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(5)高次脳機能障害者の地域生活支援
 
高次脳機能障害の方の地域生活支援
社会福祉法人 菜の花の会 しもふさ学園
障害児・者地域生活支援センター KAI・KA
コーディネーター 藤崎 進
 
高次脳機能障害をお持ちのAさんの場合
Aさん(36歳)
 23歳の時、脳腫瘍にて開頭手術を行ったことが原因で、右半身機能低下と、軽い失語症、遂行機能障害が認められる。身体障害者手帳6級、療育手帳なし、精神障害者手帳なし。
 祖父(83)・祖母(82)との3人暮らし。身の回りのことは寝たきりの祖母のために派遣されるヘルパーが行っていた。(相談開始当時)
 
Aさんは何に困っていた?
●なんとなく、無気力
遂行機能障害・・・生活する上で必要な情報を整理し、計画し、処理していく一連の動作が難しい。動作を始めるのが難しい。
●一日をリズムある生活を行うこと。生活のリズムが取れるよう配慮していく。(日中活動の提供と、在宅支援)
起床への働きかけ
朝の準備をするために起床してから約2時間かかる。通所バスの乗車に間に合うように、職員がモーニングコールを行っている。
 
Aさんは何に困っていた?
●新しいことは、なかなか覚えられない
記憶の障害・・・比較的古い記憶は保たれているのに、新しいことを覚えるのが困難になる。運転など体で覚えた記憶は保たれることが多い。
→予定をカレンダーへ書き込む。メモを張っておくなどの配慮が必要。(学園の予定、持ち物の確認、訪問する日付、通院の予定、遅刻の際の電話連絡等)
車の運転は、走りなれた道であれば運転することができる。
 
Aさんは何に困っていた?
●自分の言いたいことが、思い浮かばない。伝えてもらったことをなかなか記憶できない。
コミュニケーションの障害・・・他の人意思を伝えたり、他の人が伝えてきたことを理解したりすることが困難。
→会話はわかりやすく、短い文章で。伝えたいことなどや用件は、メモにして伝える。
 
支援する側も、Aさんを知りたい!
●千葉リハ心理発達治療士 太田氏による評価
●評価を基にした、今後の支援についてのサービス調整会議の実施
●千葉リハビリセンター公開講座(高次脳機能障害)への参加
●しもふさ学園内において、全職員に対する高次脳機能障害についての理解とAさんのケース検討会の実施
 
しもふさ学園の概要
昭和63年5月開園 知的障害者更生施設(定員40名)
※自閉症児・者の保護者の方々が中心となって設立
平成10年10月 地域支援スタート
(障害児・者地域療育育等支援事業を県より受託)
平成14年4月
地域生活支援センター KAI・KAを開設
現在
入所40名・通所19名・分場7名・グループホーム3箇所 千葉県自閉症・発達支援センターを県より受託
 
本人の望む生活を!
●本人は、住み慣れた環境でしたい!との強い希望もあったことから、地域生活を支える支援がスタート。
●家で何もせずにいるのはちょっと・・・
働きたいけど・・・
●自炊には、あまり自信がないので・・・
●病院までは、車で一時間。体の調子によっては、月に2回は通いたい。







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