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E
INTERNATIONAL MARITIME ORGANIZATION
 
 
 
SUB-COMMITTEE ON SHIP DESIGN AND
DE 47/5/3
EQUIPMENT
 
2003年11月27日
47th session
 
Original: ENGLISH
Agenda item 5
 
 
 
(DE提案文書(Ver.3)対応和文 2003/9/10作成)
 
救命艇の事故防止手段
 
救命艇システムの操作及び整備マニュアル作成に関するガイドライン
 
日本からの提案
 
SUMMARY
 
Executive summary: 本文書は適切な“救命艇システムの操作及び整備マニュアル作成に関するガイドライン”の作成を提案するものである。
 
Action to be taken: Paragraph 9
 
Related documents: DE 46/9/7, DE 46/32
 
経緯
 
1 46回本小委員会で述べたように、日本は救命艇に関するある種の事故報告を調査し、“救命艇離脱装置システムに対する操作及び整備マニュアル”を標準化することがこのような事故を防止するために、基本的で、また、早急に行うべき小委員会の作業であると考えた(DE46/9/7参照)。
 小委員会はこの提案を全体的に支持し、また、我が国がその審議のためのマニュアル案をDE47に提案する意向であることに注目した。(DE46/32)
 
2 46回本小委員会の後、日本はこの問題についてさらに検討した結果、船員に対するユーザーフレンドリーさを考慮すれば、離脱装置だけではなく、救命艇システム全体に対する操作及び整備マニュアル作成のためのガイドラインの方が、そのような事故を防止する上でより効果的であると考える。
 
救命艇システムの操作及び整備マニュアルにおける重要事項
 
3 救命艇事故に関する我々の調査の結果、救命艇システムに対する船員の誤解を避けるため、マニュアル作成に際して、以下の側面が重要であると結論できる。
 
.1 救命艇メーカーと進水装置メーカーとの協力関係
 
.2 標準化された語句の使用;そして
 
.3 説明のための図の使用
 
4 救命艇メーカーと進水装置メーカーとの協力関係について、日本はいくつかのマニュアルが、救命艇メーカーと進水装置メーカーにより別々に作られている状況を見いだした。この場合、同じ一つの部品を、例えば、離脱レバー及び離脱ハンドルのように異なる語彙で表現することがある。そのような救命艇及び進水装置マニュアル毎の不一致が船員の誤解を引き起こす結果となっている。
 
5 標準化された語句の使用は、経験の少ない船員にとって、救命艇進水システムの操作および整備に習熟するのに効果的である。船員達がしばしば他船に移ることを考慮すると、様々な救命艇進水システムに対して標準化された語句で書かれたマニュアルを使用することが重要となる。
 
6 マニュアルの中で、説明のために数多くの図を使用することもまた、ユーザーフレンドリーなマニュアルとするために重要である。この観点から、救命艇やそれらの進水システムにおける基本的な部品を示す標準化された図を使用することが誤操作防止のために重要である。
 
救命艇システムの操作及び整備マニュアル作成に関するガイドライン
 
7 日本は、小委員会がそれらマニュアルをよりユーザーフレンドリーとするため、適切な“救命艇システムの操作及び整備マニュアル作成に関するガイドライン”を例えばMSC/Circのような形で、できるだけ早く提供するべきであると考える。
 
救命艇離脱装置システムの操作及び整備マニュアル作成に関するガイドラインの一例
 
8 日本は提案した全体に対するガイドライン案をまだ作成していないが、救命艇事故防止の観点から最も重要である離脱装置システムに関するガイドライン案を作成し、本文書のannexに示す。日本は救命艇事故防止の観点から、救命艇システムの包括的なガイドラインの作成に先立ち、離脱装置に対するガイドラインを提供することが一つの効果的な方法であると考える。なぜならば、離脱装置に対するガイドライン作成の方が、救命艇システム全体に対するガイドライン作成よりも早急に実行可能であると思われるためである。
 
小委員会に要請する行動
 
9 小委員会は、上記の提案及び添付文書として提案された情報を考慮に入れ、“救命艇離脱装置システム”又は“救命艇システム”に対する操作及び整備マニュアル作成に関するガイドラインを検討し、適切と思われる行動を取ることを要請される。
 
 
ANNEX
DRAFT MSC CIRCULAR(MSCサーキュラー案)
救命艇(オンロード)離脱装置システムの操作及び整備マニュアル作成に関するガイドライン
 
1 海上安全委員会は(79回会合)において、救命艇に関する事故の多発を考慮し、また、救命艇離脱装置システムの操作及び整備に関するマニュアルを改善する必要性を認識し、そして、第47回DE小委員会における提案を考慮した上で、添付に提示された“救命艇離脱装置システムの操作及び整備マニュアル作成に関するガイドライン”を承認した。
 
2 各国政府は、添付されたガイドラインを、適切なそれらの適用に対して関係するすべての関係者にもたらすことを要請される。
 
 
ANNEX
救命艇離脱装置システムの操作及び整備マニュアル作成に関するガイドライン
1 ガイドラインの目的
 船員はしばしば船を変わり、それらの船で時々、あまり慣れていない救命艇に遭遇する。救命艇の事故はその救命艇システム、特に離脱装置に対する未熟練さが原因となってしばしば発生する。従って、救命艇システムのマニュアルは救命艇の事故防止のために、理解し易いものでなければならない。これらガイドラインの目的は、救命艇離脱装置の操作及び整備のための分かりやすくて良いマニュアルを作成する基礎を提供することにある。
 以下の指示書は、救命艇システムの操作及び整備マニュアルの中の離脱装置関係のためのものである。
 救命艇及び進水・回収システムの製造者は、以下の指示書を基礎として、分かりやすいマニュアルを作成することが要請される。
 
2 離脱装置に対するマニュアルの構成
2.1 マニュアルの概要
 (オンロード)離脱装置システムに対する操作及び整備マニュアルは、以下の内容から構成されること
.1 システム全体の構成
.2 システムの各部の詳細
.3 操作方法及び
.4 整備及び点検
 
 マニュアルを分かりやすくするため、可能な限り図(できればカラー)を使用すること。
 
2.2 構造・機構の説明
 構造/機構を容易に理解できるようにするため、立体図、透視図を多用し、また、動作部分で重要なものについては、その動作をステップ毎に図を用いて表現する。
 
2.3 操作方法
 離脱装置システムの操作は、以下の例に従って説明されること。
.1 操作方法をフローチャートにより、その流れがたやすく理解できるものとする。
.2 操作方法の詳細については、図と並列で記述し、図にはその操作/作動する部品に色をつけ、矢印等でその操作/作動が一目でわかるものとする。
.3 危険、注意及びメモの分類を明確にし、目立つようにするため文章から独立して、特定のマークを使用して記述する。
.4 On-load releaseの説明部については、“この操作を行うと救命艇が落下して命を落とす危険を伴う”ことを強調する。
.5 リセット操作の説明部には、以下の語句を用いて、不完全な操作は救命艇の落下を招くことを強調する。
 「不完全なリセット操作のために救命艇が落下して命を落とすことがあります」
 
2.4 整備及び点検
 週例点検、月例点検、年次点検、開放点検及び開放後の1.1倍負荷離脱試験について個別に説明すること。また、点検方法、試験方法及びそれらの判定基準を明確に記載すること。
 
3 標準用語の使用
 以下の標準用語を用いる。
.1 Release handle
.2 Hook
.3 Safety pin
.4 Hydrostatic interlock
.5 Interlock lever
.6 Control cable
.7 Link stopper
.8 Lock piece
.9 Reset lever
 
4 救命艇離脱装置システムの操作及び整備マニュアル例
 救命艇離脱装置システムの操作及び整備マニュアルの一例を以下に示す。
 
(以下に、本委員会で検討中のマニュアルが入る。)
 
以上
 
 提案文書(DE 47/5/3)を 資料2 に添付する。
 
 MSC/Circ.1093ガイドラインの発行に伴い、SOLAS条約第III章第36規則の保守指示書(「救命艇・進水装置保守点検要領書」)を品管標準要領書として作成のため、救命艇委員会において検討を行った。
 作業に当たって、救命艇全ての救命艇に対する保守点検内容を網羅するには、時間的な制約と作業的に困難なため、全ての設備要件を備えている耐火救命艇で材質的には最も多く製造されているFRP製救命艇を対象とし、ダビット及びボートウインチ並びに一斉離脱装置としては、96年以降使用されている最近の標準的と思われるタイプのものを選択して検討した。
 「救命艇・進水装置保守点検要領書」は、当協会標準要領書としてCirc.1093を基本として必要最小限と思われる保守点検内容のものとした。
 また、実施の点検整備の細部については、各社の「取扱説明書」で補い運用されて行くものと考えている。
 
以下、[救命艇・進水装置保守点検要領書]を添付する。
 
 
序文
 
 本保守点検要領書は、MSC/Circ.1093に基づき検討されたものである。
 対象とする救命艇の種類は、以下の通りである。
部分閉囲型救命艇
全閉囲型救命艇
空気自給装置付救命艇
耐火救命艇
 
 なお、本要領書では上記の型の救命艇との全ての設備要件を備えている耐火救命艇を代表として取り上げ、それに含まれてない部分閉囲型救命艇の天幕構造部分を追加して作成した。







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