボルト・ナットの増し締めを行う。
・電動機の異常が認められた場合は、分解してベアリング、オイルシール等の状態を確認する。
・端子箱内への浸水がないか確認する。
・絶縁抵抗測定器で絶縁抵抗を測定する。
・著しく電動機の損傷が激しい場合は、オーバーホール又は新替えする。
配線の確認 ・電源を切った状態で、端子箱の蓋を取り外す。
・配線の圧着端子が確実に固定されていることを確認する。
・グランドの締め付けが十分か確認する。
・必要に応じてボルト・ナット・グランドの増し締めをする。
・電動機外部の電線に異常がないか確認する。
始動器盤 外観・作動の確認 ・外観検査により、取り付けボルトの緩み、外的要因による損傷がないか確認する。
1. 蓋の開閉、ロック装置の確認。
2. 表示ランプの点灯、損傷の有無の確認。
3. 銘板の表示の確認
4. 始動器盤取り付けボルトの確認。

・電動機による巻き上げ、停止を行い、電気的な機能が正常に働いているか確認する。
1. 巻き上げ動作のON/OFF
2. 格納上限、リミットスイッチによる自動停止。
3. 兼用艇用高速/低速の切り替え。

・電気的な機能に異常が見られる場合は、原因を特定し処置する。
リミットスイッチ 外観・作動の確認 ・目視により、リミットスイッチの取り付け状態を確認する。
・リミットスイッチのレバー及びローラーがスムーズに回転することを確認する。
・ダビットを電動ウインチで格納し、ダビットアームが上限のストッパーに当たる前にリミットスイッチにより自動的に停止することを確認する。
・リミットスイッチの異常が認められた揚合は、分解して接点の状態、端子台の状態を確認する。
コントローラ及び
ケーブルプラグ
レセプタクル
外観・作動の碓認 ・外観検査により、ボルトの緩み、外的要因による損傷、ケーブルの固定状態を確認する。
1. 押しボタンスイッチの損傷の有無。
2. スイッチ箱の蓋取り付けボルトの確認。
3. 銘板の表示の確認
4. グランドの確認
・電動機による巻上げ、停止を行い、電気的な機能が正常に制御できるか確認する。
1. 巻き上げ動作のON/OFF
2. 兼用艇用高速/低速の切り替え。
・電気的な機能に異常が見られる揚合は、原因を特定し処置する。







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