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手話語り
「幼児のための絵本手話語り」
吉本努氏(奈良県立聾学校)
 
吉本/紹介を頂きました。奈良県立聾学校の吉本努と申します。よろしくお願いします。
 今日は絵本の読み聞かせということで、表現します。手話や身振りを中心に表現しますので、読み聞かせの間、読み取り通訳はありません。字幕もありません。手話と身体表現だけでご覧ください。
 時間もせまっているということなので、ちょっと早口になると思いますがよろしくお願いします。幼稚部の子供に対しては、いつも座って読み聞かせをしていますので、今日も座ってやります。スクリーンなどもありますので、大丈夫だと思います。
 
 はじめます。題名は「クレヨンのくろくん」です。
【読み聞かせ〜】
 
 
手話語り
「中高生のための絵本手話語り」
伊藤政雄氏(トータルコミュニケーション研究会会長)
 
伊藤/ただいまより始めたいと思います。700年前の鎌倉時代、有名な「方丈記」。聞いたことがある、習ったことがある、という方いらっしゃいますか?
 あれ、健聴者の方は多いと思いますが、ろうあ者の方、学校で習ってませんね?
 今まで口話教育ではこの「古文」というのはまったく分かりませんよね。ろうあ者は目で見てはっきり分かるようにする必要がありますよね。こちらです。(スクリーンに方丈記の文章)
《行く河の流れは、絶えずして
 しかも、元の水にあらず》
 というふうにやったとしても、それをまた、口話でやられても判りませんよね。テストも判らず、0点になってしまいますよね。口話が良いと言われても、これを口話教育でやれるのか?できませんよね。生徒が十分に判りますか?判りませんよね。ですので、こういう古文の意味を手話で表したほうが、「ああ、なるほど、そういう意味だったのか!」と判るようにする必要がある。そうしたいということで、今から手話でやってみたいと思います。本当はこの文章、とっても長い文章なんですけど、まず、1つ目、2つ目、3つ目と分けてやってみたいと思います。
 健聴者の方は、学校で習ったことがあるということで、覚えている方もいると思いますが、大学のテストで出てもわからないときは、落第してしまいますね。
 古文は世界に誇るべき、日本のすばらしい文章です。それを生徒に教えて、生徒もそういう教養を身につける、そして、卒業した後、健聴者と同じように考えられる、対等に話ができる、というのが夢、理想です。すべての文章をやるのは、時間がないので、手話で表現しますと、・・・
 この話をずっとやっていきますと、1時間、2時間かかってしまいますので、皆さんお家に帰って伊藤先生が面白いことをやっていたと、例えば本屋で漫画を見たときは、帰るまでに忘れてしまうので、漫画をコピーしてみせれば、みんなが「あ、そうか」と理解できますね。
 これからのろう教育では、古文は難しいからと、省いたり教えられる範囲でしか教育できないのでは、健聴者との差が、縮まらないことになってしまいます。もっとみんな頑張って、手話で教えていけば、生徒の視野が広まり、学力の向上していくでしょう。
 ろうあ者の生活や人生すべてにおいて、すべての人が幸せになるように、手話のわかる健聴者とろうあ者が、まず共同して活動していくことで、手話のわからない普通の人達にも呼びかけて一緒に活動していく輪を広げていけることを、祈っております。







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