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Annex
救命艇、進水装置及びオンロード離脱装置の定期整備及び保守に関するガイドライン
一般
1 これらガイドラインの目的は、救命艇、進水装置及びオンロード離脱装置の定期整備及び保守に関して、統一的で安全な文書化された状況を確立することにある。
 
2 これらガイドラインは救命艇設備の定期整備及び保守に関してISMコードの適用に関係しており、そのコードに基づき船舶に対して準備された手順を反映する必要がある。
 
3 これらのガイドラインは、救命いかだ、救助艇及び高速救助艇進水装置及び離脱装置の定期整備及び保守についても適用することができる。
 
4 これらガイドラインに含まれる幾つかの手順に関する詳細なガイダンス情報は、Appendixに記載される。
 
SOLAS規則
5 ガイドラインは、以下の規則に規定される要件に関係している。
 
.1 SOLAS規則III/20-操作の準備、保守及び点検
 
.2 SOLAS規則III/36-船上における保守指示書
 
責任
6 運航会社は、SOLAS規則III/20に従う船上における整備及び保守に対し、また、整備及び保守中の全ての作業に対する健康、安全、環境手順の確立と実施に対して責任を有する。
 
7 整備及び保守を行う人員は、パラグラフ9に規定されたように、そのシステムに従い認可された作業の成果に対して責任を有する。
 
8 これらの人員は、健康、安全、環境の指令及び手順に適合する責任を有する。
 
9 これらの要求を実施するに十分な能力を有する機関があり、製造者がサービスを提供できない場合、主管庁は、その機関をこれらガイドラインに規定された製造者の役割を果たす機関として認可することができる。
 
認可
10 これらガイドラインにおいて整備要員の資格が要求される場合、その資格は、訓練及び認可に対して確立されたシステムに基づき、製造者が発行しなければならない。
 
資格レベル
11 製造者により規定された毎週、毎月検査及び日常点検は、製造者により提供された指示書に基づき、主務航海士(senior ship's officer)の直接監督のもとで実施されること。
 
12 全ての他の検査、整備及び修理は、製造者の代表か、又はその作業に対する的確な訓練を受け、製造者が資格を与えた人員により実施されること。
 
報告及び記録
13 全ての報告書及びチェックリストは正しく記入され、検査及び整備作業を実施した人員により署名され、また、船会社の代表により署名されること。
 
14 検査、整備、修理及び保守の記録は更新され、船上にファイルされていること。
 
15 修理、完全な整備及び年次整備が終了した時は、救命艇設備が目的に適合していることを確認する声明書が製造者の代表から発行されること。
 
Appendix
保守及び整備に対する詳細手順
1 一般
 
1.1 いかなる検査、整備及び修理も、製造者により開発された検査及び整備システムに従い実施されること。
 
1.2 製造者により発行された整備マニュアル、関連文書1式は、船上で利用できる状態にあり、救命艇及びダビット、離脱装置等の関連装置の検査、保守及びリセットを含む全ての作業時に使用されること。
 
1.3 製造者による検査及び整備システムには、少なくとも以下の項目を含むこと。
 
2 完全検査
 
2.1 毎週/毎月の検査に対するチェックリストに記載された項目は、完全検査の最初の部分を構成するため、これらの項目に対する検査は、製造者の代表か、又はその作業に対する的確な訓練を受け、製造者が資格を与えた人員の立ち会いのもとで、船員により実施されること。
 
2.2 船員により実施された検査及び日常点検に対する検査保守記録、及び進水装置や機器に適用される証明書が利用できること。
 
2.3 修理及び部品交換は、製造者の要件及び規格に従い実施されること。
 
救命艇
 
2.4 以下の項目について、満足な状態及び作動を検査し、確認しなければならない。
 
.1 取り付けられた装置及び収納された装備品を含み、救命艇本体の状態
.2 機関及び推進システム
.3 スプリンクラーシステム(設置されている場合)
.4 空気供給システム (設置されている場合)
.5 操縦システム
.6 電源システム
.7 排水システム
 
離脱装置
 
2.5 以下の項目について、満足な状態及び作動を検査しなければならない。
.1 離脱装置を起動させる装置の作動
.2 過度の遊び(許容誤差)
.3 水圧式インターロック(設置されている場合)
.4 コントロール及び離脱用のケーブル
.5 フックの開閉
 
注:
1 離脱装置のセッティング及び整備は、救命艇の安全な作動及び乗艇者の安全を維持する上で重要である。従って、これら装置に対する全ての検査及び保守作業は、最も注意して実施すること。
 
2 フックに荷重をかけたままで、離脱装置の整備又は調整を行ってはならない。
 
3 吊り下げペナントは、この目的に使用されるが、通常の格納時や訓練中など、その他の時は、取り付けてはならない。
 
2.6 オンロード離脱機能の作動試験
.1 救命艇の質量がつり索に実質的に掛かるよう、艇体が部分的に水面に接した状態において、水圧式インターロック(設置されている場合)を不作動状態にする。
.2 オンロード離脱装置を作動
.3 オンロード離脱装置をリセットする。
 
2.7 オフロード離脱機能の作動試験
.1 救命艇を完全に水上に浮かべる。
.2 オフロード離脱装置を作動
.3 オフロード離脱装置をリセットする。
.4 救命艇を格納場所まで回収し、使用可能な状態に備える。
 
注:
巻き上げる前に、離脱装置が完全にまた正しくリセットされていること確認する。
救命艇の最終引き込み作業は、乗艇者がいない状態で実施する。
 
ダビット
 
2.8 以下の項目について、満足な状態及び作動を検査しなければならない。
.1 ダビット本体、特に腐食、位置ずれ、変形及び過度の遊び
.2 ワイヤー及び滑車;キンク、腐食等の損傷
.3 ワイヤー、滑車、可動部に対する潤滑
.4 リミットスイッチの作動
.5 蓄力システム
.6 油圧システム
 
ウィンチ
 
2.9 以下の項目について、満足な状態及び作動を検査しなければならない。
.1 ブレーキ機構の開放検査
.2 必要な場合、ブレーキパッドの交換
.3 リモートコントロールシステム
.4 電源供給システム
 
3 ダイナミックウィンチブレーキ試験
 
3.1 年次作動試験は、空の救命艇を降下させることにより実施することが望ましい。着水前で、救命艇が最大降下速度になった時、急激にブレーキをかける。
 
3.2 5年毎の作動試験は、ウィンチの最大使用荷重の1.1倍の試験荷重を積んだ救命艇又は、同等の荷重を降下させる。着水前で、救命艇が最大降下速度になった時、急激にブレーキをかける。
 
3.3 これらの試験の後、ブレーキパッド及び荷重の加わる構造部品の再検査を行う。
 
注:
本試験において救命艇に荷重を負荷する場合、フリーウオーター又は重心高さの上昇等による復原性の低下に注意すること。
 
4 オンロード離脱装置のオーバーホール
4.1 オンロード離脱装置のオーバーホールには、以下の項目が含まれる。
.1 フック離脱ユニットの取り外し
.2 許容誤差及び設計要件に関する検査
.3 組み立て後の離脱装置システムの調整
.4 上記の条件及びSOLAS規則/20.11.2.3に規定された荷重のもとでの作動試験
.5 重要部品に対する欠陥や割れの検査
 
注:
染色浸透法(DPE)等の非破壊検査技術(NDE)の使用が適当である。







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