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 残念ながら、この会社も戦后は独立採算となり何時迄も昔のまゝの工作では御飯が食えませんので填材も船首や・は根元丈の取付けとなりました。海外での苦い思い出も有ります。現地(ベトナム)では当然填材の施行を頼むつもりでおりましたが、現地には柔材が有りません。力材などは曲木が無いけれど何とか施行させたのですが填材は何の為に施行するかも理解されず、2ツ割の梁圧材も大工さんは訳らず、は梁圧材の無い構造となり、舷墻は填材も梁圧材も無い袋状の構造となり、后々まで漁場担当の社員さんに心配をかけた次第です。
 
の填材と施行要領(根本丈の場合)
 
 北海道の船大工さんは律儀な面が有る様な気がします。例えば肋骨にしろ、力材にしろ、私の見た範囲では、木の皮の付いた面付材などは殆んど使っておりませんが、最近、必要が有って本州南の造船所の木舩写真を見ますと、全く面付材ばかりの船が多々有るのです。図に書いた様な欠陥の無い材料を使わねば気が済まないか、欠陥材をも使う程、切羽詰る程の競争が無かった?のか。別な面では新しい発想に依る構造も少なかった?漁船に於ては、それ程差し迫った漁をする必要が無かった?・・・なのでしょう。后々の事ですが鋼船時代に検査官に食い付いた事が有ります。・・・
 「本州の造船所で許可しているのに、どうして北海道では不可なのか・・・」
 「本州南や瀬戸内は海が違う、北海道の海域では、それなりの検査上のグレードアップが必要なのだ・・・」と。少し寄り道をしました。
 洋型船と云っても、どの様な形の船でも・・・という訳には参りません。鉄の様に強度を失う事なく、接ぐ・・・という事に無理がでます。
 
 曲面ばかりが多いので現図が有りますが、この現図が其の昔の免許皆伝?みたいに誰でも憶えられません。現図場へ顔を出す事さえ、出来ませんでした。
 兄弟子、弟弟子などが有るときは尚更。鋼船の現図法の本が有るのに木船の現図法という本は見た事が有りません。(之は戦前戦后の事で、后々橋本徳寿氏が出版されております)
 今の様に多くの仕事がある訳ではないので余り仕事を教えて終うと或いは先に申しました様に雨降り大工となってはメシの食い上げとなるからかも知れません。鋼船現図とやゝ違う所を申し上げます。
 船体外面を表す線図は鋼舩の現図も木舩の現図も板の内面を表します。但し、木舩は外板の部分丈は内面で他は外面です。色々の計算の基準となる設計図面は板の外面ですから、木舩の場合はこの設計図を基とする場合、現図は外板厚を差引いて画きます。(一般の鋼船は板厚が船体に比して薄いので内面で図を書き、色々の計算では外板厚を加えます。一般に木舩の図面(線図)は外板内面で画く事が多く計算の場合、板厚を加えます。昔の海軍図面は外板外面で作ってますので現図場で外板厚を差引く作業が必要となります。)
 鋼船は外板の展開した型紙が全て必要ですが、木船は殆んど展開が有りません。又木船では、や・の大きな組立型板をどうしても必要となります。(現場合せが多くなるし、乾燥の狂いなども出る)外板にリベットや接手の合せマーク、現場のマーキングが多いのに比べて、木船は外板のマーキングは有りません。逆に申しますと展開通りの型の木材は存在しないからです。(従って蒸し曲げや、無理に曲げる所も出る。)
 型板通り作れば・・・でなくて職人の技倆を必要とする所が多々有るのです。
 市販には鋼板の寸法が多々有り、今の溶接構造ではリベットの心配も有りませんし、鋼板は溶接すればどこまでも“一体物”ですが相手が木材ですから、材木に合せて主要構造の接手などを現図場で決めたりもします。
 木材は一度失敗したり部分失敗でも再生が不可能というハンディが有ります。今の鋼船には斜肋骨が殆んど有りませんが、木船は昔のままに有ります。之は、曲げる事が出来ない木材肋骨を強度上有効に配置する方法です。
 
 
 斜肋骨は根元が正肋骨の様に両舩にわたり連結が有りません。ですから出来る丈正肋骨は(・)まで多く・・・とした方が良いのですが、舩底勾配や水線との角度が急になり材料採りが無理となります。又・はシャフト部が出て来たりと色々ありますが、斜肋骨はなるべく外板のラインに直角近くで断面強度が落ちない様、又付根の位置に不具合が無いか・・・などを決めながら、“この位置は押さえよう”という肋骨を位置付けし、后で申し上げる様な計算で配置を教えられておりましたが、この方法ですと“この位置”の肋骨より先々の肋骨が船首に行くに従い斜角が急となり、全体的に見て甚だ不具合であるため、この計算方式を独断でやめて終いました。要は各肋骨の断面形状が極端な菱形などにならない様、規程の心巨をハミ出さない範囲であれば良し・・・としたわけです。
 







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