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中高生企画
「手話ダンス」
講師/土持栄里子
講師/米田麻里
 
 
 
輝く目を持つ若者にエールを
 私が、夏の三日間郡山でろう学校の生徒達にダンスの指導をするようになって十年、気づいた事は、ダンスをするという共通の目的を持つ時、その場でのコミュニケーションは言葉に頼らずにできるものだなという事。その言葉とは音声言語と手話のことです。今でこそ私も手話で話せるようになりましたが、十年前はできませんでした。生徒達も様々で、時には手話もしらないし発語も明瞭ではない、ろうの生徒もいました。でも、会話が出来ないとは思いませんでした、ダンスって便利、言葉が通じなくても出来てしまうのです。きちんと発表会で踊ってくれました。三目目には会話も通じるようになりました。しかし今思うと何語でしゃべっていたのかしら?思い出せません。ところが一年後再会した時には同級生達と手話で会話に夢中になっている様子を見て、驚きとうれしさを感じました。身体表現セミナーがコミュニケーション障害の克服へのきっかけになり、若者が将来に夢を持てるようになれる事を願っております。
【土持栄里子】
 
 
 今回企画を伺ってまず考えたのは、この少ない時間で、生徒達が楽しみながらも精一杯頑張った!と思える瞬間まで果たして辿り着く事が出来るのかな?ということでした。しかし、ふたを開けてみると、1000人ものお客さんの前で、練習よりも弾けた、お客さんを巻き込む程のパワーを持った皆の笑顔を見る事ができ、またしても、私の方がパワーをもらって帰る事になりました。
 振付していていつも思う事ですが、ちょっと難しいくらいで生徒に託すのが一番良く、早めに振りを与え、あとは生徒達の自主性に賭けると、自然と皆で協力して、発表会への意気込みが見えてくる。私はそれを見ているのがとても好きです。練習だけでなく、発表する場もあるということが素晴らしい事だと思います!
 自分が、観ている人に感動を与えることが出来るという事を皆に知って欲しいし、表現の素晴らしさを体験するには、今回は特に絶好のチャンスだったと思います。
 参加出来た事に感謝!これからも色々な事に挑戦出来る場になるといいなと思います。
【米田麻里】
 
 
中高生企画
「手話コーラス」
講師/南留花(手話コーディネーター)
 
 中高生企画〜手話コーラスは「手話ラップ」と「世界にひとつだけの花」に挑戦しました。
 手話ラップは、一定のリズムを決めて、メロディなしに、みんなで手話の歌詞を作り上げ、リズムに合わせて歌っていくというものです。まだ、日本ではおなじみの方法ではありません。でも、これなら、音声の日本語にまったく関係なく、手話でイメージを作り上げ、手で歌うことができます。手話ラップは、今後にむけてさまざまな可能性を秘めた、ユニークで最も手話らしい歌い方のできるものだと思っています。今回のテーマは「将来の夢」。みんなの元気な夢を、手を通じてリズムとともに歌ってもらいました。
 「世界にひとつだけの花」は、ことし、全国で最も多くの人が手話をつけたいと考えた歌のひとつでしょう。でも、この歌は、手話訳が難しい!手話を知っていても、もともとの歌詞の意味がどういう意味なのか、また、どんな情景をどんな手話であらわせば、自然に絵を描くように表現できるのか・・・課題がいっぱいで、多分、最近のヒット曲の中では、難易度の最も高いものだったのではないでしょうか?歌詞の「ナンバー1」と「オンリー1」の違いをどう表すか、「この中で誰が番だなんて・・・」の部分の訳し方はどうすれば見る人にわかりやすいのか・・・などなど、とにかく、話し合いだけでどんどん時間が過ぎていって、みんなへとへと。歌の練習は、ちょっとしかできませんでした。(笑)
 今回は、とにかくみんながのびのび手話の歌に接することができるようにと心がけました。参加したみんなの中に一夏のいい思い出ができたかなあ。
 歌は、耳の聞こえる人だけのものではないと思います。聞こえなくても手話であっても、自分の思いを空に向かって大きく描きだせば、それは素敵な歌になると思います。また、来年の夏も、エネルギーいっぱいの皆さんにお会いしたいです。
 スタッフの皆さんも、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。







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