舵床のアリ掛けは1/2程を残して上棚(土海型もやゝ同様)に嵌込まれます。舵床の木口は抜棚によって隠されてます。舵床の・端は図の様に、床函金、とも函金などで尚且つ補強されます。舵孔は舵床上面に直角ではなく、図の様に船首の方向へ傾斜しますが、之は船の陸揚時や急を要する時、素早く舵を上げる為です。
例えば舵の経、上口で五寸五分、下口で五寸とした場合、上口五寸五分の床材の後面がら、決められた二寸五分を取り、そこから径を追い、下口は上口と同様の二寸五分の位置から五寸の経を決めて、孔を造ります。之に依って上図の様に船首へ傾斜した孔となります。
この様な函金や前頁の床と戸立の曲木(更に床と棚板への曲木が付く事も)などが有るのも、北洋に於いての使用条件が極めてきびしい事に依ると思います。一般では之程までの補強は無いと思いますが、その事は今迄の各国内関係者の小型和船を見れば明らかです。
船梁の配置
三伴船 土海船
前図の内 船梁としての構造を持つものはけあげ〜盤までです。この船に於てはかんぬきは網繰の根止であり、舵床は単に棚に乗っている様な構造です。三の間〜盤の船梁間には尻掛と云って漕手用の横木が付きます。(尻掛=腰掛で船梁も腰掛となる。)
けあげ船梁 (楢)
この船梁は専ら繁留時のもやい綱の結びなどに用いており、(小さな舟も)土海船などの場合、海岸へ船を曳上げる時の補助としてこの船梁にもロープを掛ける事が有る様です。カンヌキの様にして嵌込みますが、あり掛け、矢板の工作は作りません。抜棚の外まで貫通して着色化粧を施します。
うたせ船梁
この船梁は図の様に板子(固定)の下面になります。
そのため、船梁の木口は外方より見える位までに下方に設けられますが、まさがい、矢、アリ掛は全く設けられず、棚板を無理に拡げて、ドスン・・・と嵌込む丈です。
土海船では腰当辺の曳網を取付る附近ですので、強度上も案外と重要な役割が有るのです。(后図)(この船梁の前后には板子受用の均しが入ります。)
腰当船梁(三の間船梁)
之は三の間船梁で共に一番重要な船梁で、特に、腰当船梁は陸上げ用の曳網(ワイヤー)などの連結もありますので、棚板とは、縦も横も曲木で補強が入ります。材料寸法も一段と大きくなり、上まさがい、下まさがいの2段となります。嵌込寸法などは三の間船梁も同じです。
まさがいは反対舷の差込みの為に、その差込長さに見合う切り込を付けるのです。切込が片舷に片寄って強度上の問題を起こさぬ様、まさがいは各梁の左右相互に設けます。下図の右の矢は先々まで鋸目が入りませんが、ノミ立てした后に、木目に添って割り丁寧に削って使用します。
腰当船梁の拵え方
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